第3話　怪談『こけし』（バス・お題「人形」）

これは小学校1年、2年くらいの時の話です。
私のクラスのある同級生の話になります。
　
その子はゆうこちゃんという女の子なんですが、
父親と2人暮らしでした。

　
ゆうこちゃんは普段は大人しい子なんですが、怒るとキッと相手を睨みつけてお父さんに言ってやるって言ってましたね。
余り仲良くはなかったんですが、前の席だった事もあり、覚えてるんですよね。

ゆうこちゃんに関してはこんなことがありました。
校庭で友達とケンカした時に、あまりに頭に来ていたんでしょうが、ソフトボール球くらいの大きさの石を持ち上げると、石にブツブツ言った後にそのケンカした友達に思いっきり投げてました。
幸い当たらずにその友達も走って逃げていきましたが、当たっていたら小さな女の子とはいえ、軽いケガではすまなかったでしょうね。

それは夏休み前のある日の事だったんですが、その時もゆうこちゃんは友達とケンカして怒ってました。
でもその時の事良く覚えてるんですが、凄い目つきで相手のことを睨みつけて、　
小声で「お母さんに言ってやる」と
あれって思いました。お母さんいないはずなのにと　
その時の冷ややかな言い方は今思い出してもゾッとします。　

その後、移動教室だったんで移動して、ノートを忘れた事に気付いて教室に戻ろうとした際廊下からですが、話し声が聞こえてきました。教室に入るとゆうこちゃんがランドセルの中にぶつぶつ言ってました。
その時聞こえたのがケンカしたあの子が憎いよ、お母さんと言ってました。
そして私の方に気づくとばっと走って教室を、出て行きました。　

ノートをとってすぐ戻ろうと思いましたが、そのランドセルの事が気になりランドセルをみました、そうしたらランドセルの下の方に白いその子が顔を書いたような小さなこけしみたいのがありました。
なんだか怖くなりすぐ教室をでて、移動さきに行きました。
そして移動の授業後は何もなく普通でしたが、その時に見せた見たことのない表情と奇妙なこけし、これが脳裏に焼き付いて離れませんでした。
そして、その時にゆうこちゃん以外の女の人の声が聞こえたこと、それが自分の勘違いなのか、でもゆうこちゃんと違う声の女の人の声だったんです。

その後なんですが、夏休み明けてみるとゆうこちゃんは転校し、いなくなったんですよね。

夏が終わり冬になりかけの時ですかね、町で事件が起きました、ある近くの山からどうも女性と思われる白骨死体が発見されたと、それが、ゆうこちゃんの母との事でした。小さな町で起きた事件でしたので子供の私でも耳にしました。
犯人として、父親も容疑に入っていたみたいですが、
有力な証拠もなく犯人は分からずじまいでした。

ここからは私の考えになりますが、ゆうこちゃんはあ時手書きで顔を書いた白いこけしはもしかしたら母親の骨だったのではないか、だからあの時ランドセルの中をみて、お母さんに言っていたんではないか
だとしたら犯人は誰なのか？

そして犯人は今も捕まってません。

https://youtu.be/GYrQ6m2BNDo