11の秘密 ラスト・メッセージ

素晴らしかった。

1 もうひとつある鷹宮家の四訓

主人公が素敵な女の子で、しかも家族・親戚から愛されて育ってきたことが伝わる。先輩も、彼女のことがチラリと脳裏に浮かんだから、テーマに選んだんじゃないかな。

そして地方の名家にもかかわらず、いい人たちばかり。

妹に、初恋の男性と結婚させるために仕掛けた兄の思いに感動。そして彼女が夫を失った後も、幸せに暮らしていて良かった。そして彼女の人生に、ヒロインが勇気をもらっていて、良かった。

2孤独の谷

孤独すぎて。こんなに悲しい「風土病」ある?

この設定は短編では勿体なさすぎる。長編で読みたい。

3 扉を開けて

母親に、母性神話を押し付けて欲しくない。母親だからって、24時間365日、娘を愛していられるというわけではない。イラッとくるときもあるだろうし、娘がいなかったら歩めたであろう自分の人生に思いを馳せることがあるだろう。それを娘にぶつけるのではなく、鍵のついた日記に書き殴っていたのだろう。娘が自分が母親になったら理解できるだろうけれど、その前なら無理だと思う。仲が良かっただけに傷ついてしまう。

この結末で良かった。

4 猫への遺言

電車の中で読んでしまったのに、号泣してしまった。梅吉への遺言書でもう、言葉もない。涙が止まらなくなった。そして膝に乗った梅吉に号泣。ヒロインの「ばか」というセリフに、泣き崩れた。電車の中で。

さすが柴田よしきさん。圧巻。

5 キノコ煙突と港の絵

環さんの人生を思うと……。どんなに辛い人生にあったのか。酒癖の悪かった夫は良い人だったのだろうか。

日本の観光客たちに関心を寄せようとしないあたり、彼女の人生を察してしまう。取り残された女の子がどんな怖い目にあったのか……。痴呆症になったことは、彼女にとって救いだったのだろうか。

6 10年日記

私もあっさり騙された。

7 そのハッカーの名は

正直、最初から正体はわかっちゃってた。言動がおかしかったもの。それはきっと、トッコさんにもわかっていたのだろうな。だから読者にもわかるように描写したんだと思う。

8 みきにはえりぬ

これも素晴らしかったけれど、娘とピアノ教師の話にしなかったのはなんでだろう。高校生の女の子を絡めた設定にした理由がわからなかった。

9 青い封筒

これも泣いてしまった。息子が良い子すぎる。夫はドケチだけど、自分の欠点として理解していたように思う。これから妻に歩み寄れるんだじゃないかな。

息子はなんで、母親ではなく、父親に手紙を書いたのかな。母親と仲良くして欲しかったのかな。でも、母親は自分が手紙を受け取れると期待していただろうから、落胆しただろうなあ。でも夫が受け取れて嬉しいと思ったかも。この奥さんは、素晴らしい人格者だなあ。

10  黄昏飛行 時の魔法編

ヒロインが自由すぎて面白かった。局長さん、がんばれ。

親友に、親友と言えなかった彼女の心境がよくわからなかった。ヒロインはなんで、再会した時も逃げしまったのだろうか。再会したときは大人になっているんだし、話して欲しかったなあ。

彼女をヒロインにした物語も読んでみたい。

11  たからの地図

赤毛のアン、再び。

いちご水じゃなかったのは、びっくり。


このシリーズ、素晴らしかった。他のも読んでみたいけれど、他のテーマは、なんか暗い感じなんだよなあ。今回のような読後感のもののシリーズを読んでみたい。

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