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夕焼けと呪われた少女『諏訪ののか』

夕日と屋上がモチーフのエロゲシナリオはあんまり外れないですよね。僕は夕日を見ると必ずBUMPの『真っ赤な空を見ただろうか』が脳内再生されます。初めて聴いた時からずっとです。BUMPに呪われたのかも。

 今回は『青空の見える丘』の諏訪ののか先輩について。
 ののか先輩はいつも笑顔を絶やさない学園のアイドル的存在な学生会長です。でも彼女の笑顔は本当の自分を隠すためのポーカーフェイス。このゲームにはサイドエピソードがあるのですが、そこではヒロイン視点での心情だったりが見られます。だからあまり本心を見せない彼女のサイドエピは非常にいい。普段は余裕ありな感じで主人公を手玉に取っている先輩ですが実はすでにメロメロだったりして最高です。ののか先輩かわいいよののか先輩……。

 日々を過ごしていくうちに、主人公になら自然な偽らない自分を見せられると感じたののか先輩は、自分は呪われているのだと打ち明けます。ことの始まりは二年前。彼女がまだ一年生の時のこと。とある教室が呪われているというありがちな噂話が学校で囁かれるようになりました。その教室にたまたま用事を任され入ることとなった四人の学生。その中の一人にののか先輩がいました。用事は何事もなく完了してその日は帰宅。しかしその後、連続して二人も呪いの教室に入った生徒が不幸な事故で命を落としてしまいます。残されたののか先輩と彼女の親友である『聖』は周りの生徒からも次はあの二人だと噂されるようになってしまいます。次は自分かもしれないという恐怖の中、二人は懸命に呪いを解く方法を探します。そして呪いというものは単なる集団心理であり、呪いを解くというのは暗示を解くことであると知ります。つまり噂の原因(今回の場合は噂の元になっている怨霊)を取り除くことです。そもそも先に亡くなった二人は呪いなんかではなく、本当にたまたま不幸が重なっただけなのですから。聖は生まれつき体が弱く、もともと残り1年から2年ほどの命でした。そして彼女は親友であるののか先輩のために自分の命を使い、呪いを解くことを決めます。病弱な聖は毎日飲まなければならない薬を抜いて、あえて呪いの教室で倒れ病院に運ばれます。そしてお見舞いに来た学生達に「怨霊は自分の体に入り込んだ、教室に呪いはもう無い」と語り呪いを解きました。その後、無理が祟った彼女はそのまま病気で亡くなります。

 残されたののか先輩は三人の分まで幸せに笑顔でいようと考えました。その結果、彼女は強くある為に笑顔の仮面を被り本当の自分さえも分からなくなってしまいます。事件の当事者の一人であったが故に三人の不幸まで背負い込んでしまった彼女。話を聞いた主人公は「呪いで人が死ぬわけはないけれど、その出来事がきっかけで先輩が辛い思いをしているならそれは呪いだ」といいます。そして本当の彼女が弱くてからっぽだとしても愛することを誓います。

 付き合い始めてからの先輩のデレデレ具合はとにかく素晴らしい。今までは小悪魔お嬢様だったのがなんと……キュートな天使ちゃんになっちゃった!!!かわいい!!!めちゃくちゃ甘えてきてさっきまでメンヘラみたいなこと言っていたのがウソみたいに積極的。先輩が主人公をからかうのがデフォだった前半から逆転してよわよわになった先輩をちょっぴりイジワルできて最高です。

かわいいよののか

 ようやく結ばれた二人は唇を重ねます。その時に先輩の瞳から零れた涙には嬉しさだけではない別の理由もありました。実はののか先輩は結構いいとこのお嬢様で、叔父が倒れたため跡継ぎとして海外へ行かなければなりませんでした(過去とか跡継ぎとか色々と背負ってるものが大きすぎる)。幾日か幸せな日々を過ごしますが、ある日先輩は何も告げずにいなくなってしまいます。主人公は数日間、仲間たちの力を借りてののか先輩の情報を集めますが肝心の先輩の居場所がわからない。そんな主人公の本気の思いを認めた親友である『光一』は口止めされていたにも拘わらず先輩の居場所が空港であると教えて車で送り届けます。やっとの思いで先輩がいる空港にたどり着いた主人公ですが、ののか先輩の乗る予定の便はすでに飛び去っていました。思わず先輩の名前を叫ぶ主人公。ですがそこに居るはずのないののか先輩が姿を見せ遂に再会を果たすのです。

 ののか先輩は海外に行くことになるのをだいぶ前から分かっていて、ルートに入る前の結構序盤の時点で「飛行機の一本くらいなら。」なんてことを考えていてとても乙女チックでいいです。しかもそれを本当に実行してしまうところも先輩らしい。いつか来る自らの旅立ちを知っていたから他人と深く関わるのを避けていた先輩が、それでも恋をすることを選んだことが尊いですよね。ののか先輩大好きだホントに。


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