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すばひびHD版 感想メモ

数年前からやろうと思いつつ手を出していなかった本作を、セール最終日に滑り込みで購入。人を選ぶ問題作・名作と聞いていたが、個人的にも賛否両論。ネタバレあり。




・俺つばをプレイする前に読みたかった。数年前に、トリックが共通云々という作者のネタバレツイートをうっかり見てしまったのもあり、序章の伏線の多さが仇となってすぐにトリックに気付いてしまった。本当に勿体ない。伏線に鈍感であることも物語を最大限楽しむためには必要。それはそれとして俺つばは俺つばでめちゃくちゃ面白かったので何とも。

・シーンごとに見ると、どこを切り取っても印象的なものばかりで本当に素晴らしい。最近はノベルゲーが睡眠導入剤になってきている自分だが、飽きずに最後まで一気にプレイできたのは奇跡に近い。以下印象に残ったシーン。

序章:銀河鉄道。ノベルゲーの強みが存分に生かされてる。
1章:由岐が若槻姉妹を探しに行くシーン。恐怖で手が震えてテキストが送れなかった。
2章:精神症状描写。凄まじい。卓司と希実香の屋上での会話。希実香END。
3章:希実香√全般。テンション低くてもイキっても怒っても可愛い。ざくろと智守と3人での会話が好み。いじめシーンフルボイスはかなりきつい。
4章:全体的に素晴らしい。マスターと智守の一騎打ちは泣いた。
5章:特になし。羽咲可愛い。
6章:智守と由岐の星空の下での会話。お別れの場面。その後の兄妹のあがき。

・音楽に関しては今まででプレイしてきた中でも最高レベル。幻想的なピアノBGMを聞きながら詩的・哲学的な言葉を読むのはとても心地よい。これだけでもやった価値がある。

・最終章のどんでん返しに期待しすぎて、物足りなさを感じてしまったのが正直なところ。コンテンツを消費しまくった弊害。

・細かい部分の伏線が回収しきれていないのが気になる。各々で考察しろということなのだろうが、ネット上は哲学的考察ばかりが溢れていて(もちろんそれらも面白いが)、自分の疑問を解決してくれない。以下暫定疑問点。

真夜中に鳴るチャイム。目覚めた卓司に対して希実香が「機嫌よく踊っていた」と言っていたが、あれはなんだったのか(誰なのか)。デパートの屋上で高島ざくろと初めて会った卓司は誰か。

・本作の醍醐味である哲学的な問いかけ・考察については、半分も理解できておらず、雰囲気でしか楽しめてない。本作では、そのような問いかけに対して明確な(分かりやすい)回答が用意されることは少ない。思考力が落ち、知識もない自分では、どういう意図でそのフレーズが引用されたのか理解しかねるし、脈絡のないテキストに見えてしまう。答えらしきものが明示されても、知識のなさゆえかいまいちピンとこない。惜しいとは思うが、ゲームを理解するために難解な哲学書を読もうという気にはどうにもなれない。根本的に本作に向いていないと思われる。結局自分はストーリーにしか興味がないのかもしれない。ただ、まったく理解も共感もできなかったわけではなく、死の解釈やこの世に誕生する者への祝福/呪いの話は興味深かった。

・高校生くらいの時期にプレイして価値観ぶっ壊すのが一番楽しそう。ストーリーの好みだけでいえばサクラノ詩の方がダントツで好きなので、すばひびを読み終えた今もう一度プレイしたいがそんな時間はない。

追記:オールクリア後は正直微妙な読後感だったが、序章を読み返すと、この物語に対する印象が変わった。流された結果素晴らしき日々にたどり着けなかったざくろも、愛する人を助け、素晴らしき日々へと導くことができた。ずるいともうまいとも言いたくなる章構成にただ脱帽。ここまで読んでようやくタイトル画面の由岐とざくろに辿り着けるのか。

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