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『銀色』一章は国語の教科書に載せるべき
2000年にねこねこソフトから発売された『銀色』をプレイしました。まだ一章しかプレイしていませんが感想を書いていきます。
まず一章をやって思い浮んだのは伊勢物語の『芥川』です。僕は『芥川』が大好きです。平安時代の名作エロゲです。高校の国語の教科書に自分の性癖をぶっ壊されるとは思ってもいませんでした。
『芥川』は、箱入り娘の女の子(僕の脳内ではアニメチックな美少女)を盗み出して駆け落ちするお話です。
駆け落ちの最中、女の子は草の上に乗っていた露を見て、「これは何?」と尋ねます。男は追手から逃げるのに必死ですから答えずに女の子を蔵に押し入れ、夜通し外で守り続けます。しかし女の子は男が気が付かぬうちに、蔵の中にいた鬼に食べられてしまう。それを悲しんだ男は、「真珠ですか」と尋ねられたときに、「露だよ」と答えて自分も消えてしまえばよかったのに。と歌を詠みます。
衝撃でした。露の下りで外の世界を何も知らない無垢な女の子を表現するのがうますぎる。僕は基本ハッピーエンドが好きなのですが、悲劇だからこそ表現できる美しさや儚さに感情を壊されてしまいました。
『銀色』の一章のヒロインもまさに外の世界を知らない少女です。
川面に浮かぶ光の点を見て彼女は、「これは何?」と尋ねます。男は、「蛍だよ」と答えます。しかし彼女は蛍を知らないので握りつぶしてしまう。なぜ蛍が光らなくなったのか分からない彼女に男は、「死んだら光らない」のだと教えます。それに対して、「光ってるから生きているのか、光らないのは死んでいるのか」と彼女は問います。
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この美しいシーンが物語開始5分ほどで殴り掛かってくるのが恐ろしいところですね。美しさの暴力。親子とも兄弟とも違う。二人の関係を形容できる言葉がありません。それくらい二人だからこその繋がりがあります。一緒にいる理由もなく、お互いの損得に関係なく支えあっている二人が、無償の愛が、あまりに純粋で綺麗で。
夏の夜。渓川と蛍。無垢な少女。この美しさにただのオタクが勝てるわけがない。俺の負けだよ。
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