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どうしても頑張れない人たち 感想

本書は、現在68万部突破のベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」の続きとなるお話です。

この本を読んだ時は、ケーキをただ3等分にするだけのことができない事実に驚きました。これは脳の認知機能に障害があるためで、安易に犯罪を犯してしまう原因にもなっています。

この認知機能の障害は子供の頃に気づかれることが少ない為、適切なケアがされないことが多いそうです。その為、勉強についていけなくなったり、コミュニケーションが上手くとれなかったりして虐めに合い、不登校になるケースが多々あるとのことです。

そのような前著「ケーキの切れない非行少年たち」に対し、本書はその少年たちが大人になった後のお話です。

少年たちは、大人になっても社会からなかなか理解されません。そのため、過ちを繰り返し、刑務所にまい戻ってしまうケースが多くあります。
この問題点について、私たちが理解していかなければならないことを説明されています。

「頑張ったら支援する」の恐ろしさ

子供の頃から「努力すれば報われる」「やればできるんだから頑張りなさい」とよく聞かされてきました。この言葉は子供にやる気を出させようとする大人の浅はかな魂胆のような気がしています。そもそも、やれない子、頑張れない子、がいると言うことなのです。

いろんな背景を持った人たちに対し一律で、「努力すれば報われる」「やればできる」と言った言葉かけをする事は、どれだけ彼らを傷つけてきたことでしょうか。

また我々も「努力すれば報われなければならない」「やればできなければいけない」といった呪縛からいつまでも解かれない状態なのです。がんばってもできない人、頑張れない人たちの存在についてしっかりと向き合っていく必要があります。

本書より抜粋

私自身も子供の頃は勉強が苦手で、授業の内容についていけなかったことがよくありました。何故、勉強しなければならないのか、やってなんの意味があるのか、そんなことばかり考えていたので成績はかなり悪かったです。

私の場合はやらない理由を無理やりひねりだしていただけで、難しいことを避けて遊んでいたいという気持ちだけだったと思います。

世の中の多くの人も勉強ができないのは私のようなケースがほとんどだと考えていると思います。しかし、認知機能に障害があることによってどんなに努力してもできなくて、何度も挫折を味わい、やる気を失っていった子供たちもいることはあまり知られていなかった事です。

頑張っている人たちって積極的に支援したいと思いますよね?、その逆に頑張っていない人たちに対しては、社会の目は厳しく容赦がないはずです。

私は本書を読んで、障害によって頑張れない人、支援したくないような人に対し、本当の支援が必要だと学ぶことができました。

特に発達に問題があっても気づかれることがほとんど無い為、病院に行くことなく成長してしまい、非行を繰り返してしまう子供たちに対してです。

自分の中の常識を捨てて何故、このような事をするのか、何故、できないのか理解しようとする努力が必要だと分かって、とても良かったと思います。

やる気を奪う言葉と間違った方法

何か頑張ろうとした時に親や先生から何気ない一言をかけられて、やる気を失った経験があるかもしれません。これから勉強しようと思っていた時に、親から「勉強しなさい」と言われてがくっときた、といったように。

このような周囲からの何気ない一言や、権威を誇示するための行動などによって、やる気を奪われた経験をされている方は多いと思います。
頑張れないのは本人が理由ではなく、周囲によってそうさせられていることもあり得るのです。

本書より抜粋

これらの言葉かけは、支援者自身が自分の指導や支援に不安を感じて、「このままのやり方でいいのだろうか」「このまま放っておけば失敗するかもしれない」といった思いや、焦りを抱いていることが要因だそうです。

できない本当の理由が分からなければ、このような言動をしてしまうことは誰にでもあるし、私自身も過去にたくさん悩んだあげくこのような声掛けをしていました。

私の会社は製造業です。業務はかなりの知識を必要とすることから、ライン工のような決められた動きをするだけのことまで様々あります。私自身は設計や機械を動かすためのプログラムを作る仕事をしていますが、たまに現場で制作物の作り方を指導することもあります。

その中で、説明してもなかなか理解してもらえなかったり、分かったふりをされてミスを繰り返されたりすることが多々ありました。

何故、理解できないのか?、何故、わからないのか?と困惑し、苛立ってしまうことで怖がられてしまい、コミュニケーションがうまく取れなくなることがあります。

理性をフル動員して、そんな風に考えちゃだめだと、いつも自分自身に言い聞かせるのですが、どうしても感情の方が勝ってしまい、意味のない叱責をしてしまいす。

前著「ケーキの切れない非行少年たち」を読んだ時から、理解することが凄く困難である人たちもいることを学んでいました。だけど、感情で物を言ってしまうという楽なやり方をしてしまうことの方が多く、勉強したことを生かし切れていませんでした。

認知機能の障害をもった子供たちが大人になって、社会の困難にぶつかってしまうことが書かれている本書、「どうしても頑張れない人たち」を読んで改めて自分の考え方や行動を見直す切っ掛けとなりました。

理解することを押し付けるのではなく、根気よく話を聞き、その人にあった仕事やそのやり方を導いてあげることに改めて尽力しようと決意しました。

本書を読み終わった時に、最初は感想を書くのをやめておこうと思いました。何を書いたらいいか分からないし、難しい内容になりそうだといことで逃げることにしたんです。しかし、内容を時々思い返すことが多くなっていたので、忘れない為にも頑張って書いてみました。

私はまだ自分の考えを文章にすることが得意ではないので、読みにくかったり何を書いているか分からなかったり感じるかもしれませんが、そこは御容赦ください。

感想文を読んでいただいき、ありがとうございました。

本書は、社会人として是非読んでほしい一冊です。きっと自分自身の成長につながると確信しています。


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