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Killteam2024春データスレートあれこれ

大人気ボードゲームKillteamでは季節の節目ごとにデータの修正やバランス調整を行います。これはデータスレートにまとめられるのですが、既存の修正内容もまとめて記される都合で何が変わったのか非常に分かりにくくなっています。(一応*で区別できるけど、・と見分けがつきづらい)本稿で一緒にデータスレートを読み解き、なんとなく理解を深めていきましょう。

本稿では記号で記された距離表記を「mv」で行います。△は1mv、○は2mv、□は3mv、⬠は6mvとなります。よろしゅうね

前回のはこちら。日本語版がなかったので自分で訳しました。

1. 何が変わったんだろう?

今回のデータスレートで手が入ったキルチームの内訳は以下のとおり。

コマンド
ベテラン・ガーズマン
ヴォイドダンサー・トルゥプ
ウィルムブレイド
ワープコヴン
ファーストーカー・キンバンド
ハイエロテック・サークル
ハースキン・サルヴェイジャー
フェルゴウル・ラヴェイジャー
ケイオスカルト

多い!

初期に実装されたキルチームの最新ルールへの適用や、キルゾーンの範囲に影響するアビリティ、いじりすぎたキルチームの調整が行われました。

あとベータ=デシマ実装の影響でコアルールも更新されました。こっちはそんな大した内容ではありません。それでは内訳をチェックしましょう。

なお、エラッタやデザイナーズコメンタリーも多くのキルチームでリリースしました。該当するキルチームをお持ちの方はご確認ください。

該当キルチームは以下の通り。

ヴォイドダンサー・トルゥプ
ハンド・オヴ・アーコン
パスファインダー
ノヴィシエイト
コマンド
インクィジトリアル・エージェント
ハイエロテック・サークル
フェルゴウル・ラヴェイジャー
ケイオスカルト
ブラッディッド

だから多いって!

エグザクション・スカッド以外ぜーんぶエラッタ対象なのだ(コメンタリーもあるよ)

コアルール

ジャンプ判定:自動成功(ロールは行なわない)

2024Q1キルチームデータスレート

ベータ=デシマはジャンプ移動を多用するキルゾーンデザインをしているので、判定を失敗すると遮蔽のない空間で虚無になることがありました。もう心配はご無用です。

キルゾーン:ベータ=デシマ

公式からキルゾーンルールのpdfが配布されています。

* 射線への制限:対象の特務兵は非視認状態となる(射線妨害状態になるのではなく)。

2024Q1キルチームデータスレート

まずベータ=デシマpdfの3ページ目の「射線への制限」を確認してください。

(キルゾーンの地面における)遮蔽線がハザードエリアの4mv以上を水平方向にまたぐ場合、攻撃対象は遮蔽されているものとして扱う。

キルゾーン:ベータ=デシマpdf 括弧補記

pdfのこの文は誤訳で、Obscured(射線妨害)を「遮蔽されているもの」としています。正しく再翻訳すると、

(キルゾーンの地面における)遮蔽線がハザードエリアの4mv以上を水平方向にまたぐ場合、攻撃対象は射線妨害状態として扱われる。

キルゾーン:ベータ=デシマpdf 再翻訳

となり、この文がデータスレートで

(キルゾーンの地面における)遮蔽線がハザードエリアの4mv以上を水平方向にまたぐ場合、攻撃対象は非視認状態となる。

キルゾーン:ベータ=デシマpdf 再翻訳データスレート適用

こうなったわけです。

この調整は射線妨害を看破するアビリティをもつキルチームに有利すぎたためです。射撃を行うには曲がり角まで近づく必要があります。

特殊戦術のうち、1体以上の特務兵を自軍側降下ゾーン以外に配置するもの(コマンドの『コソコソ野郎』や、ハイエロテック・サークル の『次元転移』など)、それらの特務兵は自軍側降下ゾーンの4mv以内に全体が収まるように配置しなければならない。

2024Q1キルチームデータスレート

おまけ: コアルール改訂(1.9)

