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小説みたいな歌詞を書くaiko〜歌詞全体を引き締めちゃうDarling〜
あぁ…恋をしたのは……
<中略>
恋をしたのはいつからか
泣いたのは何度目か
数えると夜が明けるわ
困るな…Darling
aiko『恋をしたのは』
aikoはたまに小説のような歌を書く。
どういうことか語る前に、この場合における「小説のような」ということをまず定義しなければならない。
詩と小説の違いは、伝えたいことが「テーマ」か「ストーリー」かという違いにあると考えている。
あるテーマに基
制御不能じゃなきゃ、予想を超えられない
あなたがあたしの事をどう思っているのかそれはそれは毎日不安です
あたしが今日を楽しく生きて行くさじ加減もあなたが握っている
aiko『Aka』
この破壊力ですよ。なんとなくAメロに紛れ込んでいるけど、この破壊力はnoteを書いてしまう。
基本的に他人の行動はコントロールできない。プライベートは特に。昔から遅刻するやつは決まって同じ人間である。機械はそんなことない。人間らしさとは制御ができないも
aikoは高級和膳で、西野カナはラーメン
私はaikoばかり聞いていると思われがちだが、西野カナも聞く。
aikoが高級和膳ならば、西野カナはラーメンなのである。毎日、手の込んだ前菜から始まる高級和膳は食べてられないし、むしろラーメンは日常的に食べたいものじゃないですか。
aikoも西野カナも、恋愛をテーマに歌う。しかし両者は対極に位置する。
例えば、西野カナの代用曲『会いたくて会いたくて』はこんな歌詞。
会いたくて会いたくて 震
aikoは帰納法を学ぶのにもってこい
息を止めて見つめる先には長いまつげが揺れてる
少し癖のあるあなたの声
耳を傾け深い安らぎ酔いしれるあたしはかぶとむし
aiko『カブトムシ』
ある評論家が小説を書き始めたところ、全くペンが進まず書けなかったという話がある。評論は「抽象」を扱うのに対し、小説は「具体」を描くためである。
いかに自分が日々の「具体」をないがしろにしながら生きていたのか、を痛感したというエピソードである。
aikoは
シアワセは、絶望の手前で感じるもの
二人何処かで廻るストーリー
静かに終わりが来たとしても
最後にあなたが浮かんだら それが幸せに思える日なのです
aiko『シアワセ』
パワポケという鬱ゲーをやっていた時に印象的なシーン。野球チームのメンバー2人がなにやら口喧嘩をしていて、主人公が止めに入った。お互い興奮冷めやらぬ中、どうして口論に発展したかを聞くと
「人はなぜ生きるのかを話していたんでやんす!」
「死ぬために生きるんだ!」
aikoと季節〜大造じいさんとaiko〜
aikoもそうだし、文学作品は季節の描写が重要である。
aikoの場合は、「季節」は逆らうものらしい。(『えりあし
』という曲にあります。)
季節という「変化」と対置して、恋人に「不変」を求めるのである。
あなたとずっといたいけれど、それは儚く崩れ去ってしまう、
つまり恋愛は、「あなたとの永遠」を目指していても、「終わりがきてしまう」という性質を持っているのです。
一方「季節」とは、毎
無限の欲望の先には、手を暖めたくなっちゃうよね?
枯れて行く季節に花があって ずっと鮮やかで立っているから
摘んで僕だけのものにしたくって ちぎった所から黒くなって
aiko『もっと』
かのアインシュタインはこう言った。「この世に無限なものは二つある。宇宙と、人間の欲望である。」と。
人間の欲望はとめどなく溢れてくる。あれが欲しい。これも欲しい。発達した資本主義は、我々の欲望に向けて的確に、そして大量に、商品を当てつけて来る。大量消費が現代の
活用形に見るaikoの歌詞の深さ
雨が邪魔しても 乾いた指先に残る
あなたの唇の熱 流れた涙が冷やした
aiko『キラキラ』
ここで注目していただきたいのが、流"れ"た、の"れ"である。『キラキラ』は、別れた男を「永久に待ち続けたるで」って感じの女の子の歌なのですが、それをすごいポップに、軽快なリズムで歌います。
本当に別れたのかな?と思わせ、むしろ別れたことを楽しんでいるような錯覚さえ起こします。(歌詞の中で、友達に励まされ
aikoは「異性は星の数ほどいる」を否定した。
ねぇ もっと好きって言ってよ 眠れなくなるくらい困らせてよ
愛の形を壊してしまってよ あなただけのものに作り上げて
aiko『合図』
あなたの友達の誰かが恋人と別れた際、「女(男)なんてたくさんいるんだから、元気出せよ」と言ったことはないだろうか。もしあるなら、その場で土下座をして欲しい。なんという狂ったことを言っているんだ。解説したい。
aikoの『合図』は、aikoリスナー達を一撃で沈