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『スモール イズ ビューティフル』を読んで

今回は『スモール イズ ビューティフル』を読んだ感想をまとめておく。
正直私には内容が難解だったため、読み終えるのに2週間くらいかかった。
そしてnoteに投稿するのも躊躇したが、今の私の理解できた部分だけでも残しておくことに価値があると思い、まとめることにした。

■なぜこの本を読んだのか

友人の紹介だ。彼はとても熱い方なので是非薄着でご覧ください。
彼に紹介されていなければ、おそらく一生手に取らなかったかもしれない本だった。

■本書の紹介

E・F・シューマッハーという経済学者が、1973年に書いた本だ。彼は1977年に亡くなっており、日本語訳されたのは1986年らしい。

本書の内容は、筆者の立場から、本書が書かれた時代の(から続く)経済社会の在り方に対しての警報が書かれている。
今から30年以上も前の経済社会の話と考えるとやや古いと感じるかもしれないが、今現在にも通ずる部分が多くあると感じた。
富のある国がさらに富を得る。ただしその富には「地球という富(資源)」は含まれているのか?
地球の資源を失いながら得た富とは一体何なのか。

(本文抜粋)
ただひたすら富を追い求めるのを目的とする生活態度ーつまり唯物主義ーは、自己抑制のための原理を欠いているので、有限な環境とはうまく折り合えないのである。
(本文抜粋)
社会が豊かになればなるほど、価値はあってもすぐには採算に乗らないことをするのがむずかしくなる。
(本文抜粋)
人類にとってかけがえのない地球が子孫を不具にするかもしれないような物質で汚染されているのに、経済的進歩、高い生活水準について語ることにいったい意味があるのだろうか。

富を求める続けるための技術開発ではなく、真の豊かさを実現するために技術を利用しようという立場で、経済社会の問題点を述べている。
しかし、筆者は決して経済活動を止めろ、と言っているわけではない。一つの巨大な経済圏を中心とした社会ではなく、それぞれの小さな経済圏で豊かに生活できる人間中心の社会に変えていこう、というのが筆者の意見だ。
小さいことは実は美しい、そんな想いがタイトルからも感じ取ることができた。

■自分まとめ

 本書から学んだことは大きく2つ
1.有限ではない資源が前提にあることを理解する
2.貧富の差を埋めるためには教育や規律が不可欠

1.有限ではない資源が前提にあることを理解する

世の中には、第一次財と第二次財の大きく2つの「財」がある。
第一次財には、再生不能財(石炭・石油など)と再生可能財(おそらく風力や太陽光など)がある。
第二次財には、工業製品とサービスがある。

第二次財が財であることはなんとなくピンと来たが、第一次財については言われてみれば確かにそうかと思った。
この工業製品やサービスを代表とする第二次財は、第一次財が存在することを前提としており、いくら人間が新しく第二次財を造る能力を上げたとしても、第一次財を確保(生産)できないならば何もできない。第二次財を生み出すということは厳密には生産者ではなく、言ってみれば加工者でしかない。

(本文抜粋)
物的資源には限りがあるのだから、自分の必要わずかな資源で満たす人たちは、これをたくさん使う人たちよりも相争うことが少ないのは理の当然である。同じように、地域社会の中で高度な自給自足的な暮らしをしている人たちは、世界各国との貿易に頼って生活している人たちよりも、戦争などに巻き込まれることがまれである。

贅沢をするのが理想と思うこともあるが、質素で必要最低限の生活を送ることができるのも人間としての幸せなのかもしれないと思った。

2.貧富の差を埋めるためには教育や規律が不可欠

(本文抜粋)
貧困の原因はとしては、天然資源が乏しいとか、産業基盤が不十分だとかいった物質的要因はまったく二次的である。貧苦の主たる原因は、非物質的なもの、教育、組織、規律の欠陥なのである。
開発は、モノから始まるのではない。人間とその教育、組織、規律から始まる。

加えて筆者は、以下のようにも述べている。

(本文抜粋)
援助を与えて何か新しい経済活動を始める場合、その活動が役に立ち、長続きするものとなるのは、これを支えるだけの教育水準にかなり広い層の人たちが達している場合に限る。そして、それが本当に役に立つものになるのは、その過程で教育と組織と規律が向上するときだけである。

つまり、魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えた上で、魚の釣り方をその集団の規律として習熟させることができない限りは、経済的な援助は無意味であるようだ。このことが理解されない限り、単なる経済援助を行ったところで、途上国は先進国の産業の下請けとして低賃金で労働することになり続けるということなのか。

余談であるが、上記のような貧困から脱するための教育や規律の重要性を理解した上で、近年の中国やインドなどの経済成長にはどのような背景や活動があったのか興味が湧いた。

■今後に活かすこと

今後に活かすことを考えるのが最も難しかった。
読んだ直後は、確かに今のままでは問題点は多そう、そして問題の原因はかなり深いところにありそうなことは分かった。少しずつより良い方向に変えていかなければとは思ったが、じゃあ私は何をしようか、これが素直な感想だった。

ひとまずは、お金の関係ではない人間関係をもっと築いていくことにする。
労働者である前に1人の人間なので、地球と共に長く付き合っていけるような仲間を増やしていきたい。そのためにも日々自己研鑽をし、周囲の人が困っている時に助けてあげることができるような人になりたいと思った。まだまだ知らないことが多すぎるので、今後も少しずつ自分をアップデートしていく。

おしまい。

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