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「無用の用」 ~「遠回り」のすすめ~

 「人みな有用の用を知りて、無用の用を知るなきなり」(荘子)

 目先だけを見れば、役に立たないと思われるものでも、実はきちんと存在している意味があるということを「無用の用」といいます。

 文学や哲学、歴史、物理学等、いわゆる「リベラル・アーツ」と呼ばれるものは、一見「無用」の学のように思われ、教養課程を無くしている大学も増えているとか。

 確かに、企業から「即戦力」を求められる大学にとって、経営学等の実践に近い分野の課程を増やした方が、学生にアピールできるかもしれません。

 ただ、日々の経営の現場にいると、案外、目先に役立つように見える「有用」の学が役立たない場面にもよく遭遇します。

 現代は、「スピード」や「効率性」が追求されていますが、一見「遠回り」に見えても、最短距離で答えを求めない方が、良い結果を生み出すことがよくあります。

 実際、目的もなく、ふと興味をもって手に取った、哲学書や歴史書の中の一文に、抱えている課題解決の糸口を見出したことや、直接関係ないように思える書物の一文が、ある問題意識の中で、ふと脳の中で、意味のあることに繋がっていったことも多くあります。

 目先に役立つ「有用」の学ばかり求めずに、興味に任せて、色々な分野に顔を突っ込んで、脳のネットワークを張り巡らせていく、心の余裕を持ち続けたいものですね。


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