趣味は必要ない
趣味が無いことに悩んでいる人は多いと聞く。
ネットでも書籍でも「趣味を見つける方法」、「おすすめの趣味20選」みたいな話題が尽きない。
しかし、僕は趣味がないならそれはそれで良いことだと思う。なぜなら、「趣味」とは、外から与えられたものだからだ。
例えば、ゴルフを趣味にしている人がいたとしよう。その人は、なぜゴルフを始めたのだろうか。それは、誰かがゴルフをしているのを見て「自分もやってみたい」と思ったからだ。
まさか、その人が「ゴルフ」というスポーツを自分で開発したわけではあるまい。
車が趣味の人がいたとしよう。その人は、一生懸命働いてお金を稼ぎ、お高い人気車種を購入してドライブをするのが好きだ。なぜ、その人はそんなことをしているのか。それは、CMをみて「この車欲しい!」と思ったからだ。街中で見かけて「私も運転したい!」と思ったからだ。
まさか、その人が「車」を発明し、その「車種」をメーカーに依頼して開発してもらったわけではあるまい。
そう考えると、趣味とは、産業が暇を抱えている消費者に購買を促すためのエサのようなものだ。こういう言い方をすると、趣味を持つ人を馬鹿にしているように聞こえるかもしれないが、そうではない。
趣味を持っていない人は、そう言った産業が用意したエサに食らいついていないわけで、何も嘆く必要はないということだ。
趣味がない人は、漁師の釣り餌にまだかかっておらず優雅に海原を泳ぐ魚だ。メディアや広告に推されて、わざわざ自らその釣り餌にかかりたいと思うだろうか?
趣味がないことを嘆く必要はない。嘆いている時点で、すでに産業の思惑に乗りかかっている。「あのエサが美味しそう」と涎を垂らしている状態だ。
「趣味がダメ」と言いたいわけではない。
趣味に「必死に恋焦がれる必要はない」と言いたいのだ。趣味は正義ではない。無理矢理趣味を見つけようとすると、趣味ビジネスにお金をどんどんむしり取られ、ますます自分を見失ってしまうことになりかねない。
もし、どうしてもやることが欲しいなら、散歩でもしていればいい。
部屋の掃除でもいい。図書館に行って本を漁ってもいい。日記帳に思ったことを適当に書き連ねるもよし。
とにかく「趣味をみつけなきゃ」と焦るのを辞めよう。