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MUSICUS! 感想のような駄文

 批評空間とパケ写を見て衝動買いした作品。とりあえずこの集合絵くっそかっこよくて最高だが、その調子で買うと心が辛くなるので注意。それでもこんな駄文を書かせる程度にはパワーのある作品で冬休み4日消化したが後悔はない。攻略順は弥子→めぐる→澄→三日月。この作品は攻略順によって感じ方や評価が大きく変わるが、ハピエン厨の自分はこの順番で読めて本当に良かった。以下ネタバレ含。随時追記。





 最初は音楽最高!と思わせてくれるシナリオなのかなと楽観的に思っていたが全然そんなことはなく、いい意味で予想を裏切られた。ストーリーに何かギミックがあるとか伏線が回収されるとかはそこまでなく、様々な感情や人生観・死生観をこれでもかというほど叩きつけられて、読み進めるのが苦しくて、それでもどこか面白くて夢中で読んでしまう不思議な文章。弥子√の時は普通に楽しく読めたけど、澄√読んでるときは下手なホラーゲームよりよほど怖かった。それでも三日月√の、楽しいこともつらいこともありありと書かれた「人生」は、どこかいいなと思わせる物語で。挿入歌も本当に良くて、「ぐらぐら」はもちろん、花井是清の言葉からのスタジェネの曲は普通に泣いた。反則。


 メイン√が徹頭徹尾爽快かと言うとまったくそうじゃなくて、切ないし苦しいし絶妙な感情にさせられる。自分はこのライターさんの過去作品未プレイだから、いろんな考察見て理解はしても共感はできないし、人によって評価がかなり分かれる作品なのは間違いない。結局このシナリオも、花井是清の「作品は周辺情報に左右される」という言葉から逃げることはできないけど、作者の真骨頂だとか伝えたかったことは分からなかったかもしれないけど、それでもこの作品をやってよかったと思えるから、音楽に限らず創作物はこれでいいのかなと思いました。

 それにしても三日月とかいう、距離の近さと遠さを同時に感じさせる滅茶苦茶なヒロインは何なんだほんとに。心がつらい。自分が今までプレイしてきたけど、こんな感情にさせるヒロインは初めてで本当に魅力的。馨と三日月の会話一つ一つが尊くて。野暮だろうけど、頼むからいつかもう一度馨ともう一度結婚して幸せに暮らしてくれ。ずっとイチャイチャしてろ。でも婚約解消後もずるずる愛を引きづっているような光景も想像できなくはない。


 いろいろな感想を読んでの感想。瀬戸口作品をプレイしている方々にとっては澄√が真骨頂だそうで驚いている。三日月√は評価が割れており、ご都合主義だとか、音楽を辞める理由と復活する理由が薄いだとか、花井是清の言葉から逃げているだとか、理解できてしまう部分もある。バンドマンの方で前作と比べての澄√の救いのなさに絶望している感想も見られた。それらに比べると自分の感想は非常に浅く、終わった直後のTwitterの感想「ロックンロール最高!」は振り返るとネタかな?と笑ってしまう。しかしそれでも私は言いたい。「だから何だっていうんだ!」ハピエン厨上等。音楽は人の生きざまであり、生きている限り心から溢れ続けるものだと私は信じたいし、信じ続けようと思える。ロックンロールは希望であり、人間賛歌だと私は言い続けたい。BADが真骨頂だろうがなんだろうが、私はシナリオ中の、彼らの人生の希望と情熱を救い上げて噛みしめていきたい。なんだか金田みたいなこと言ってる気がするが、彼のことは嫌いではない。

 あと、BADと三日月√の分岐点である三日月のソロデビューについて。馨ってサイコパスだけども、優しいし、人を思いやれると思うんですよね。いくら三日月を音楽の世界に羽ばたかせたいからといって、バンドを出たくない三日月に対して、約束を破ってまで追い出すことはしないと思うけれども、どうだろうか。私はあのBADこそがIFだと感じるし、三日月√はTUREエンドであってもいいのかなと。

 ここまで感情を吐き出すように文章を書くのは初めてだが、三日月√は、婚約は解消したとはいえ(許さんより戻せ)、大団円で締めくくられるのにもかかわらず、何故こんなに心が苦しいのか。サクラノ詩やCHAOS;CHILDでもここまで辛くはなかった。考えてみれば、理由はいくつかは挙げられる。まず一般的なノベルゲーに比べてゲーム中の経過時間が長く、人生を見せつけられていること。普段目をそらしている死や人生、時の流れの速さについて語られることが多いこと。何よりも、自分自身の現在の医学に対するモチベーションの低さ、多少の音楽経験が、絶妙に刺さったのだろうと思われる。書いている今でも割とキツいが、こうして文章を書かせるだけの情熱を受け取ることができたのはよかった。バンドやろうぜ!とまで楽観的にはなれないが、これをきっかけに何かしら創作活動を始めてみるのもいいかもしれない。


 基本的にはよかったけど、トラウマBADとか微妙にすれ違う馨と三日月とか、何度も叩きつけられる人生観で心が辛いので、似たような作品はしばらくやりたくない。やはりストーリーが面白くて伏線回収が鮮やかで爽快な作品が自分の好みだということがよく分かりました。その点サクラノ詩は全部合わさって最強なのではないだろか。全然爽快じゃないけど。今後は途中になってる金色ラブリッチェをぼちぼちやりたい所存だけれども、キャラゲーも自分に向いてないのが分かったし、結局無難になろう小説漁って時間過ぎそう。まったく手を付けてない村正もいつかやりたい。レイライン?知らんな。

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