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ウィーンフィル2024への道

元日の風物詩の一つであるウィーンフィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサート。80年を超える歴史を誇り、世界中でおよそ5000万人が生放送を視聴する一大イベントだ。
新年の幕開けにふさわしい華やかなコンサートは、お正月のNHK特番としても広く知られている。音楽ファンならずとも生放送を楽しみにされている方も多いでしょう。
自分もいつかは行くのだと心に決めてから十余年が過ぎ、ここ数年は友人との二人分をエージェントで仮手配をしては晩秋にギブアップするお決まりパターンを繰り返している。
その上、円安や燃料サーチャージ高でハードルがいっそう高く舞い上がってしまい、いよいよ手が届かなくなったと切ない気持ちで観た2023年元日のフランツ・ウェルザー=メスト。
それでも諦めきれず、奇跡を願って楽友協会の抽選に応募してみたら…

ニューイヤーコンサートのチケットを入手する方法

楽友協会でニューイヤーコンサートを鑑賞するには大きく分けて二通りの方法がある。一つはHPからチケットの抽選に応募して当選すること、もう一つはエージェントから調達すること。正規かダフ屋かってところだ。

ニューイヤーコンサートが行われる大ホール『黄金の間』の座席数はおよそ1740席(立ち見を除く)。各国要人やスポンサー向けに手配される席がかなりあり、一般向けに売りに出されるのは半分にも満たないと言われている。巷間でまことしやかに言われている数は700〜900だ。
なんだ、意外と一般向けにも残っているじゃないかって見えなくもないのだが、この座席に殺到する世界中のクラッシックファンは30万人とも言われ、当選するには奇跡のような確率に恵まれなければならないのだ。
因みに、2024年のチケット申込みは、2月1日~28日を申込期間として会員向けにウェブ限定で行われている。

ニューイヤーコンサートの抽選倍率って?

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの抽選倍率は300~400倍だと良く言われるのだが、僕はもっと高いと思っている。なぜなら、抽選では1人につき2枚までしか申し込めないのだが、逆に考えれば1人が2枚申し込んでいるはずなのだ。
来場者を見ても紳士淑女のペアが一般的だし、それならば実際の倍率は600倍を超えているのではなかろうか。まあ、300倍でも600倍でも同じようなものだけどwww
いずれにしても当選するのは奇跡と呼ばれることに納得の狭き門。
一生に一度でも当たればラッキーと言われる所以なのだ。

楽友協会大ホール

途方もないエージェント価格!!

奇跡に恵まれなかった場合、コンサートチケットはエージェントを通して買う事もできるが、そりゃもの凄いプレミアム価格になる。日本で有名なエージェントを利用する場合、2023年のParterreと呼ばれるカテゴリー(もっとも料金が高く、もっとも座席数の多いカテゴリー)の販売価格は€5800(手配料別)であった。正規価格は€1200だから、実に4〜5倍のプレミアム価格である。
旅行会社や航空会社のコンサート付ツアーになると100万円を超える値段が普通だし、ツアーのオプション代が別途70~80万円なんてのもある。チケットのエージェント価格を基準にすると計算は合っているけど…
現地のエージェントから直に買えばもう少し安くなるそうだが、それでも一般人には手の届かないプレミアムチケットなのだ。

【試算してみたのだが、お金持ちがエージェントからチケットを買って、日本からビジネスシートでウィーンまで飛んで、楽友協会の隣にあるインペリアルに宿泊するとしたら、2泊3日のペア旅行でざっと500万円かかる。】

なぜか3月7日に楽友協会からメールが届く

2月28日に締め切られたニューイヤーコンサートのチケット抽選は3月8日に行われるとどこかに書いてあった……はずである。
そんなことさえ忘れていた3月8日早朝(欧州はまだ7日)、webshopって差出人からメールが届いているのを見つけた。どうやら気づくのが遅れたらしく、着信時刻は前日の午後10時過ぎになっていた。

なんか買ったかな?と思いつつメールのタイトルを見ると、New Year's Concert | Ticket Drawingと書かれているではないか。
見つけた瞬間に心拍数が跳ね上がってしまい、朝っぱらから身体に悪い事この上ない。
そのあとに本文の先頭文字が少しだけ見えているのだが、そこにはCongratulations!と書かれているではないか。
この間わずか数秒、高まる期待が確信に変わる瞬間とはまさにこれだ。

メールの全文

当選したのだ!!
未明の布団のなかで小躍りし、完全に目が覚めてしまっているのに思考は完全停止。

あとに先にもウィンフィルのニューイヤーコンサートの抽選に当たった人を僕は知らない。周りのクラシック好きに聞いてみても、誰も耳にしたことすらないと言う。そんなチケットを一発で引き当てた。

暫くして、これを誰かに伝えなければと思い、とりあえず娘にLINEしてみた。まだ寝ている時間帯なので当然、返信は来ない。
興味のないヤツに知らせたところで「ふ~ん、すごいね」くらいの反応に違いないから送らない。
でも、誰かに確認して貰わねば落ち着かず、簡単なお知らせメールなのにgoogle翻訳に放り込んだりした。

今さらながら我が身の引きの強さを自画自賛しつつも、これはこれで問題発生でもある事に気づくのは暫くしてからのことだった。

はたして年末にウィーンまで行けるのか?

諦めていたところに奇跡が起こってしまうと、人は従前に増して諦めが悪くなる。こうなると何が何でも行きたくてしようがなくなり、もはや理屈ではなくなるのだ。

メールを更に読んでいくと、当選したチケット代(€1200×2人分)は24日までに払い込めと書かれてある。日本円でざっと35万円ほどになり、正規料金でも十分に高い。
まあ、これは払うとして(☜すでに平常心ではない証拠)、はたして年末年始の超割高シーズンにウィーンまで行く費用をどうするのだ?ドレスコードは?なんて疑問が次々と湧いてくる。そもそも誰と行くのだ?

とは言え、せっかく奇跡が舞い込んだのだから、簡単に諦めたくはない。
とりあえず3パターンで考えてみることにする。
 ①這ってでもウィーンへ行く(出費莫大)
 ②エージェントに転売する(一時的な出費)
 ③きれいさっぱり諦める(出費なし)

とりあえず24日まで悩んで決めればいいのだが、バレンタインジャンボが大当たりしていないか?などと早くも次の奇跡を起こそうと考えるバカが誕生している。

はたして2024年元旦に楽友協会大ホールでラデツキー行進曲に手拍子する夢は叶うのであろうか?
(次回へ続く、と思う)

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