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インド:祝福された修道女を描いた映画はカトリック修道女へのヒンドゥー教徒の態度を変えられるか

India: will a film about a blessed nun change Hindus' attitude toward Catholic nuns?

「ザ・フェイス・オブ・フェイスレス」

2023年にインドで撮影された映画『The Face of the Faceless/ザ・フェイス・オブ・フェイスレス』が現在、国内の多くの映画館で上映されている。1995年に刺殺され、2017年11月4日に列福されたカトリック修道女、シスター・ラニ・マリア(Sr. Rani Maria)の生涯と活動を描いている。地元のカトリックメディアによると、この映画は、いまだに『敵対的なプロパガンダの結果、顔のない人間として』扱われている修道女の存在と使命というより広いテーマにも触れている。

欧米の数カ国語に吹き替えられたこの作品は、すでに世界中の映画祭で約30の賞を受賞している。2024年3月に開催されるアメリカ・アカデミー賞(オスカー)の監督賞と音楽賞の候補(初期段階)にもなっている。

この映画で描かれているシスター・ラニ・マリアは、その社会的活動から、インド中部のマディヤ・プラデーシュ州最大の都市であるインドールで(Indore, Madhya Pradesh)『インドールの女王』と呼ばれていた。地元の貧しい人々や社会から疎外された人々がそう呼んでいたのだ。修道女は彼らの正当な権利のために闘ったが、それは一部の有力で影響力のある人々から好かれるものではなかった。地元の金持ちの一人が、勇敢な修道女を殺すようサマンダー・シン(Samander Singh)という男に依頼した。彼は、休暇のために南部のケララ州(Kerala)へ向かうバスの中で、恐怖におののく乗客の前で彼女を殺害し、この任務を遂行した。修道女は間もなく死亡し、犯人は犯行現場から逃走したものの警察に逮捕され、殺人罪で終身刑を言い渡された。

インドのメディアはシンの裁判を大きく報じた。そのなかで、とりわけ被害者からの手紙が読み上げられた。彼女は命を失うことを覚悟し、将来の殺人者たちを事前に許していた。獄中で犯人は修道女の母親と面会し、母親も犯人を許した。その結果、サマンダー・シンはカトリックに改宗し、洗礼を受け、フランシスコ会の第三会の会員にもなった。これが、インドのクララ会(Indian Poor Clares)が率先してシスター・ラニ・マリアの列福手続きを開始した理由である。

「この映画は、最も深い意味での赦しの重要性を示している。(中略)それは(自己犠牲の)理解についてのメッセージであり、それは私たちの社会に大きな影響を与えるものだ」と、この作品に大きく貢献したシロ・マラバル・カトリック教会の(Syro-Malabar Catholic Church)元代表ジョージ・アレンチェリー枢機卿(Cardinal George Alencherry)はインドのメディアに語った。

「この映画を観たあと、ヒンドゥー教の信者は、これまで 『顔のない人』として扱われてきたカトリックの修道女に対する態度を改めるでしょう」と、聖霊会(Mission Congregation of the Servants of the Holy Spirit、神言修道会the Society of the Divine Word -the Verbistsの女性支部)のシスター・マリア・フィロミナ(Sr. Maria Philomina)は述べた。

Fr.jj / Kai - Tokyo


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