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失敗したくない静音PC制作計画

なんだかちょっと好評なDTM向け自作PCノウハウ系記事の3つめ。

失敗したくないDTM向けPCチューニング|かごめP (note.com)
失敗したくないDTM向けPCの選び方ガイド|かごめP (note.com)

音を作る作業をしているのに、PC自体から音が出るのは、案外気が散ります。
いくら高速なPCであっても、ファンが爆音では細かい部分の調整がやりづらいですし、かといって、ただファンの速度を落としても、筐体内部に熱が溜まってパーツ本来の実力が発揮できなくなる可能性も(熱が溜まるとパーツ寿命にも響きます

巷では「ゲーミングPC」を中心に、ファンがいっぱいついた派手なPCが流行っていて、PCを「光らせる」とか「飾る」ノウハウはいっぱいありますが、そうではなくて「静かなPC」という観点では、なかなかこう「そういうことですよ!」という情報が少なめですね。

ということで、「静かなPC」を作るノウハウ。
これも何回もPC組んだ経験から、いくつかポイントだけ書いておきます。

※例によってWindowsが大前提です
※思いついた順に書いていってますので、時々追記もあるかもしれません
※特に断りがない限り、情報は2023年現在のものです


■ケース選び

ポイント : 基本的に密閉性の高いケースを選ぶこと

まずは一番大事なケース選び。
2023年現在、だんだんこういうクソデカケースが流行ってきてますが、個人的な経験から言うと、こういうのはあんまり「静かなPC」には向いていません。

また、こういう全体的にメッシュなケースも「冷えそう」な印象ありますが、こういうのも「静かなPC」という観点ではNGです。

「静か」というのは、「PC内部で発生した音が外に漏れない」ということ。
つまり、基本的にはこういう密閉性の高いケースが向いている、ということになります。

フロントパネルがメッシュじゃなくなるだけで結構違う

その上で、後述する吸気と排気のバランスを考えて、「上面から排気できるケース」がおススメです。

上面にメッシュが入っていて、排気可能なケース

■吸音材

フロントパネル等の裏に貼る

ポイント : 薄いのでも貼ると結構違う

最近の「静音」がウリのPCケースには、デフォルトで吸音材が貼り付けてあることがありますが、そうでない場合、ファンの音が意外と筐体に反響します(PC筐体がファンの音を増幅する拡声器になっちゃうイメージ)。
そんな時、PCの中に吸音材を貼り付けると、シンプルな手段ですが意外と効きます。
貼る吸音材は、こういう薄手のやつをハサミで切って両面テープで貼るだけ。効果は充分です。

■CPUは空冷 or 水冷?

ポイント : ハイエンドなCPUなら簡易水冷を推奨

DTM用PC内で一番の熱源、CPU。
これの冷却には、大きく分けて「水冷(簡易水冷)」「空冷」の2種類があります。要は文字通り、「水で冷やす」か「空気の流れで冷やす」かの違い。
厳密には水冷には本格水冷というのもあるんですが、本格水冷まで組もうとする人はこんな記事見ないでしょ。
それぞれの特徴は以下の感じ。

[簡易水冷]
メリット : 瞬間的な発熱に強い、平均的に静かにできる
デメリット : デカい、(値段が)高い、設置とセッティングが面倒

[空冷]

メリット : 平均的には場所を取らない、安い
デメリット : 瞬間的な発熱にはちょっと弱い、平均的には水冷よりうるさい

なので、コア数が12超えるようなハイエンドなCPUを使っている場合は、簡易水冷が推奨されます。
いずれにしても、静かなPCを目指すならば、上方向にファンが向けられるモデルを選びましょう。一般的な空冷CPUクーラーは上方向への排気がやりづらいので、簡易水冷が推奨ではあります。

■ケースファンの選び方


ポイント : 最低でも10cm(100mm)以上、且つ500rpm台まで回転数を下げられるモデルを選ぶこと

続いて、CPUなどから発生した熱をケースの外に逃がすファンです。
PCから発生するメインの騒音源ですから、ちゃんと解説します。

自作PC屋に行くと色々なモデルがありますが、基本的には

・ファンの直径は10cm(100mm)以上(14cm, 140mmが最高!)
・PWM 4ピン制御のもの
回転数が可変で1000rpm以下まで下げられるもの(理想は500rpm台)
・パッケージ記載の騒音値(最低値)が10~20dBの範囲に収まるもの
設置数は多くても5個程度に留める

あたりを基準に選びます。
それ以外のスペック(軸受けの種類とか)は基本無視でいい。
一般的に、ファン径120mm以上で「極静音」とか強そうなこと書いてあれば、だいたいこのくらいの数値に収まっているハズ。
ちなみに、騒音値が「〇〇dB~〇〇dB」の書式になっていないファンは、回転数を変えられないモデルの可能性もあるので注意です!(静穏化のためには、回転数が可変であることは必須です)。

ファンは直径が大きくなるほど低い回転数で大量の空気を動かせます(ここはざっくりの理解でOKです)。
また、一般的に騒音は回転数に比例して大きくなります
なので、静かなPCを目指すならば、ファンは大きいに越したことはありません。

