GoToキャンペーン、大賛成(ただし東京都と大阪府と北海道は除外)その2

今日、用事があって、松本市から長野市までドライブした。行きは高速道路を利用したが、思ったより早く予定を消化したので、帰りは一般道を通った。

道筋には、川中島古戦場、真田幸村一族ゆかりの上田、千曲川のほとりの千曲市、冬はスキーでにぎわう聖高原、安曇野市など、観光名所が多い。だが、地元で設置した観光施設や付随するレストランなどはほとんど休業中だった。開いているのは、ファミレスなどいわゆるフランチャイズのチェーン店ばかり。

せっかく、アルプスの山並みに囲まれた信州路をドライブするのに、全国どこにでもあるチェーン店で食事するのも味けない。ちょうど昼食時だったが、なんとなく入る気がしないまま、ヘアピンカーブだらけの山道を通る羽目になった。松本に帰るまで昼食はお預けかなと覚悟したが、幸い、山道を降りた筑北村で、道の駅に隣接した食堂を見つけた。



メニューは、うどんとおにぎり。あとはおやきだけ。私は天麩羅や山菜のついたうどんセットを、同行した妻はおにぎりを注文した。タンパク質はお豆腐だけで、いわゆる精進料理だったが、地元の食材を使っていて、素材のおいしさが活かされていた料理に、とても満足した。少食な妻も、おにぎりを4つも食べ、「おいしいねえ」と道の駅で地元産のお米を買って帰った。

この店で、名前と住所、連絡先を書かされた。コロナ感染を防ぐための処置だという。

道の駅は国土交通省が管轄する、公的施設だ。地元の農産品を売ることで、地域活性化の拠点でもある。そんな施設で感染者が出たら、地元への影響は甚大だろう。喜んで、名前と連絡先を書いた。

https://www.mlit.go.jp/road/Michi-no-Eki/outline.html

筑北村を出て、国道18号線に入った。安曇野から松本へ向かう18号線ぞいのレストランは、ほぼ休店状態。すでに廃業した店も多いのではないか。

山形県の吉村美栄子知事が、GoToキャンペーンを批判した報道が、ネットで話題になっている。

ネットでの反応で気になるのは、あたかも吉村知事が、GoToキャンペーンそのものを中止すべし、といったふうな意向を示したと受け止められている点だ。

吉村知事は「全国一律はいかがなものか」とし、「(山形)県が進めているように、県内から隣県である宮城県、さらには東北へといったように、地域の実情に即して段階的に移動範囲を拡大していくべきだ」と発言している。

要するに、旅行そのものを否定しているわけではないのだ。

山形県は現在、「県民泊まって元気キャンペーン」を実施しており、県内の宿泊施設の割引クーポンを発行している。現時点では山形県民限定のものだが、うまくいけば隣県や東北全域に広げていきたいという意向らしい。

https://yamagata-genki.net/

ぼくも以前、例えば山梨県から長野県に旅行に来るのは、一向に構わないんじゃないか、と書いた。東京都民はすぐ、GoToキャンペーンとは「東京都民が地方に旅行する」ものだという、東京中心意識を捨てられない。それで感染拡大の恐れがあるのだったら、「GoToキャンペーンから東京都在住者は除外してください」と主張すればいい。

コロナ禍の前から疲弊している地方経済活性化のため、なんらかの措置は必要で、たとえば上記の山形県の取り組みなんかは、検証の上で評価されるべきだろう(いんちき臭い大阪モデルとかではなく!)。国のやるべきは、そうした地域の取り組みを背後から支援する事であり、支援しつつ、感染の実態を把握した上で、旅行を自粛すべき地域と、活性化すべき地域を峻別する事だ。

この国はなんでも「一律」が好きだ。「あいつだけ、ずるーい!」は、保育園児幼稚園児以来、日本人にとって最強のパワーワードだ(その一方で、なぜか「名門」「世襲」の特別優遇は許される)。

GoToキャンペーンを推進したい勢力が、何が何でも「一律実施」を目指す一方で、反対したい勢力は、何が何でも「一律中止」を叫ぶ。

だから、この国には多様性を活かした民主主義が根付かないのかもしれない。


【追記】

宮城県、福島県の知事も、GoToキャンペーンに懸念を示した。村井宮城県知事は「東京でコロナ感染者が増え、宮城も東京が由来の感染者が多くなっている」と述べ、内堀知事は「全国一律ではなく、近隣地域の誘客から始めて段階的に範囲を広げるなど、地域の実情に応じて実施するべきだる」とした。要するに、観光活性化が大歓迎だが、東京から来て貰っては困るという事だ。

東京都民は、こうした地方からの眼差しを、もっと意識すべきじゃないのか。意識していたら、あんな「発信力」だけの知事を圧勝・続投させていたはずがないじゃないか。

【追記2/2020.7.16】

結局、東京都はGoToキャンペーンから「除外」された。小池都知事は、政府から事前の説明がなかったと述べた。政府の承認なしに、独自に外出自粛を要請した都知事へのペナルティなのかどうかは分からない。国政進出をうかがっていると言われている都知事と、現政権との確執が影響しているのかもしれない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/bb34c18054056ef3ac079e5c4f40f942bbb9a2f5

一方で、このキャンペーンを仕切る国土交通省でも「寝耳に水」の事態だったという。従来、この国は、協議を重ねてコンセンサスを作っていく作業を苦手としている(というか、できない)。結局は鶴の一声になる。今回の鶴の一声を発したのは誰かは、今後の報道で明らかになってくるのだろうけれど、明らかになった時には、責任追及しようにも世間の注目は別の方面に移っているだろう。

そもそも、除外すべきは東京だけでいいのか、他に除外すべき地域はないのか、それもわからない。先進国としては信じられないほどPCR検査をやっていない、コロナ禍の実態を把握すらできていない「後進国」なのだから、わが国は。










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