コアルールも改訂が入り1.9に更新されました。調整されたのは1箇所だけなのでここでついでにやっちゃいます。

前回(1.8)、閉鎖空間まわりで同様のルールが追加されました。該当箇所は下の記事の「閉鎖空間追加ルール」をご確認ください。

「閉鎖空間追加ルール」の最後に追加文がつきました。

さらに、第1ターニングポイント中、その特務兵の命令は変更されることがない(『潜入』偵察オプションなどの影響から)。

コアルール 1.9

先に指摘すると、用語を誤っています。正しくは以下の通り。

さらに、第1ターニングポイント中、その特務兵の態勢は変更されることがない(『潜入』偵察オプションなどの影響から)。

コアルール 1.9 再翻訳

とはいえ、この誤訳はやむをえない気がします。

前も書いたかもしれないけど、Killteam原文の用語は「Order」の用途が多すぎるんです。特務兵の行動命令も特務兵の態勢もこの語で済ませるので、文意が不透明になりがち。
日本語版はちゃんと用語を分けててえらいと思いますよホンマ。

閑話休題。閉鎖空間でバトル開始前に移動する系の特殊戦術は、隠密態勢になる必要があるのでグイグイ先へ行って突撃などができないようになりました。ルールの穴をふさいだんやね。以上じゃ

コマンド

ボムスクイッグ・特務兵:この特務兵の【行動力上限】にプラス修正を与えることはできない。この特務兵の『ボムスクイッグ』スペシャルルールは、自身の接敵範囲内にいる他の各特務兵に対して射撃攻撃を行なう(“射線が通っており、この特務兵の2mv以内にいる特務兵” ではなく)。

2024Q1キルチームデータスレート

ボムスクイッグに調整が入り、突撃→射撃(自爆)ができるようになりました。基本的にはナーフですが、突撃で8mv動けるのでそう悪くない気もします。これまで通りオブジェクトに絡んできた奴を吹っ飛ばしたり、牽制にご活用ください。

チョッパ(装備品):この武器の【攻撃回数】に -1 の修正を与える(なおコマンドボゥイ・特務兵はこの修正を受けない)。

2024Q1キルチームデータスレート

対象は装備品のチョッパだけなので、あまり影響はないです。コマンド・ボゥイ追加採用の機運が高まっている気がします。

特殊戦術『かすり傷だぜこんなもん』:ボムスクイッグ・特務兵は使用できず、通常ヒットによるダメージしかない場合にも使用できない。

2024Q1キルチームデータスレート

デカいナーフだぜ。けどクリティカルのダメージを無効化できるのでまだそれなりに有用だ。

ベテラン・ガーズマン

スポッター・ベテラン・特務兵の『観測』アクション:このアクションは対象の敵特務兵があたかも戦闘態勢であるとみなす(ただしその敵特務兵が重遮蔽物地形から遮蔽を得ている場合は除く)。

2024Q1キルチームデータスレート

他のキルチームの同様のアクションと同じ効果を得られるようになりました。よかったね!(当たり前っちゃ当たり前やね。なあハンタークレイド)

デモリション・ベテラン・特務兵の『起爆』スペシャルルール:距離条件を3mvから2mvに変更する。重遮蔽物地形が全体に介在している特務兵は対象とならない(地雷トークンの中心から対象となる特務兵のベースの任意の地点へと、重遮蔽物地形に交わることなく遮蔽線を引くことができなければならない)。

2024Q1キルチームデータスレート

地雷に大きなナーフです。とはいえ「重遮蔽物が全体に介在している特務兵」はあまり存在しない状況なので実質的に攻撃範囲のナーフとなります。まあほぼ自爆確定みたいな範囲だったし……

デモリション・ベテラン・特務兵の『地雷設置』アクション:この特務兵はこのアクションを1回のみ実行できる。

2024Q1キルチームデータスレート

実はこれまで何回でも使用できたらしいです。んなアホな……というわけで回数制限がつきます。当然だよね

ヴォイドダンサー・トルゥプ

あらゆる特務兵:飛行キーワードを削除し、以下のアビリティを得る:「フリップベルト:この特務兵は、他の特務兵を通り抜ける際は飛行キーワードを持つ。ただしこの特務兵が登攀や落下をする際、その合計垂直移動距離は2mvであるとみなされる。」

