同期が仕事を辞めた理由。


今日の話だが、私が出勤し 9時間という長い時間を それなりに仕事をして それなりに終わらせようと思っていた矢先、別の部署の先輩が

「そう言えば、影山くんの同期のT君辞めたみたいだよ…。」

と。唐突に言ってきた。

しかしそれを聞かされた私は、驚きよりも(妥当な判断だな。)という 納得の感情が上回っていた。 何故ならば、私はTがパワハラされているのを薄々気がついていたからだ。

Tは高校が私と同じだったが、私とは  たまに話す程度の関係だった。それはこの会社に入社してからも変わりない。しかし、Tの些細な変化に気がつく位のそれなりの交友関係だった。

今年度より、Tの直属の上司「Mさん」がリーダーになってからというもの、Mは部下に横暴な態度をとるようになり、「お前は使えないやつやなぁ。」とか「仕事も出来んやつは要らん。」などと本人に直接言うような「パワハラ上司」になっていた。

私は、Tがそんな扱いをされているのを見かねてTに

「Mさん嫌なら俺が言ってあげようか…?」

と言った。何故なら、Tは非常に消極的な人間で自分の感情を押し殺す人間だからだ。しかし、Tは

「俺のことはいいよ。俺ほんとに仕事できないから…」

なんて冗談混じりに言ってお茶を濁した。

そんな、パワハラを受ける生活が続いてから今日で半年が経ち、ついにTが辞めた。決め手となったのは、先日起きたトラブルだ。

そのトラブルというのが、些か厄介で''誰かが故意に起こしたトラブル''だったのだ。

当然会社は犯人探しを始め、監視カメラで誰がトラブルを起こしたのか究明することにした。監視カメラには誰も写っていなかったのだが、Mが「Tに思い当たる節がある。」と言い始めたのだ。

高校からTを知っているが、彼はそんなことをするような人間ではない。

しかし、早く犯人を探して袋叩きにしたい私の会社の上層部はTを犯人候補にしてTに圧力をかけていた。Mにとっては大手柄なのだろうがTにとっては、濡れ衣を着せられ信頼を失うわ Mからのパワハラは悪化するわで 鬱病のようになっていた。

聞いた話によると昨日のTは、どこか虚ろでいつもあるはずの挨拶すら無かったらしい。

この話を聞いて私はMに対して酷く憤怒した。それと同時に、何故Tは相談してくれなかったのか。という考えも生じた。

だか、私に相談したところで結末は変わらなかっただろう。何故ならこの会社はMを大事にしたいからだ。恐らく上層部は、20歳の若い人材ではなく 50代のパワハラ上司を庇うだろう。私が彼の為に尽力したところで私も悪者にされるのだろう。

私は、Mのことが許せない。例え、私に危害がないとしてもTに

「仕事できないから…。」

と言わせたからだ。彼は自分を卑下するような人間では無かったのに、彼に「もう耐えられない。」と、言わせたMを許せない。

Tはこの傷を癒すのに時間がかかるだろう。Mはそんなこと知らずに喫煙所でまた違う人の文句を、あたかも自分が 優秀な人間であるかのように 言うのだろう。

私はこの日のことを絶対に忘れない。Tを病ませたMを許さない。

人間関係とはなんと不条理なのか、きっと私たちは、若者たちが自分を卑下しなければ生きていけない世の中で生きているのだろう。

そんな、クソみたいな日常の一コマに中指を立てたいと思った火曜日の19時であった。

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