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「即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。」で一番まともなのは誰なのか問題

1.はじめに

実のところ、私が「即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。」の書籍版を読み直したのは、「即死チート」には大量のキャラクターが登場する(そして退場しまくる)けど、結局のところ一番まともなのは誰なのかなあ、やっぱりリックさん(リチャード第三王子)で決まりなのかなあと疑問を持ったからです。

というわけで、「即死チート」の書籍版14巻+後始末編まで読み切ったうえでの、私なりの最終的な結論を出したいと思います。

2.「即死チート」でこいつはまともだランキング

1位 リックさん(マニー王国第3王子リチャード)

リックさん(マニー王国第3王子リチャード)

WEB版を読んでいたときから、こいつはまともだなーと思っていましたが、書籍版を読み切った結果、1週目も2週目もまとも過ぎて、文句なしの優勝です。「即死チート」で一番まともなのは、リックさんです。

ここからは、自分なりの考察を書いていきます。劇中でのリックさんの属性としては、王剣位(第7位)の剣士であり、スキル無効化能力を持つマニー王族の一人である第3王子です。まず、王剣位(第7位)ですが、努力で到達できる限界が天剣位(第5位)なので、まだ先があるとはいえ、スキル無しなら十分頑張っていると思います。だからこそ、スキルを手に入れるため、剣聖の試練に挑戦したのでしょう。

つまり、リックさんはスキル至上主義の「即死チート」世界において、まともなスキルを持っていなかった可能性が高いです。もちろん、マニー王族は、スキル最強世界におけるメタスキルである「スキル無効化」を持っているので、それだけでも十分に価値があるわけですが、リックさんの「スキル無効化」は王族の中ではそこまで強くはない(国王が篠崎さんに殺害された後の代理が第1王子でしたし)感じがするのと、そもそもリックさん自身が「スキル無効化」を積極的に活用していない感じを受けます。

海賊のデグルさん(元マニー王族)が復讐心からとはいえ、「スキル無効化」を海賊の親分として積極的に使いまくっていたことを考えると、「スキル無効化」は場所を選ばず発動できるはずなので、例えば剣聖の試練でリックさんがスキル無効化を使わなかったのは、本人の意思なのだろうなと。強さだけを考えるなら、「スキル無効化」で相手の能力を無効化して、王剣位として切るみたいなのが間違いなく有効だと思うので。

つまり、リックさんはマニー王族として「スキル無効化」を生まれながらに持っていたけれども、血筋ではない自分なりの強さを手に入れたいと思って、剣技を鍛えた努力の人なのだと思います。

リックさんは、一般的には、血筋もよく努力家なので、それほど悪い経歴には見えないのですが、本人的には劣等感を感じていたのではないかと私は考えています。その対象は、テレサさんとダリアン第2王子です。

テレサさんは、元剣聖の騎士であり、轟剣位(第3位)の剣士でもあります。つまり、リックさんが剣聖の試練に挑戦して手に入れようとしていた剣士として欲しいものを、既に持っていたということになります。姉のセレスティーナさん曰く、テレサ姉妹はマニー王族としては傍系も傍系でいなくなっても誰も気にしなかった、らしいので、「スキル無効化」能力はそこまで大したものではなかった可能性はあります。ただ、そうなるとテレサ姉妹の糸使いとしての強さは、純粋に本人のスキルということになります。それを活用して、剣聖の騎士という公的身分を手に入れていたのがテレサさんということになりますね。(そして、人の命が軽い「即死チート」世界で、剣聖の騎士を剥奪されているとは、何をやらかしたんでしょうか。)

書籍版の感想では、主神マルナリルナのお気に入りとして紹介したダリアン第2王子ですが、彼は転生者(いわゆる前世の記憶がある)であり、SE(システムエンジニア)のスキルを持っています。本編では、エウフェミアさんの仲間である半魔の取り扱いを巡って高遠くんともめた結果、即死チートの能力に触れてしまい発狂してしまったのですが、その経歴は実のところ大したものです。ちなみに、今更ですがダリアン王子はWEB版では見た記憶が無かったので、書籍版で追加されたキャラクターだと思います。

ダリアン第2王子は、転生者ということで前世の記憶があるのですが、前世でも普通の成功者としての人生を送っていました。そして、主神マルナリルナの介入があったとはいえ、SE(システムエンジニア)という、世界のルールに介入が可能なスキルを手に入れた上に、本人の性格としてきちんとスキルの検証を行って活用しており、賢者からも勧誘を受けています。つまり、最低でも賢者級の強さはあります。(実際には天盤級に届きかけだと思っています)これについては、マニー王族を理由に賢者入りを辞退しており、本人は無敵軍団と名付けた世直し軍団を率いて、王国を回って人助けをしています。

つまり、ダリアン第2王子は、マニー王族でありながら、賢者から勧誘が来るレベルのスキル能力者であり、その能力を活用して人助けをして回っています。高遠くんともめた結果発狂してしまったとはいえ、基本的には性格も善人の範疇ではあると思ってます。本人的には、スキルを強化してさらなる高みを目指す(それこそ主神マルナリルナを超えるみたいな)野望はありますが、スキルを使って人々をあえて苦しめたいみたいなことはしないので。