2024Q1キルチームデータスレート

ベータ=デシマと相性が良すぎたのでナーフされました。それでも十分に強いけどね

ウィルムブレイド

『蜂起せし地下教団』アビリティの第二段落を以下のように変更する:「この特務兵が命令中初めて白兵戦または射撃アクションを行う際、その命令中に態勢が隠密態勢から戦闘態勢に変更されている場合、あるいは、その命令開始時に敵特務兵からその特務兵が視認状態ではなかった場合、その白兵戦または射撃アクションの攻撃ダイスのロールステップ中、ロール結果の中から出目を1種類選択し、その出目の攻撃ダイスを何個でもリロールできる(例:出目 2 を選択した場合、攻撃ダイスのロール結果の中から出目 2 のダイスを何個でもリロールしてよい)。」

2024Q1キルチームデータスレート

前回のデータスレートから何が変わったのか分かりづらいけど、原文だと上で太字にした「敵特務兵」からeveryが取れました。発動条件はこれまで通りなのであまり気にしなくてええです。
(正確を期すると、これまでは「一部の敵特務兵から視認されていなければ能力を発動できる」ともとれる文でした。これはゲームデザイナーの想定するものではなかったため、その旨の修正です)

ワープコヴン

特殊戦略『尊者』:コストが 0CPとなり、以下の項目を追加する:「さらに、このターニングポイントの終了時まで、味方ルブリックマリーン特務兵が命令を受けるたび、その特務兵がその命令中に白兵戦アクションを実行しないのであれば、その特務兵はその命令中に射撃アクションを2回実行できる。もし、その特務兵がガンナー特務兵である場合、2 回目の射撃アクションを実行するためには、追加で行動値を1ポイント消費する必要がある。」

2024Q1キルチームデータスレート

インターセッサーキルチームと同等の能力を得ました。注意点として、特殊戦略を発動しなければならないのは同じため、これにより敵チームが何らかの能力を発動してしまうかもしれません。とはいえ、ガンナー以外存在価値なしとまで言われたルブリックマリーンが活躍できる下地ができました。

ルブリックマリーン・特務兵は、以下のアビリティを得る:「ソーサラーの指揮:この特務兵が味方ソーサラー・特務兵の9mv以内に入っていない場合、その特務兵が命令を受ける時に、【行動力上限】は− 1 の修正を受ける。」

2024Q1キルチームデータスレート

ソーサラーの範囲がクソでかくなりました。とはいえ個人的には、ソーサラーがキルゾーン内に存在していれば行動力上限を与えてもええ気がします。(特に艦内戦闘)

ツァーンゴウル・特務兵:【負傷限界値】が1ポイント向上する。

2024Q1キルチームデータスレート

タフになりました。つぁーん(鳴き声)

サイキックパワー:あらゆる “そのターニングポイントの終了時まで” を “「その特務兵の次の命令開始時」、「その特務兵が無力化される」、「このサイキックパワーが再度選択される」のうちいずれかが最初に起きたタイミングまで” に変更する。

2024Q1キルチームデータスレート

行動後の敵特務兵にもデバフをかけられるようになりました。便利!

サイキックパワー『刹那の移ろい』:減少量が2mvではなく1mvとなる。

2024Q1キルチームデータスレート

ナーフですが、依然としてダッシュに影響するので厄介かもしれません。

秘術の衣(装備品):各ターニングポイントにつき1回。

2024Q1キルチームデータスレート

これまではバトル中1回だけだったのでかなり強化されました。やったね

ファーストーカー・キンバンド

キルブローカー・特務兵の儀式刀(装備品)&ブレイド:【攻撃回数】に+1する。
ストーカー・特務兵のストーカー・ブレイド:【攻撃回数】に+1する。

2024Q1キルチームデータスレート

白兵能力強化感謝祭です。これでまともに殴り合えるぞ!

