うぐいすとさくらんぼと人の世の大騒ぎ

うぐいすが鳴いている。ほーほけきょ。

人間はばたばたしているが、鳥はこの事態をあんまりよく分かっていないだろう。街の鳥は、最近食べ物が減ったねえとか話しているのかもしれない。

とはいえ自分の周りはあんまり大騒ぎ、と言うほどではない。マスクが消えたりトイレットペーパーが消えたりしたときには、インターネットやらテレビやらで流れてくる世界とつながっているんだなあとは感じたが。春休みに入ってから騒ぎが始まったからというのもあるのだろう。会わない人たちもそれぞれに影響を被ったり感じたり考えたりしているはずだ。認識できるものの外に思いを馳せる。

壁の薄い家に住んでいるからうぐいすの声がよく聞こえる。家の前の木に留まって鳴かれたときなどは、家の中にやってきたのかと思った。去年も聞いた覚えはあるが、しばらくへたくそだった気がする。今年は最初からよくできる。別にいきなり上手にできているというわけでもなく、よそで練習していただけだろう。認識できたものの外に思いを馳せる。

さくらが咲いている。家の前の木もしばらく前に花盛っていて、うちの桜はずいぶん気が早いなあ、しかしいいもんだねえ、などなど考えていたら遊びに来た人に「それは桜じゃなくてさくらんぼの木だよ」と一蹴された。びっくりもしたが言われてみればちょこちょこと違いも見えてきた。知識は認識を助ける。