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ヒカキンさんが米国連邦取引委員会から刺される未来~今YouTubeで起こっている変化

Twitterにも投稿したのだけど、広くいろいろな人からも意見をもらいたく、noteにも転載します。

※バズったので宣伝です:ふだんはユーチューバーしていますが、先週からポッドキャストをはじめましたのでよろしければ購読をお願いします。

このnoteの背景

YouTubeが規約改定、仕様変更を行いました。子供向け(13歳未満)の動画は子供向けと投稿者が設定するように、としました。

背景としては、米国で13歳未満からは親の同意なくcookieをとっちゃダメよ、というところから。YouTubeは制裁金を払うことで和解したみたい。

で、その要件を満たす動画にするよう、クリエイター側にも要請をしてきた、というのが話しの本質。

クリエイターも、13歳未満向けの動画からは、親の同意なくcookieとっちゃだめよ、と。

重要なのは、YouTubeは「俺らは仕様変更したから、今度はクリエイターが直接FTCから罰金を払うよう言われるかもよ」となったこと。

そのことを、後述の動画で、YouTube公式のビデオコントリビューターの酒井さんがおっしゃってます。

では、以下私の、ユーチューバー向けの、自分自身ゲーム実況というグレイなジャンルの動画投稿者としての、ツイートからの転載です。

Twitterからの転載ここから--↓↓↓--

動画を見た私のツイート

今後YouTubeの規約変更で注目しているのは、HIKAKINさんが子供向けに設定していない動画で「キッズ見てるやろ」とFTCから直接罰金を受ける未来。人の不幸を喜ぶみたいに思うかもしれないけれど、FTCが見せしめとして罰金とってもあまり痛くなさそうで影響力ありそうな人を選ぶ可能性は高いと思ってる。

YouTubeキッズアプリでみてみるとわかるけれど、HIKAKINさんは動画個別に子供向けかどうかをおそらく設定しています。検索しても出てこない動画もあるので。なので、おそらく日本中のキッズにHIKAKINさんは、同意なくcookieを取得している可能性が高いので、理論的には、指摘をうける可能性もある。

YouTubeの中の人、公式ビデオコントリビューターさん、プロダクトエキスパートの人の動画を見ると「グレイなら子供向けにする」というのが無難、とあるのでそういう意味でも可能性はゼロではないと思う。

ただ悩ましいのは、クリエイター側に今回の規約変更で、子供向けかどうかを判断を委ねる仕様変更になっているのだけど、じゃあクリエイター側で、13歳未満の子供から俺ってcookieを取ってるの?ということを知る手段がないこと。もちろん、子供側で詐称している可能性もあるけど。

知る方法がない以上、とりあえず子供向けにしておくわ、となる。いっぽうで、いやこれは大人向けでしょ、としていても、ゲーム実況でCERO Aじゃないから大人向けでしょ、としてもFTC側でキッズ見てるだろ、とされてしまうリスクが、cookie取得の有無がわからないと、生じるという点。

いずれにせよ、YouTube側の姿勢ははっきりしてきた。判断はクリエイターにさせてるよ、私達はやることはやってるからねと。クリエイターは13歳未満の子供に自分の作品がどう露出するのかをYouTubeにどんどん仕様公開を迫るべきだ。もしくはよりリスクの少ない発表の場を模索することになる。

その発表の場が、ライブ配信サイトになるのか、オンラインサロンになるのか、Netflixになるのかわからないけれど、cookieを基礎にした稼ぎ方自体は転換を迫られていると帰結できそうだ。そうなると、知名度のあるタレントやフォロワーをたくさん持つ人が有利になるわけで、カオスになっていきますね。

ただ個人的には、投稿者にこうした要件をつきつけるのは仕方ないにしても、ならば違法動画をアップして稼いでいる輩にもっと対策してくれよというのが本音。とくに日本ではフェアユースで逃れられることは米国よりは少ないはずだから、真面目にやってるクリエイターさんが報われる仕様変更は大歓迎だ。

--↑↑↑--以上、転載ここまで。

グレイゾーンのクリエイターができること

とりあえずいくつか考えてみる。

今回の仕様変更についてはこちらの動画がわかりやすく解説されています。

おそらく対象となるクリエイター

ゲーム実況者
おもちゃレビュワー
アニメクリエイター

動画によれば、グレイな動画は子供向けにしておくほうが、FTCからは言われるリスクは少ないとされている。まあ、そういう判断に傾くのは仕方ないと思うよね。

ただ、そういうことで動画制作にも影響がでて、とんがった映像作品が出にくくなるというのは、テレビと同じ道を行くのだろうとは思う。

そして、これまで子どもたちに夢を与えてきた上記動画クリエイターさんたちは、いやおうなしに作品作りのためのマネタイズを自衛する必要性に追い込まれてきた。

13歳未満の仕様変更で影響の大きい変更はコメント不可

今回の仕様変更で、13歳未満に実質cookieを食べさせられないことは大きいのだが、それ以上に大きいと、個人的に思っていることはコメントが使えなくなることだ。

ゲーム実況をしてはじめて分かったのだが、13歳未満で、多くの利用制限があるなか、じつはYouTubeでのコメント投稿は、彼らがコメント発信できる唯一の媒体なのだ。

