ギターヒロインになると決めた日

突然めちゃくちゃ規模のでかいことをいうけど、
‪私はたぶんきっと、本気で世の中を変えたいと思っているんだと思う。

そのためには影響力のある人間になる必要があって、それの一番の近道がギターだから、ギターを弾いている。たぶん。

もちろん音楽は好きなんだけど、
音楽をすることがゴールではない。
目的を達成するための手段なのだ。




‪セッションに行ったりすると、私のことを初めて見る人は大体、私をギタリストだとは思わない。

ただ見にきた人、または出演者の彼女(?)だと思われて、チャージ料を取られることもよくある。


何故なら私は、若い女の風貌をしているからだ!

‪一般的に若い女、ましてや私のような幼稚で派手な見た目の奴は、男臭いロックは弾かないと思われている。

‪今でこそギタ女などと言われているが、ギタ女なんて言葉はそもそも「女はギターを弾かない」という前提があるからわざわざ職種に性別が付けられてしまうわけだ。
(それってもうすでにナメられてる感じしてめちゃくちゃムカつく!笑)



私はかれこれ中学生時代からライブハウスに出ている。


当時私はハードロック、ギターロックが大好きで、若い女の子なのに厳つめなギターを弾く、というので、界隈内では少しチヤホヤされていた。


実際自分もそれを売りにしていたし、全く恥ずかしいとも思わなかった。

ありがたいことに、ライブ活動を続けるうちに応援してくれるファンの方も増えていった。



味をしめた私は、容姿を売っているわけでもないのに、チェキを売り始めた。

アイドルライブにも出るようになった。
ギターを弾かずに出たライブで、チェキで1万円以上稼いだこともあった。

売れないながらも、音楽をまともにやっていた自分が馬鹿らしく感じるくらいには儲かった。



ある時、その話をバンドマンの友達にしたら、
「それって、ブルセラしてるのと一緒じゃない?」
と言われた。


私はそのときハッとした。
ギタリストとして、プライドを捨てていたことにはっきりと気付かされた。
目先の利益ばかり求めていた自分を恥じた。

そして、あれだけギターロックに執着していた私を
ギターを捨ててステージに立つまでにさせた
「若い女」というカテゴリー自体が持ちうる膨大な力に恐怖を覚えた。


初めて当て振りのギターで出演を決めた時の悔しさに目を瞑り続けていたら、
いつしか私のミュージシャンとしての感覚は麻痺していた。

パンツを売ろうが売るまいがそんなのは本人の自由だ。
だが私は、金銭的余裕があるのにブルセラをするのは良くないと思う。
それは、カテゴリーに頼ることで自分本来の可能性を潰しかねないから。そして感覚を麻痺させるから。
女は楽に稼げていいよなwという女性蔑視的な考えに加担することにもなり得るから。

ギタリストとしての自分の伸びしろを目先の利益と引き換えに捨てるのは、
音楽のために、社会のために、
何より自分のために良くないと思った。


正直今の年齢だったら、「若い女」というだけで、ギターなんかなくたって、商売することはできる。

カテゴライズされた「ギタ女」の枠に収まることで生きられる道もある。

でも、もう逃げたくないと思った。
自分の中の「若い女」に負けたくないと思った。





ムカつきをエネルギーに爆発させるんだ!

‪私がソロの一音目を鳴らすと、さっきまで「なんかトンチキな見た目をした女」としか見てなかったであろう男たちの表情が「ギタリスト」を見る目に変わる。

被害妄想かもしれないが、このようなことを何度も経験している私にはそう見える。

‪体力では勝ちえない性別の相手と、同じ土俵に立てた気がした‬。
認めてもらえたんだ。
嬉しかったし、見返した!という気持ちになった。




私にとってギターは剣だと思った。



何より愛する自分と、自分と同じように悔しい思いをしてる人たちを救いたい。
そのために、私はギターという武器で戦い続ける必要があると思った。

‪だから私は自分のことは音楽家だとは思わない。
戦わなくては、意味がないんだ。
ギターヒロインっていう表現しかない。





性別や年齢や国籍など、生まれ持ったものが持つ商品価値は、どこにいってもついてくる。

その呪縛はだれにでもあることだと思う。

先天的なカテゴリー
後天的なカテゴリー
共生するのって本当に難しい。



正直自分も、女として生きることと、ギタリストとして生きること、表に立つ人間として食べていきたいということ、自分のセクシャリティとの関係、全然折り合いつけられてない。

ぐっちゃぐちゃのグレーのアメーバのような状態。

でもできるだけ、解像度の高いものにしたい。



矛盾を楽しむ余裕はまだまだ全然ないけど、

一生かけて芸術に昇華していきたいと思う。



本当はこういうのは売れてから書くべきなんだろうけど、
この気持ちを忘れないために、今ここに綴ろうと思います。

私から生まれる音楽は全て、この頭でできています。


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