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アメリカ:女性修道会の宗教指導者会議の新会長、信仰生活を巡礼にたとえる

USA: The new head of the LCWR compares religious life to a pilgrimage
(GSR photo/Dan Stockman)

アメリカのシスターの数が減っていることは、嘆くべきことではなく、むしろ神への信頼が重要な新しい巡礼の道を歩む自分たちを見つける機会となるべきだと、アメリカのドミニコ会のシスター、モーリーンは述べた。8月11日付で、彼女はアメリカのカトリック女性宗教指導者会議(LCWR、The Leadership Conference of Women Religious)の新会長に就任する。彼女は、8月7日付のナショナル・カトリック・レポーター誌(NATIONAL CATHOLIC REPORTER)のインタビューで、新しい役職への考えと計画について語った。

そのなかで彼女は、とりわけ自国の修道女数の減少について言及した。確かにアメリカにはまだ約4万人の修道女がいるが、そのほとんどが70歳を超えている。彼女はこの状況を、2015年に3人のシスターと行ったサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)への巡礼の旅、カミーノ・デ・サンティアゴ(the Camino de Santiago)を歩き、中断することなく2週間で全行程を踏破したことに喩えた。そして、女性修道会への召命が減少している現状と比較し、イエスに絶えず信頼しながら、定められたルートを歩くことが必要であると語った。

インタビューの大半は、彼女自身の召命についての説明に費やされた。モーリーン・ギアリー(Maureen Geary)は1956年、ミシガン州グランドラピッズ(Grand Rapids, Michigan)に生まれた。そこには、ドミニコ会の修道女会が運営する大きな学校がある。信仰深いカトリックの家庭に生まれた彼女は、この学校を卒業後、カトリックのノートルダム大学とミシガン州立大学で法律を学んだ。29歳で、すでに恵まれた才能を発揮していた彼女は、ジェラルド・フォードがアメリカ大統領に選出される前に勤務していたアメリカの有名な法律事務所であるロー・ウェザー&リチャードソン(Law Weather & Richardson)で、上級職に就いた。
人生すべてがうまくいっていると思われた矢先、幼い頃から心から敬愛していた父親のフランシス・ギアリーが癌に侵され、数か月後に亡くなった。枕元で看病しながら、彼女は、『人生の本当の意味と、苦しんでいる人々を救うために自分ができることをもっと考える』ようになった。カトリックの学校やノートルダムでの修養会の思い出がよみがえった。モーリーンはまた、日頃から交流のあったシスターたちと、神との関係について話すことにした。

自分のなかに、神の呼びかけを感じた彼女は、1987年、31歳のときにグランドラピッズのドミニコ会修道女会に入会した。ミズーリ州セントルイスで他の10人の候補者と共に修練院を修了した後、母修道院に戻り、以前の学校でしばらく教えた。彼女はまた、自分の技能と資格を活かして、ホームレスを助けるためのあるプログラムを実施することにした。彼女のおかげで、市はこの目的のために500万ドルの連邦補助金を得ることができた。

シスター・モーリーンは、その資金を『困っている人々の最大の利益のために、組織的に使うこと』を決めた。彼女と一緒に働いている救世軍のベティ・ジルストラ理事は(Betty Zylstra、the Salvation Army)、報告のなかで、このドミニコ会のシスターを「人や問題を過小評価せず、意味のある質問をすることができ、さまざまなプロジェクトを完成まで見届けることができる」と称賛している。このような彼女のカリスマ性と、先に取得した資格は、自身の修道会でのさまざまな職務においても実を結んだ。シスター・モーリーンは、今やLCWRの会長に選ばれるほど有名になった。

彼女の声明には、今世紀の最初の10年間に起こった『バチカンとの対立』についての言及はない。2008年、当時の教皇庁教理省長官ウィリアム・レベイダ枢機卿(Cardinal William Levada、1936-2019)は、過激なフェミニズムやニューエイジ・イデオロギーなどの精神に基づき、教会の教えに反する見解が説かれる集会を開いているとして、アメリカの修道女たちを非難した。当時のアメリカの教皇庁担当官は、修道女たちとの話し合いを『耳の聞こえない者との対話』と呼んだ。

2007年には6万人以上いたシスターの数が劇的に減少し、現在はわずか約4万人となっているが、新会長の視線は全く異なる方向、つまりこの新たな状況でどうやって進むべき道を見つけるかという方向に向いている。サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼を思い出しながら、彼女はこう語った。「巡礼は、私たちが現在置かれている状況の素晴らしい隠喩(メタファー)だ。ここで何か新しい道を探す必要はない。なぜなら、巡礼はすでに示された道を歩くことだからだ。そこではイエス・キリストが道しるべとなる」。

カトリック女性宗教指導者会議(LCWR)は1956年に設立され、現在1,500人以上の会員がおり、アメリカの約4万人の修道女の80パーセント以上を代表している。この組織のおもな目的は、シスターたちが福音伝道の指導的務めを遂行できるよう支援すること、社会変革のためにカトリック教会内および社会と協力すること、教会と社会の重要な傾向と問題を研究すること、あらゆる形態の暴力や抑圧を経験している人々と連帯すること、 宗教的指導のための資料を作成し広めることである。

Fr. jj (KAI Tokyo) / Grand Rapids


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