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ただのキレイゴトか、それともただの真実か


思えば、漫画家として生きていくためにいろんなことをやってきた。

認知してもらえなければ、自分の作品を買ってもらえない。
自分の漫画を買っていただくために、ブログやSNSでの発信活動を、ここ2年継続してきた。

情報発信には、いくつかのテクニックがある。

例えば、有益な情報ばかりでなく、あえて無益な情報も発信する。

有益情報ばかりつぶやくと、botアカウントのように思われ、人が寄り付かなってしまう。逆に、どうでもいいような情報発信を混ぜると人間味が生まれ、親近感をもたれやすい。

だからボクは、Twitterでは有益なツイートを3回した後に、無益なツイートを1回混ぜるようにしていた。

他には、自分のブランディング、情報を伝えるターゲット選定、タイムラインは綺麗か、プロフィール文は最適か、フォロー数は多すぎてないか、アイコンは、ヘッダーは

などと、

そういった細かいところに気を使いながらも、認知度を高めるために発信活動を継続してきた。

が、

今はそんなこと、どうでもいい。

✳︎

「好きなことに情熱を注げば、人は勝手についてくる。」
ボクが尊敬している霊媒師兼ヨガ講師、クロ戌さんがよく言うセリフだ。


最初、彼にそう言われたとき、正直ボクはピンとこなかった。

その考えは確かにステキだ。ステキだし、魅力的だ。
だが、それはキレイゴトだ。
現実はそう甘くない。

好きなことをやって、人がついてきたらそれは確かにステキなことだけど、
認知されなきゃ見てもらえないし、そのためには発信したりしなきゃいけない。
好きで生きていくためにはそれなりの戦略が必要だ。

そう思っていた。

その価値観が、ここ数日でがらりと変わりつつある。
戦略とかどうでもいい。

キッカケはなんなのか、今となってはわからない。が、
ある種、挫折じみた感情を味わったからかもしれない。

好きなことで生きていく
そう思って、漫画業で独立を試みた。

「漫画でお仕事をいただきながら生活できたら最高だ。」

カラオケでのアルバイト生活が長かったボクは、独立前は、そう思えて仕方がなかった。


昨年の2月、貯金もろくにない状態でアルバイトを辞めて、今日までなんとか生き延びてきた。

自分で試行錯誤して活動するのは大変だ。大変だが、おそらく、自分で考え、活動していく様が楽しかったのだろう。続けてこれたということはそういうことだ。

ただ、ボクに向いてないことが2つあった。
営業と、漫画だ。

ひとつ目は営業だ。

個人で仕事をとるには営業力が必要だ。
ボクは幼いころから人見知り。
独立くして改めて実感したが、営業にはとても向いていなかった。

営業メールを、企業に送信していくだけで心が疲れる。
対面すれば尚更疲弊は免れない。

精神的に疲れると、その後の作業にも影響がでる。
精神を消耗しすぎて、漫画を描けなかった日もいくつかあった。

トータルで考えても、活動効率はよろしくはない。


ふたつ目は漫画だ。

漫画といっても、ここでいうのは仕事漫画だ。
クライアントから受けて、「こうやって描いてください」という指示のもと作成する漫画の話。


「漫画でお仕事をいただきながら生活できたら最高だ。」
独立当初はそう思えて仕方なかったが、現実は違った。

仕事漫画は、モチベーションが上がらない。

〝描いた漫画が自分のものにならない〟というのがいちばんの理由だろう。
ボクはひとりっ子だ。大抵のものは与えられた。ずいぶんわがままに育ってきた。

自分の思い通りにならないと気が済まない。
とまではいかないが、誰かの指示で、誰かのものをつくるのは面白くないのだ。

創作漫画は自由だ。
内容は全て自分の思い通り。
思うがままにことを運ばせ、物語を完結させる。

完成した作品は自分のものだ。
自分のためにならいくらでも描ける。


でも、仕事漫画はそうはいかない。
クライアントの指示のもと、クライアントのための作品を描くことになる。
仕事漫画はそういうものだ。わかっている。

ただ、ボクはそういった漫画を描くことにモチベーションが上がらなかった。
これはやってみたからわかったことだ。


やっぱりボクは、自分の漫画を買っていただいて、生活していきたい。

独立して1年が過ぎた。
独立した当初と状況が大きく変わっているかと言われたら、そうでもない。
漫画の仕事はなんとか取れているが、生活は未だにギリギリ。

毎月、「来月はアルバイトしないとな」と考えてしまうほどだ。

周りを見ると、独立して1年もたてばできる人は起動に乗っている。
独立から数ヶ月で、仕事を取って回して、充分なお金を稼いでいる人もいる。


人と比べるはあまり良くないとは思いつつも、そういった人たちと自分を比べると、

「あ、おれは向いてないんだな」と思ってしまう。

おそらくそうだろう。仕事漫画で食べていくのは、ボクに向いていない。
営業が苦手なうえに、仕事漫画の制作にモチベーションが上がらないのだ。

もし営業が苦手ではなく、仕事漫画を描くのが好きだったら、もう少しいい結果になっているはずだ。

そんな自分を俯瞰してみたときに、この場所でもがくことに疑問を感じる。

「好きな漫画を描いて生きていきたい。」

そんな思いが、ここ最近で強くなってきた。

✳︎

「好きなことに情熱を注げば、人は勝手についてくる。」
ここでクロ戌さんの言葉が妙に響いてくる。


もう、余計なことは考えず、ただただ自分の創作に没頭していたい。
今は純粋にそう思う。

発信の細かい戦略とかはもうどうでもいい。ただ、こうして自分をさらけ出している。

この記事も、書きたいからただ書いている。頭の中、思考の流れが止まらない。


「好きなことに情熱を注げば、人は勝手についてくる。」
この価値観はキレイゴトなのか、それとも、世の中の本質なのか

今はこれを実証したくてしょうがない。

事実、クロ戌さんは、実に自由な発信でTwitterのフォロワー数を伸ばしている。
世間の批判を恐れず、思ったことをズバッと言い切る。


例えばボクも、彼のようにありのまま発信したら、本当にそうなるのか。

好きを貫いて活動したら、本当に人はついてくるのか。

ここ2年で染み付いた余計なもの、ビジネス的な考え方を極力削ぎ落として、素の自分で攻めてみたい。

現実問題として、とか
そういうことは一旦おいておいて

好きな漫画を描いて活動を続けたいと、自分に素直になったらどう変わるのか。
ちょっと、やってみる。

ありのままを発信して、描きたい漫画を思い切り描いて、
自分の人生を違う感覚で攻めてみる。

キレイゴトは本当にただのキレイゴトなのか、それともこの世の本質なのか
人生を使った実験である


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