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最後の電話

小学校低学年の頃、学校帰りは祖母の家に帰るのが常だった。 ある時、両親がここを建て替えて二世帯住宅にしようと言い出し、休日になると住宅展示場に出かけて様々なタイプの家を検討した。祖母は一緒に出かける元気がある時もあれば、疲れたと家に居ることもあった。 その日は、家の片付けするわと祖母はお留守番。そこで、私は「いたずら」をした。住宅展示場慣れした私は、こっそり展示場の電話を借り祖母に電話をした。「なんかね、いま見てるのは茶色の多い家だよ。」とコソコソ話。「楽しみね」「うん、

    • 忘れられない人

      来る日も来る日も病院で過ごすような毎日を過ごしていた昔の話。 自分が診ている患者さんは、必ず自分が救ってみせる!って本気で思っていた。 Kさんは、入院を繰り返していた慢性の病気をもつ20代女性。入院が苦手で、入院中に精神的に落ち着かなくて錯乱状態になってしまうこともあった。外来で「データが悪化しているから入院したほうがいい」と話しても、「絶対に入院はしない。入院するくらいなら死んだほうがいい」という返事が返ってくるほどだった。 「少し血球が減ってきているから治療を追加し

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