ローラから教わる6STEP-映画「キンキーブーツ」を見て
松竹ブロードウェイの映画「キンキーブーツ」、ついに見た。
もう一度ローラに会えることが嬉しくて嬉しくて、日本での上映が決まったという記事を見つけた時は、マスクをしててもわかるくらいニタニタしてたと思う。
キンキーブーツは私が世界で一番好きなミュージカル。
初めてブロードウェイで観劇したのが2014年8月。
Tktsで適当に当日券を買ったので、なんの予備知識もない状態。隣に座っていたおじさんから突然「Hey!君の前の席に座っているのが誰か知っているかい?Harvey Fiersteinだぜ!」と興奮気味に話しかけられても、もちろん「?」というリアクションしかできなかった。その後、隣のおじさんに色々教えてもらったところ、なんと私の一つ前の席にキンキーブーツの脚本家が座っていたのだった。
カーテンコールの最中、大興奮の私は隣のおじさんと目を合わせてファイアスタインに「ブラボ〜!」と二人で後ろから声をかけた。写真を撮ってもらおうとも思ったが、涙で顔がぐちゃぐちゃなのでそんな余裕はなかった。
その後はオリジナルキャストのローラ役がBilly Porterの回をもう1回、Wayne Bradyの回を1回(この時のローレン役はPentatonixのKirstin!大ファンなので嬉しかった)、そして日本版キャストの三浦春馬さんの回を1回。合計4回、観劇した。
ローラの愛とパワーは最強。
就職活動の最終試験前や、大事なプレゼンに向かうまでの道中、勝負の日は必ずサントラを聞いている。YouTubeにアップされている動画も隅から隅までチェックして、ダンスも覚えた。そんな大好きなミュージカルをもう一度見れる。もう一度ローラに会える。ワクワクしながら、随分前に予約したD列14番と書かれた席に一人で座った。
映画版「キンキーブーツ」を舞台と比較した感想
経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリーがドラァグクイーンのローラに出会い、差別や偏見を捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程を描いた物語。
一曲目の「Price and Son Theme / The Most Beautiful Thing in the World」のイントロがかかった瞬間、思わず号泣してしまった。またこの作品を見れることが嬉しくて、胸がいっぱいになった。ローラの登場シーンは長年会えなかった大好きな人に再会できた時のような気持ちになり、ここでも泣いた。要は最後までずっと泣いていた。こんなに感受性豊かだったかな、と自分に驚いた。
今までミュージカルを映像化した作品を見たことがなかったのだが、映画も最高!
まずキャストの顔がアップで見れるので、「こんな表情をしていたのか」「こんなに涙を浮かべながら歌っていたのか」と、細かい目線や仕草までじっくり鑑賞できた。
ローラの登場シーンでは、ローラの大きな背中から舞台を一望できるカメラワークもあり、まるで後ろのエンジェルスと一緒に踊っているような気分に。
私が思う舞台の魅力の一つに「お客さんのリアクション」があるのだが、そこもばっちり映画に組み込まれていた。笑い声も歓声も拍手も、舞台そのままだった。初めて観劇した時、ドンがブーツを履いて登場するラストシーンで溢れんばかりの歓声が沸いて、その感覚が忘れられなかったのだが、映画を見てまた当時の衝撃を思い出すことができた。(で、また泣いた。)
あとは細かいところだと、「Sex Is in the Heel」のパフォーマンスの中で「釘で支えればドンがはいても壊れない」と発言するシーンで実際に釘を持っていたのか!とか、ボクシングシーンの後のバーカウンターにボンベイサファイアがある!とか、舞台を見ているだけじゃ気づかないなというポイントが多々あり、映画もいいなと思った。コロナ禍でなかなか本場のミュージカルを見に行く機会は当分なさそうなので、是非他の作品も映像化して欲しいな。
そもそもイギリス版を見たことがなかったので、UKチームのセリフのアクセントも新鮮で楽しかったし、やっぱりとにかく最高だった。UKチームにはこの動画で再会できます。
エンドロール後、劇場で拍手が起きた。同じ空間で同じ感情を他人とシェアできたのが嬉しかった!
映画版「キンキーブーツ」、最高でした。
三浦春馬さんが演じたローラ
劇場で拍手が鳴り止んだ後、周囲のお客さんが「三浦春馬」という俳優の名を口にしていた。それも一人ではなく、複数の方が。
細かい話までは聞こえなかったが(そもそも盗み聞きごめんなさい)、三浦春馬さんの演じたローラの姿を重ね合わせながら見ていた人が沢山いたのだと思う。
ブロードウェイで見たキンキーブーツが衝撃的すぎて大好きだったので、日本版キャストなんて実現するのか、と最初は思ってしまっていた。
三浦春馬さんのローラは本当に美しくて強くて、今でも一つ一つの動作や目線まで鮮明に覚えている。ブロードウェイで見たローラとはまた違う、気迫と気力を感じた。その裏には想像もできないほどの努力と苦悩があったと思う。魂を削って一つ一つの役に対して真摯に向き合ってる俳優さんという印象だった、本当に、本当に削っていたのだろう。
私には何の血のつながりもないけれど、三浦春馬さんと同じ時代に生まれて、三浦春馬さんの演技を沢山見ることができたことを心より幸せだと思う。
安らかに、心穏やかに過ごせる場所にあなたがいることを心から祈っています。沢山の世界を見せてくれて、様々な感情を教えてくれて、ありがとうございました。
ローラが教えてくれた6つのステップ
ローラがプライス&サイモンの成功の秘訣として、6つのステップを教えてくれた。その英語原文はシンプルながらも美しい。劇中では「信じる」という言葉が多用されているが、自分を信じることも他人を信じることも、簡単に見えて容易ではない。自分も、他人も信じられないと思ってしまった時は、このローラに教わった6つのステップを思い出す。
1. Pursue the truth
(真実を追いかけること)
2. Learn something new
(新しいことを学ぶこと)
3. Accept yourself and you'll accept others too
(自分を受け入れ 他人も受け入れること)
4. Let love shine
(愛を輝かせること)
5. Let pride be your guide
(プライドを掲げること)
6. Change your mind and you'll change the world
(自分が変われば世界が変わる)
(6番目のステップを、ドンが歌うのが最高なんだよね)
トリビュートムービーの中で「6つのステップを続けることを春馬も願っているでしょう」とD.B.Bonds氏が発言されていた。本当にその通りだと思う。そんな人生を生きたい。
またいつかどこかで、ローラに会えますように。
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