The Naya を支える映像技術
この記事では DJ配信イベント「The Naya」で使用した映像技術や機材についてご紹介します。
The Naya とは何か
クリエイティブチーム「パイクサイス」がプロデュースするDJ配信イベントです。片田舎にある納屋を改造した配信スタジオからインターネット配信を行っています。
The Naya の歴史
2021年11月20日(土)17時から23時まで、Twitch 上で配信しました。
映像配信とパイクサイス
パイクサイスは The Naya の開催を行う以前からクラブイベントの配信を中心に活動しており、明大前 Cafe Bar LIVRE で開催された「みんなで音楽かけて座って聴く会」の配信や、The Naya と同じ会場を使用し ねおぴっぴさん が主催したDJイベント「Shake Garage!! - ぴっぴJapan#7」の配信を担ってきました。
パイクサイスはクラブハウスの暗所環境で高画質の配信を行うというのが一つのテーマです。Webカム、アクションカムなどでは実現できないクリーンな画質、用途に合わせたレンズチョイスによってシネマティックな映像から超広角のダイナミックな演出を行っています。
今回の配信のシステム構成
The Naya では4台のカメラと4chスイッチャー、配信ソフトに OBS Studio を使用し、Twitchに配信しました。システム構成は以下の通りです。
各カメラと画角について
1カメ
1カメは正面の引き画を撮影しています。
張り巡らされたLEDテープやパーライト、レーザーの光をできるだけ映すため、広角で全体を撮影しています。
2カメ
2カメはDJの手元のアップを撮影しています。
1カメに映り込まない位置から撮影するため、望遠レンズを使用しています。浅い被写界深度を生かした演出にも一役買っています。
また2カメは2000円以下で売られていた PW-HT202P という HDMI-CAT6 エクステンダーを使用してスイッチャーと接続しています。長距離のHDMIケーブルはやたら太く安定性にも欠けるため、LANケーブルを使えるのはコスト面でも使い勝手の面でもよかったです。ただし一癖ある装置だったため、事前のテストや予備機を用意しないと少し怖いです。
3カメ
3カメは床付近に設置しあおりをつけた角度で撮影しています。
張り巡らされたLEDテープの演出が最もよく見える角度です。
4カメ
4カメは電動ジンバルに取り付けています。DJの周囲を回る、離れた距離からドリーインするなどの撮影に使用しています。
以前配信を行った「Shake Garage!! - ぴっぴJapan#7」でもジンバルを使用したのですが、その際は10mのHDMIケーブルをもう1人のスタッフに捌いてもらいながら撮影しました。有線の場合ケーブルの重さによってカメラが動いてしまう、動ける範囲に制限があるなどの問題がありました。
今回は念願のワイヤレスシステムを投入し、ケーブルによる問題が解消しました。その結果DJの背後に入るなど自由に動ける、360ロールを使用した強烈な視覚効果が得られる、終演時の演出として建物の外まで歩いて出ることができるなど、無線のメリットは甚大でした。
スイッチャー
今回は Blackmagic Design の ATEM Mini Proを使用しました。
今まで使用していた ATEM Mini(無印) と同じサイズながらマルチビューモニター機能があるため接続したソースを全て確認できるようになりました。設営中のチェックから配信中のアングル確認、死んだカメラに気付けるなどの多くのメリットがありました。
またDJミキサーからの音声出力は ATEM Mini Pro のアナログ音声に入力しています。
ATEM Mini Pro にはUSB出力による録画機能があるため配信の録画はそれを当てにしていたのですが、PCにUSBで映像出力中は使えないという当たり前のことに直前に気づくなどの残念ポイントはありました。
配信用PC/ソフト
MacBook Pro 16 と MacBook Air M1 を使用しました。数時間のテスト配信を事前に行い MacBook Pro 16 を使用して配信を開始しましたが、30分程度で配信が停止するトラブルが発生してしまい急遽 MacBook Air M1 に切り替えました。
MacBook Pro で配信が停止してしまった理由は電源が抜けていてバッテリ残量低下で処理速度が下がったことが原因でした。
配信ソフトには定番の OBS Studio を使用しています。番組タイトルや出演中のDJの名前、Twitterのハッシュタグを検索して表示する機能などは全て OBS Studio で合成しています。
まとめ
この記事ではDJ配信イベント「The Naya」で使用した映像技術や機材についてご紹介しました。
パイクサイスはライブ配信における更なる映像表現を実現すべく今後も挑戦と改善に取り組んでまいります。
謝辞
The Naya の開催にあたりまして照明設備に多大なる御厚志を賜りましたダイヤモンドサービス様に深く御礼を申し上げます。
The Naya に関する全ての関係者の皆様、視聴者の皆様に、今回のイベント開催にお付き合いいただきましたことを、この場を借りて深く感謝いたします。
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