明らかに昭和っぽい名前のアカウント名でいきったコメントをしているのは、あきらかに親のアカウントで子供が見ているケースだ。

さすがに子供も親のTwitterアカウントで情報発信をすることはないが、YouTubeは距離が近く直接投稿者に話しかけられるので、投稿しやすいというのもあって、そうしたエンゲージメントが生まれるのだと思う。

エンゲージメントが生まれる動画は、上位表示など露出機会が増えることは先の動画で中の人も言っているそうだ。まずはそういう点でそもそも不利になる。

そして、やはり自分が投稿したコメントに、主さんからレスがついていたら、テンションがあがらない人はいないはずだ。ブランディングにも大きく影響するのがコメントなのだ。

その機能がつかえなくなるため、新規参入ユーチューバーや知名度の無いユーチューバーは苦戦することになる。他でのブランディングに力を注がざるを得なくなるだろう。

対策をした先行事例

有名ゲーム実況者は、すでにTwitchなど投げ銭を獲得できるプラットフォームでマネタイズをする方法をもさくしはじめている。そして、相性は良いので今後はそういう流れが加速していくようには思う。

ただ、スポーツのようにスーパープレイで見せられる実況者は良いが、茶番など動画「作品」として見せるゲーム実況者が別の方法を模索することになる。おそらくは、ゲーム実況という枠からは撤退するなど。海外では、ゲームをテーマにしたドッキリなど、ようは顔出しをしてふつうのユーチューバーになる、という道をとるという方法。ただ向いている人、そうでない人がいるのは明らかだ。

実際国内でも、顔出しをしはじめているゲーム実況者が出はじめている。

ちなみに、CERO レーティングで 15歳以上とされているゲームであっても、世界的には全年齢対象となっているゲームも多い。フォートナイトなど。

そういう場合に、俺はCEROで15歳以上のゲームを実況しているから「子供向け動画」じゃないよ、とするのは危険と言えそう。CEROは国内の目安だから。

アニメクリエーターは作品として作り込む道を進むのであれば、別なプラットフォームを探すか、TwitterやTiktokで知名度を上げてブランド力を上げるか、というほうへ向かう気がする。

おもちゃレビュワーも同様かもしれない。

ただそうすると、ユーチューブを基盤とした最適解はどうにもなさそうに見える。

むしろ、本来13歳向けでない動画で稼げていたこれまでのほうが異常、と考えるほうが精神衛生上はよいのだと思う。

逃げ切れたユーチューバーはまさに勝ち組だ。そして今後は、まずは大人向けの動画でブレイクさせフォロワーが増えてからグレイゾーンに挑む、という方法がスタンダードになってくるかもしれない。

多くの芸能人がユーチューブに参入してくる2020年は、ユーチューブにとっても、ユーチューバーにとっても、そしてそれらを楽しみにしているキッズにとっても、動画コンテンツとの接し方が大きく変わる年になるのは間違いなさそうだ。

ヒカキンさんでなくとも、FTCに刺されるユーチューバーは日本で出てくるのか。注目したいと思う。

追記

ちなみに、13歳未満じゃないよ、として広告非掲載を回避しようとしてもAIが判断して子供向けにする、というのはするみたい。

なので、やっぱり、グレイならとりあえず子供向け、ってするのが無難なのだろうな。けれどその判断材料はできればほしいよね、という。

追記2

Togetterでもまとめに引用されたようです。FTCの裁定は仕方ないにしても、どうしても視聴者置き去り感がありますよね。米国のキッズたちの視聴シーンはどう変化したのか知りたくなります。あと、まとめでは言及されていませんでしたが今回の規約改定はあくまでスタートラインという点。

個人的には、動画ごとに子供向けかどうかを設定するのではなく、動画ごととに大人向けかどうかを設定する、が本質論としてはあっている気がします。児童のcookie保護が本質ですから、全年齢向けのも13歳未満が見たら保護されるわけですから、既存のTVや映画と同じで、彼らが見てはいけないものを別枠で設定する、というほうが自然かと。ちょっと訳し方には誤解を招きかねないとは思います。映画でも、子供向けというのはありませんよね。全年齢向けか、子供が見ないようにR15とかね。とにかく子供がcookie入いりの動画を見てはいけないと解釈するべきでしょうから、そうすると基本は子供向け動画(cookieなし)で、これはさすがに見せちゃだめだろう、というのはcookieつけて良い、となります。

ですので、今回の規約変更以降、まだまだそういった認識が広がるまでは、まだ厳しくなりそう、と見ておくほうが無難かと思います。

とにかくもうこれで、ユーチューブから、ユーチューバー側にボールが渡されてしまったので、直接FTCに罰金払えと言われかねないわけで。

もっと、本質的な認識が広がるといいとは思います。

この記事は吉田喜彦個人が書いています。