リックさんは基本的に善人なわけですが、そうだからこそ優秀なスキルを持ち、人助けも積極的に行っている兄のダリアン第2王子の存在は、眩しく思えていたはずです。(まあ、ダリアン第2王子は書籍版からの追加キャラクターだから、実際はリックさんとの絡みは全然ありませんでしたけど)

リックさん(リチャード第3王子)は、劣等感を感じる存在が身近に存在したにもかかわらず、努力を続け、困っている人がいれば手助けをする、非常にまともな人物だと言えるでしょう。

2週目も、大賢者ミツキのアナウンスがあったとはいえ、「世界の敵」高遠夜霧を倒すため、地底クエストに即座に参加しており、人の良さは変わっていません。最終的に高遠くんと出会う前に海賊のデグルさんに殺害されてしまいましたが、2週目に高遠くんと出会っていたらどのような展開になっていたかは、わりと考察のし甲斐があるテーマだと思っています。(雑に考えるなら、壇ノ浦友千佳さんが壇ノ浦流で倒して、1週目の話とかをして終わりって感じかな)

2位 ライニールさん(千鳥足の漂流者(ランダムウォーク))

ライニールさん 千鳥足の漂流者(ランダムウォーク)

リックさんが1位なのは確定で明らかなのですが、2位を選ぶとすれば、同じく剣聖の試練に参加したライニールさんを選びたいと思います。

リックさんが常識人としての評価だとすれば、ライニールさんは仲間想いとしての評価になります。

ライニールさんは、女神ヴァハナト(兄嫁)に千鳥足の漂流者(ランダムウォーク)のスキルをもらって、わび石片手に「即死チート」世界を攻略している苦労人です。そもそもランダムウォークのスキル自体が、女神ヴァハナト(兄嫁)が封印された魔神アルガバルマ(兄)を復活させるための罠スキルだったわけで、高遠くんがいなければ、狙い通り復活させることができたことでしょう。

そんな罠スキルを手に入れてしまった、ライニールさんですが、戦闘能力は正直高くありません。詫び石でレア装備をかき集めて戦う描写はありますが、女神ヴァハナトによって、運勢を最悪に固定させられていることもあって、特に1週目はそれほど強化できている印象はありません。

ただ、実際の戦闘では、ライニールさんはとても活躍しています。女神ヴァハナト戦でも、雑談することで時間を稼ぎ、ヘッジホッグが女神ヴァハナトを攻撃したことで、反撃のきっかけを作りました。

さらにUEG戦でも、運の悪さ勝負(ライニールさんが死んだら勝ちという勝負)をしかけることで、聖王の封印のための時間を稼ぎました。当然ながら、UEGには封印程度は全く効きませんでしたし、運の悪さ勝負も、結果としてUEGによって運勢を最良に変えられてしまった結果、負けてしまうのですが、結果的にUEGから見逃されることになります。殺戮を決意したUEGと直接対決して、死ななかったのは、高遠くんを除けばライニールさん(とフレデリカさん)だけなのでこれは快挙と言っても過言ではありません。

2週目は復讐の女神ヴァハナトのおまけとして、地底クエストに強制参加させられていますが、運勢はUEGに最良に変えられたままだったこともあって、わび石によりかなり強い装備を手に入れており、何だかんだいって決勝トーナメントまで到達できています。

ライニールさんは、千鳥足の漂流者(ランダムウォーク)による、わび石による手動復活+セーブポイントからの自動復活という、二重の復活能力を持っていたこともあり、自分の命を大量に消費した攻略が基本です。このあたり、即死チートにより自分も相手も復活したことを見たことがない高遠くんとは、正反対の特性といえます。

とはいえ、ライニールさんが女神ヴァハナト戦やUEG戦で時間稼ぎをしていた時点では、既にスキルを失っていたわけで、死ねばおしまいの状態でした。それでも、能力を持っていないなかで、仲間のために自分ができることを考え、実行するのは、賞賛すべきだと思います。即死チートの天盤級対策は、大体が人型で日本語も通じるのだから、とりあえず意思疎通を図ってみるべきではあります。能力面では隔絶しているので、そっちで何とかするのはほぼ無理ですし。とはいえ、それを実行できているのは、ライニールさんと花川大門くんぐらいかなと思います。そして花川大門くんは、基本的に自分のためににしか動かないので、ライニールさんの人の好さが際立ちます。

ライニールさんと言えば、魔法使いのフレデリカさんとセットというイメージが強いのですが、1週目は確かにそうです。剣聖の試練から女神ヴァハナト戦を経た結果、2人とも剣聖の騎士となっており、UEG戦では色々あった結果、ライニールさんの機転でフレデリカさんと2人だけ殺されずに済みました。しかし、グレートリセット後の2週目では、フレデリカさんは全く出てきません。その意味では、高遠くんが異世界転生してから、剣聖の試練に挑戦するまでの間(多分2カ月くらいかなと思っていますが)に、ライニールさんとフレデリカさんは再会したのだろうと思いました。つまり、グレートリセット直後は、ライニールさんとフレデリカさんは再会していなかったのでしょう。

そもそも、ライニールさんは転生者であり、女神ヴァハナトとは転生直後からの付き合いなわけですから、2週目で女神ヴァハナトとセットなのは、よく考えるとおかしくないですね。読者的には、フレデリカさんとセットの巻数の方が長いからちょっと違和感があるだけで。

それでは、ごきげんよう。

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