Danteネットワーク構築のつまづきやすいポイント4点
個人で、且つ自力でDanteネットワークを構築してる人のレポートがあまりネットに見当たらないので、自分の忘備録、並びに今後考えている人に向けた「Danteネットワーク構築でつまづきやすいポイント」をまとめておこうと思います。
■Danteネットワークのつまづきポイント
Dante導入時のつまづきポイントは主に4点。
1. ネットワーク構築のチュートリアルが公式サイトにあまり書いてない
2. Winの場合、ASIOかWDMの排他方式
3. クロックの切り替えがかなりめんどくさい
4. 短距離ならデイジーチェーンで大丈夫
■1. ネットワーク構築のチュートリアルが公式サイトにあまり書いてない
日本語で「Danteネットワークはこうやって構築する!」って書いた記事ってありますか?
僕は見つけられなかったです。。。
ということで導入ですが、PCからオーディオインターフェースをDanteデバイスとして制御するには、以下2つのソフトのインストールが必要です
・Dante Virtual Soundcard(以下DVS) ※Dante対応PCIカードを使っている人は不要
・Dante Controller
これ、地味に最大の罠だと思ってます。
だって2つ目のDante Controller、公式サイト見ても「Dante導入した!」って人の記事見ても、どこにも「Dante Controllerを入れる」なんて書いてないんですよ。
DVSは、あくまで「PCを仮想的にDanteデバイスとしてネットワークに認識させるアプリ」でしかなく、DVSからネットワーク上の他デバイスの制御は一切できません。
2つめのDante Controllerをインストールすることで、ネットワーク上の各デバイスの制御、パッチングが可能になります。
また、DVSのマニュアルはあくまで「DVSのマニュアル」であって、Dante Controllerを含めたチュートリアルはありません。
ここに気付かなくて、「音が出ない、、、」と1時間くらい格闘してました。
■2. Winの場合、ASIOかWDMの排他方式
Windows環境の場合、よくある話として
「DAWを起動させると、DAW以外のアプリ(iTunesとかYouTubeとか)の音が出なくなる」
という現象が発生します。
これは、DAWが使うASIOドライバが、オーディオデバイスとの音声通信を占有するために起こる現象です。
(もうちょっと正確に書くと、オーディオデバイス側がASIOとの音声通信しかできない)
最近のオーディオインターフェースは、だいたいDAW以外の音も同時に出るように配慮がされているんですが、、、Danteネットワークにはそんな配慮ありません(少なくともDVSは)。
Danteから音を出したいなら、ASIOかWDM、2つに1つです。
回避策としては、「Danteは常にASIOで駆動させて、もう一台WDM用のオーディオインターフェースを繋ぐ」しかなさそうで、、、2020年にもなってそれはそれでどうなの、、、って感じもあります。
■3. クロックの切り替えがかなりめんどくさい
通常のオーディオシステムの場合、ワードクロックはマスターを1台決めたら、他のデバイスもスレーブとしてクロックが追従しますよね?
Danteネットワークの場合、ネットワーク上の各デバイスのクロックを切り替えても、そのネットワーク自体のクロックは自動で切り替わりません。
各デバイスのクロックを切り替えた後、Dante Controller上で各デバイスのクロックを個別に切り替える必要があります。
1台ずつ個別に。です。
勿論、一括で全Danteデバイスのクロックを切り替えるGUI操作は存在しません。
Device Viewを開く→各デバイスのコンフィグを表示→プルダウンメニューからクロックを選ぶ
これを全デバイスに対して行います。
これ割と、初めて直面した時「嘘だろ?!」ってなったんですが、現時点では仕様です。
恐らく、Dante自体があまり頻繁にクロックを切り替えることを想定していないんじゃないかな、、、とも思いつつ。
現状は、こんな感じでクロックだけ切り替えるセッティング情報を保存して、都度読み込むかたちで対応しています。
この時注意して欲しいのは、セッティングの保存時「クロックだけ」保存すること。
間違って全情報を保存すると、セッティング情報の読み込みだけで何分も待たされることになります。
■4. 短距離ならデイジーチェーン(スイッチングハブなし)で大丈夫
公式では「Danteはスター接続を基本としているので、必ずスイッチングハブを使うこと」としています。
(引用元 : https://ja.wikipedia.org/wiki/ネットワーク・トポロジー )
それに従って、以下の推奨要件を満たすスイッチングハブを買おうとすると、ハブだけで10万以上払うハメになります。
1. ノンブロッキング レイヤー2 ギガビットスイッチ
2. EEEなどの省電力機能は、確実に無効にできること
3. スイッチの設定やモニターが可能なマネージド(インテリジェント)スイッチを推奨
4. 4つの絶対優先のキューを持つDiffserv (DSCP) QoS対応を推奨
(引用元 : https://jp.yamaha.com/products/contents/proaudio/docs/dante_network_design_guide/101_network_switches.html )
、、、が、部屋で構築する分にはデイジーチェーンで十分です。
今のところ問題は起きていません。
追々、スイッチングハブも入れようとは思いますが、まあ「追々」ですね。
■まとめ
体感として、上記4点が、Danteネットワーク構築で引っかかりそうなポイントです。
正直、PCベースの環境で使うには、制御ソフト側が不親切な面はまだ多いなあと感じます。
(通信の安定性はすごい高いんですけどね)
ソフト面はこれからに期待ですね。
以上!
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