尚、3pinファンは回転数の制御ができるものとできないものがあるので、多少高くても4pinファンを選ぶ方が安全です。

経験上、一番静かになるファンメーカーはNoctua。
爆音になりやすい4cmファンですらめちゃくちゃ静か。

それはそれとして、僕は光らせたいのでCorsair使ってます。

■ファン速度

ポイント : アイドル時500rpm台、ピーク時1000rpm台での稼働を目標に

一般的に自作PCであれば、速度制御はBIOSかファンメーカーの専用ユーティリティで行います。
ゲーミングデバイスで有名なCorsairなどは、回転数の制御に専用ユーティリティと専用のファンコントローラーが必要だったりして初期投資がエグい(経験談)ので、BIOSで制御可能なNoctua, Thermaltake等の方が使い勝手は良いかもしれません。

ともあれ、CPU温度や簡易水冷の冷媒温度を基準にしてファン速度を設定します。
だいたいの場合、アイドル時のCPU温度は40~60℃の間かとは思いますが、一般的にCPUの限界温度は80~90℃くらい。
なので、静かなPCを目指すのであれば、「CPUが60℃までは500rpm台」「60℃超えたら一気に稼働」「80℃で1000~1500rpm台」みたいなプロファイルがいいでしょう。

CPU温度とファン速度を連動させる

■吸気/排気のバランス

僕のPC。ファンは5基で吸気2基+排気3基。

ポイント : 若干排気重視のセッティングが吉!

最近のPCケースは、ゲーミングPCに代表されるようにファンがいっぱい付けられます。ただ、当たり前ですがファンの数が増えたら騒音も増えます。
なので、ファンの設置数と場所はかなり大事です。
なんとなくの感覚ですが、「静かなPC」に目的を絞るならば、ファンの数は「排気用は吸気用+1台まで」「ファンの設置数は多くても5台くらい」を目安にすると良いでしょう。
なので組み合わせとしては、「吸気1, 排気1」「吸気1, 排気2」「吸気2, 排気2」「吸気2, 排気3」くらいしかなく、構想を絞りやすいですね。

例えば僕のマシンは最高スペックのCPU(Ryzen 9 7950X) を積んでいますが、ファンの数は5個。
吸気が2個、排気が3個(CPUの簡易水冷兼用)です。

青矢印が吸気、赤矢印が排気、ピンクはグラボの排気

吸気強めと排気強めで試した感じ、どう試しても排気強めの圧勝
かつて、CPUをしっかり冷やそうと吸気重視のセッティングも試したのですが、排気重視にした方が、結果としてCPUの実力も発揮できている印象でした。

吸気重視だった僕の旧PCケース

これは物理の話ですが、熱い空気は黙ってても上に行きます
反対に冷たい空気は下に溜まります

つまり、「下から吸気、上から排気」の空気の流れを組めば、ファンがやる事は「空気の後押し」だけでいい=ファンの速度(騒音)を最小にできるということ。
静音化を考えるのであれば、排気は「上方排気」に絞り、かつ吸気は必要最低限にするのが、理論値としては最も効果が高いです。
(ちなみに、吸気が弱すぎるとやっぱり冷却性能が落ちるので、「ちょっと吸気が弱い」くらいのバランスが最適な感じがしています)

ここで先ほどの「上方排気ができるケース」という条件を組み込むと、もうかなりケースの選択肢が狭くなります。
僕は簡易水冷がデカいので、下記のNZXT H7を選びました。

冒頭でも言いましたが、こういう↓クソデカケース最近流行ってきてますし、ちょっと考えたんですけど、どう考えても「静かなPC」にならないなって思ってやめました。

■電源

ポイント : DTM程度の負荷なら電源を無音にできる

最後に、意外と大事なのが電源。
電源にも、中に冷却用のファンが入っています。
これが常時稼働していると、ここまでの努力を全てかき消すくらいの騒音が発生するのですが、実はこの電源を無音にする方法があります。

最近のPC電源はファン速度が可変式のものがあり、製品によっては電源の負荷が低いときにファンを停止させるまでできます。
体感として、これが結構強力。。。というか、数ある静音化手段の中で一番効果があるまであります。

僕の使っている電源だと、こんな説明が書いてある

ちなみに、僕の体感で、ファンが回るのは動画の書き出しなどでグラボがフル稼働したときくらい。
音楽制作での利用では、どんなに負荷が高いときでも、電源のファンが回った記憶がありません。

静かなPCを目指すなら、気を付けるべきは電源!
実は電源に気を使うことが最も効果高いまであります!!
ちなみに僕が使ってるのは↓のシリーズ。めちゃくちゃ静か。

■終わりに

ということで、個人的な経験による静音PCの組み方エントリでした。
前に2エントリほど、同様に自作DTM用WinPCのノウハウを書いてますので、そちらも併せて参考にしてもらえたら嬉しいです。

失敗したくないDTM向けPCチューニング|かごめP (note.com)
失敗したくないDTM向けPCの選び方ガイド|かごめP (note.com)

以上!!

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