【完全簡潔考察】映画LAMB/ラム

『LAMB/ラム』は、2021年のアイスランド・スウェーデン・ポーランド合作の映画。R-15指定。 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの特殊効果を担当したヴァルディマル・ヨハンソンの長編監督デビュー作。

山間に住む羊飼いの夫婦
イングヴァルとマリア。
ある日、二人が羊の出産に立ち会うと、
羊ではない何かが産まれてくる。
子供を亡くしていた二人は、
"アダ"と名付け
その存在を育てることにする。
奇跡がもたらした"アダ"との家族生活は
大きな幸せをもたらすのだが、
やがて彼らを破滅へと導いていく—。




【⚠️以下ネタバレあり】


映画を見終わった後、
なんだこの羊人間は?となった。

そこで、イングヴァルを殺した羊人間についてと、そもそもアダという存在についての考察を書こうと思う。

映画の中では、妻マリア、夫イングヴァル、夫の弟のペートゥルが出てくる。妻はアダの産みの母羊を殺したり、弟と関係があったり、弟は金銭面やらが不誠実であったり、何かと問題(?)があるように見える。
しかし、映画の一番マトモそうな夫イングヴァルが撃ち殺された。そこが、この映画の核になっているんじゃないかと考えた。あの夫がマトモそうに見えて、本当は一番狂ってたとしたら…


まず、夫婦は娘を亡くしたという設定があった。
娘を亡くした夫婦はおそらく、セックスレスだった。
セックスレスだった夫は、性欲処理のために羊にしたんじゃないか?
そして生まれたのがアダだ。

映画のキャッチコピーでもある
「禁断(タブー)が生まれる」
動物と性行為をすることはキリスト教で厳しく禁じられている。
映画の劇中では「神様からの贈り物」として表現されるアダが、キャッチコピーによって、禁断の行為によって生まれ落ちた子であることを暗示している。

では、なぜイングヴァルが羊人間に撃ち殺されたのか?
それはイングヴァルは以前も、獣姦をヤッていたからじゃないのか。

つまり、羊人間の正体は先に生まれたアダの兄(イングヴァルの息子)だったのではないか?自身を異形の存在として生まれさせた父に対して憎しみを抱いて撃ち殺したのだ。
すると、羊人間が弟であるアダを連れ帰ったというのも納得がいく。
これは羊人間による父殺しの物語だったのか。

しかし、もう一つこのセリフの少ない映画の中で意味深なシーンがある。

それは物語の冒頭、「タイムマシーンが理論上作れる。」という話だ。これはマリア&イングヴァル夫婦が娘アダを亡くしたことから、過去へ戻って、やり直したいか?というコミュニケーションの様にも思えるが、そうではないと私は考えた。
この映画はそもそもタイムトラベル物なのではないか?ということだ。
もしかしてイングヴァルを殺したのは、未来から来たアダなのか?

きっと未来から来たアダが、異形の存在である自分を生まれさせた父に憎しみを抱いて撃ち殺したのだ。
これはアダによる父殺しの物語だったか。

あの羊人間は大人(おっさん)のような体つきをしていたが、それは未来から来たアダであるからかもしれない。


アダはイングヴァルに家への帰り方を教わっている。
「山を背にして歩くんだよ」
と教えられていたから、アダは過去にタイムトラベルしてきた際にイングヴァルたちの家がどこにあるのかということを覚えていたということか。

(アダの右手と羊人間の右手が違うから多分この説は違うだろうけど笑)





いろんな考察などを読んだ上で書きました。
この作品の監督曰く、見た人それぞれのいろんな解釈はできるということでしたので、私の考察も面白がっていただければいいです…!

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