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原作の再解釈が見事!ドラマ版ウォッチメンあらすじ&感想

「海外ドラマフレンズ」は、海外ドラマ好きの26歳女性と29歳男性が海外ドラマについて自由に楽しく語るアカウントです。YouTubeポッドキャストで音声配信もしてます。今回取り上げるのは『ボクらを見る目』です。

作品紹介

「ウォッチメン」はHBO制作のドラマシリーズで、Amazonプライムビデオ内のスターチャンネルEXで配信中。2019年10月から配信スタート。1シーズン完結型のリミテッドシリーズで、全9話で1話1時間前後。

本作は言わずと知れた超有名グラフィックノベルの『ウォッチメン』をドラマ化したもの。今回のドラマは原作から34年後の2019年が舞台となっている。

ウォッチメンといえばザック・スナイダーが監督した2009年の映画版も有名で、これでウォッチメンを知った人も多いのではないだろうか。ザック・スナイダーといえばその後「マン・オブ・スティール」「ジャスティスリーグ」とか、DCエクステンデッド・ユニバースの中心を担っていきますが、そもそも今回のドラマ版も最初はザック・スナイダーに話が行っていたそう。

最終的に『LOST』のショーランナー務めた。デイモン・リンデロフが脚本と制作総指揮を務めることになった。

あらすじ

物語は2019年のオクラホマ州タルサで幕を開ける。白人至上主義団体である第7機兵隊(Seventh Kavalry)はロールシャッハのマスクを被って少数民族や人種差別被害者を守る警察へ反発し、2016年のクリスマスイブに発生した「ホワイト・ナイト事件」では機兵隊により40人のタルサの警察官の家が攻撃を受けた。生き残った中で警察に留まったアンジェラ・エイバー刑事とジャッド・クロフォード署長は警察を再建するも、彼らは職務中はマスクをして正体を隠した自警団として機兵隊と戦うこととなる(Wikipediaより)。

レジーナ・キングが演じるアンジェラ・エイバーは、またの名をシスター・ナイトという名前で自警団(ヒーロー)として活動している。第七騎兵隊という全員ロールシャッハのマスクを被った白人至上主義団体と対峙するところら物語はスタートするが、そこにさまざまな要素が絡んできて物語は思わぬ方向に展開をしていく。

舞台設定

ウォッチメンはいわゆる「歴史改変SF」と呼ばれるジャンルで、「実在の歴史の影にスーパーヒーローが実在したとしたら?」という“パラレルワールド”が舞台になっている。

原作の『ウォッチメン』の世界では、ドクターマンハッタンのおかげでベトナム戦争にアメリカが勝利。さらに、ニクソン大統領が3選して8年以上の長期政権を務めている。

ドラマ版でもその歴史を引き継いでいて、フロント・ロウの記事によると

ニクソン大統領の死去後、ジェラルド・フォードが大統領の座を継ぐも、1992年の大統領選で敗北。選挙に勝利したロバート・レッドフォードが1992年から2019年の現在まで大統領を務めているという驚きの展開が繰り広げられる。

さらに、

ちなみにこのレッドフォードの政策で、劇中の2019年はインターネットやスマホ、SNSのサービスは強制終了され、存在しないことになっている。これは、ソーシャルメディアでのユーザー同士の攻撃を回避するため。

といったかなり現実と解離した世界観になっている。また、1921年に起きた白人により黒人の虐殺事件「タルサ暴動」も本作で重要な事実となっている。

29歳男性の感想

オープニングとタイトルの出方が毎回違っていて、非常にお洒落でかっこいいのでそこもぜひ注目してほしい。タイトルもなんだかカッコ良くて、
「今は夏 氷が尽きそうだ(ep1)」「この尋常ならざる存在(ep6)」「ほとんど宗教的な畏怖(ep7)」「 1軒の酒場に入る神(ep8)」などなど。

原作のウォッチメンのキャラクターたちが登場するのも興奮するポイント。特にヴェイト=オジマン・ディアスのパートは非常に狂っていて楽しいので、前半はそこが一番の楽しみで観ていた。

26歳女性の感想

本作のテーマは「人種差別問題」。最初のヒーロー=ミニッツメンのメンバーであるアンジェラの祖父ウィル(フーデッド・ジャスティス)がフードを被る意味を明かす場面は印象的だった。

原作では先に犯罪者側がマスクを被り始めて、ヒーロー側もそれに半分ジョーク交じりで対抗し、法を超越して犯罪者に制裁をくわえるためにマスクを被ったということになっている。これに対し、フーデッド・ジャスティスがフードを被る理由は「人種を隠すため」なのだ。この辺の翻案は見事としかいいようがない。

今回のジョージ・フロイドさんの事件を受けて、HBOが本作を再放送したり、キャストがこの件について声をあげたりする。ホワイトハウスの前の道路に書かれた「BLACK LIVES MATTER」の黄色い文字は本作のタイトルシークエンスを想起させ、なんだかフィクションが現実を予見したようにも思える。

4話くらいまではちょっと我慢かもしれない。そのほかのHBO作品でもあるあるだけど、ちょっとスロースターターで、徐々にエンジンかかってくる感じ。最初の方はみててあんまり進まないなあ~って感じがしたんだけど、結果的にすべてに意味のある話なので、ぜひ中盤まで頑張ってみてほしい。

特にローリーことブレイク捜査官がしっかり物語に参加してくるあたりから急激に面白くなる感じがある。それまで見てきた要素がガチガチと組み合わさり、さらにどんどんと複雑に展開していく感じ、最高です。

音声でも話しています↓


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