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「六中観」

「六中観」(安岡正篤)

 安岡正篤氏の百朝集に、六中観という人の道を説いた名言があります。安岡正篤氏は、孔子、老子ほか東洋思想の教訓に潜む普遍の真理を、人の道と指導者のあり方を論じた実践活学を説いています。

◆「死中活有」
 大きな人生の壁にぶち当たった時、諦めたり、逃げ出したくなるものですが、「背水の陣」を敷く覚悟で、必死に取り組むことにより、事態を打開できることがよくあります。

 本当にせっぱ詰まった死の中にこそ活があるのでしょう。
 

◆「苦中楽有」
 苦しみから逃れることばかり選んでいると、本当の楽しみを手に入れることはできません。苦楽を作り出しているのは、私たちの「心」に外ありませんから。

 切羽詰まった状況下において、いかにわが心を平安に保つことができるか。そして、その苦しさを味わえるかがポイントです。すべて、私たちの心の選択次第です。

◆「忙中閑有」
 忙しさの中に、いかにして、心にゆとりを持つことができるか。忙しい中にこそ、本当の意味での「閑」が存在します。

 心がすり切れるまで、忙しく振る舞うのではなく、心の余裕を持ち、心の内面を見つめる時間を生み出していきたいものです。

◆「壺中天有」
 日常の生活の中に、もう一つの別天地を持つことを「壺中の天」といいます。自分の別天地を持っている人は、いかなる逆境に遭遇しようとも、救われる世界を持つことができます。

 自分だけの世界を持ちながら、それを深めていく努力、道すがらが尊いのでしょう。安岡正篤氏も、「たとえ一日5分でもいいから、壺中天有りの生活を」と説いています。

 多忙な毎日の生活の中にも、自分だけの内面世界を持って、絶えず何かに打ち込んで、充実した生活を送っていきたいものです。

◆「意中人有」
 「意中人有」は、いつも自分の心の中に、大切な師がいるということです。人生を語り合える師、自分の内面を話し合える師。。。自分一人でで
きることなど知れています。

 色んな分野で、敬愛すべき師を、心の中に描いておきたいものです。

◆「腹中書有」
 「腹中書有」とは、自分の心の中に、血肉となったゆるぎない信念や哲学を持っているということです。

 頭の中の断片的な「知識」ではなく、これに経験と学問が積んだ「見識」さらにこの見識に実行力が加わった「胆識」を、しっかりと腹の底に培っていく。

 いついかなる場合でも、腹中に「胆識」があれば、心落ち着けて判断することができます。

 「六中観」を磨いていきたいものです。


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