🎩BLワールド備忘録🌠✨『今宵、天使と杯を』

『今宵、天使と杯を』
英田サキ著
イラスト ヨネダコウ

「天使……？」
中性的な風貌の天使が、大きく翼をひろげてる。それは絵ではない。
刺青だった。
柚木は息を殺し、隣で眠る刺青の主を見つめつづけた。
それは間違いなく昨日自分を抱いた四方と言うヤクザだった。

冴えない営業マンの柚木。会社で彼の評価は低い。社内でうわさされているリストラのリストにも一番にあがるだろう。
夫婦間は覚めきっていて、その原因も無精子症の柚木にある。おまけにEDでナニが勃たないので、今じゃ外泊しても理由も聞かれない。

仕事にも家庭にも張り合いなどない。唯一の楽しみは酒だった。が、飲み過ぎると記憶がなくなるのが厄介だ。

同僚の金田に言わせると
「飲むと陽気になって器がでかくなる。ヤクザと意気投合して消えたじゃないか！普段は神経質で気が小さいくせにさ」

事実、今のこの状況が酒に溺れた結果だ。
朝、目覚めたら横には全裸のヤクザがいて、「二週間だけだ。よろしく頼む。」
と、訳のわからない約束をしていたらしい。

よろしくと言われてもそれは半ば命令と同じではっきり断る勇気もなく、四方に付き合わされて飲むはめに。
「あの夜は楽しかった。あれからずっとあんたの事ばかり考えてる。これって惚れちまったってことかな？こんなことは初めてだ。」
寡黙で強面な四方の真っ直ぐな視線に怯えなら
－いや、騙されるな。こんなうらぶれたアル中サラリーマンのどこに惚れるって言うんだ－思わず首を振った。

「俺って何…？」
柚木は昨夜の自分の痴態を思いだし赤面した。
確かに始めは脅されて強要されていたはずなのに、いつの間にか四方の与える快感に囚われ溺れきっていたのだ。
－ダメだ、流されちゃいけない。俺は仕方なく抱かれてやったんだ－

ユウウツな柚木に最悪な事態が追い討ちをかける。
遂にリストラの矛先が柚木に向けられ、傷心してたどり着いた家では妻からの三行半が待っていた…‼️
度重なる打撃にうちひしがれた柚木。遂には自殺まで頭をよぎり……。その時どん底の柚木の携帯が鳴った。彼を救ったのは、なんと…⁉️

✨✨✨✨

ヤクザと天使の繋がりはどこに？
寡黙で真っ直ぐな四方の心の糸をほどいたのはなんだったのか？

完全なノンケなのに絆されて、いつの間にか転がされている柚木。

表面上は日和見的な自分を演じているが、酒を飲むと正義感が強く困っている人をほっとけない義理人情に熱いキャラが顔をだす。

四方が討ち死に飛び出した時、柚木は飲んでもいないのに熱かった。奴を止めるためにヤクザに掛け合いに走った❗️

人情などに触れたこともない四方の凍った心を柚木は人情の熱で溶かしてしまったんだね❤️
「酔ったあんたは俺の天使だ」と最後に呟く四方の顔は、きっと誰よりも幸せだろう➰✨

最初はなんだこんな意気地無しヤロウ～💦と思いながらも、一般人にはあるある話で、誰もがどこかで折り合いをつけて、当たり障りのない日々を送っていて、もしあなたが柚木だったらどうする？と問いかけてくる物語。

一番のシーンはヤクザと揉み合う柚木をかばって四方が見事なアッパーカットを放った瞬間😃

「この人に指一本触れるな、触れたら殺す」

キャー、渋い、かっこ良すぎ❗️
実際、柚木も「高倉健並み！しびれるぞ」と惚れ直している～❤️

人が人に惚れるって、性別とか年齢とかで括れるものじゃないんだなと、しみじみ感動させられました😃
BL小説だけど、これは人情ドラマです‼️✨

それと、イラストを描いているヨネダコウさんのヤクザ社会を舞台の漫画「囀ずる鳥は羽ばたかない」は必見です✨
絵が美しい❤️

🎩BLワールド備忘録🚬コミック編🦉『囀ずる鳥は羽ばたかない』｜ひよっこトレーダーKAHO☆ちゃん｜note