ハウンド・特務兵:【集団命令兵数】を 1 に変更する。

2024Q1キルチームデータスレート

ナーフですが、奇数体を編入することをためらわなくてよくなったとも言えます。

トラッカー・特務兵の『狩りの獲物』アクションおよび『空からの目』アクション:この特務兵は敵特務兵の(6mv以内ではなく)接敵範囲内にいる間、これらのアクションを実行できない。

2024Q1キルチームデータスレート

発動条件が緩和されました。2ターニングポイント目に出してもよさそうです。

ハイエロテック・サークル

アビリティ『機体再生プロトコル』:アビリティ『リヴィングメタル』発動前に解決すること。特務兵は 2+ で機体再生に成功し、特務兵は失った【負傷限界値】をD3+3 ポイント回復する。さらに機体再生トークンの3mv以内(ただし敵特務兵の接敵範囲内に入ることはできない)に任意の順番で配置できる。

2024Q1キルチームデータスレート

機体再生プロトコルがコンペンディウムと同様のプロセスになりました。機体再生トークンの3mvまで動かせるのもうれしい。

クロノマンサー・特務兵の『反時間ナノ地雷』アクション:その敵特務兵が自軍側反時間ナノ地雷トークンの(6mvではなく) 3mv以内に侵入した場合に発動し、移動可能距離は2mv減少する(最小4mv)。なお『ダッシュ』アクションはそれゆえ効果を受けない。

2024Q1キルチームデータスレート

あまりにも多用されすぎたのでそれなりの性能にナーフされました。とはいえ十分な効果です。

テクノマンサー・特務兵の『機体再生儀式』アクション:第1段落を削除し、第2段落はアビリティとなる(つまりこの特務兵はアクションを実行する必要はない)。ただし自軍がこのアビリティを使用すると、そのテクノマンサー特務兵の【行動力上限】は -1 の修正を受ける。

2024Q1キルチームデータスレート

おそろしいバフです。事実上テクノマンサーは単独でも全てのクリプテック・アビリティを使えるようになりました。まあこれこそアプレンテックに肩代わりさせたい気もするけど

サイコマンサー・特務兵のトラウマ想起アクション:さらにD6を1個ロールせよ。ロール結果がその敵特務兵の【行動力上限】よりも高ければ、その敵特務兵の【行動力上限】は -1 の修正を受ける。

2024Q1キルチームデータスレート

微妙だったアビリティにバフ。原文もチェックしたけど、higher than~だったので出目が行動力上限値を上回る必要があります。

アプレンテック・特務兵:【行動力上限】を3に変更する。

2024Q1キルチームデータスレート

めちゃくちゃ動けるようになります。クリプテックのアビリティをキルゾーン中に展開しよう

ハースキン・サルヴェイジャー

ドーザー・特務兵の『ナックル強打』アクション:以下の文章を追加する:“この特務兵はその後、最大3mvまでの突撃フリーアクションを実行できる(たとえこの命令中に突撃できなくなるようなアクションを実行していたとしても)。

2024Q1キルチームデータスレート 誤字修正

ナックル強打で殴り倒した後、更に突撃を行うことができます。最初の白兵戦で倒し切れなかった場合は3mv突撃が行えないので注意です。

ロケイター・特務兵の『早期発見』アビリティ:さらに、敵特務兵は第 1 ターニングポイントの戦闘フェイズ開始時まで移動できない。

2024Q1キルチームデータスレート

強力なバフです。敵に機先を取られる心配がほぼなくなりました。移動されないと言うだけで、初期配置を変える特殊戦術には対応できませんh

ロケイター・特務兵の全波長スキャナーアクション:さらに、その敵特務兵は射撃攻撃において射線妨害状態であるとはみなされない。

2024Q1キルチームデータスレート

悪くないバフだけど、戦闘態勢とみなすところまで強化してほしさもあります。そうなると強すぎるので塩梅が難しいところです。

アイアンホーン・特務兵の『襲撃命令』アビリティ:選択される特務兵はこの特務兵から視認されており、かつこの特務兵の6mv以内にいるものでなければならない。

2024Q1キルチームデータスレート

ちょっと発動条件が厳しくなりました。とはいえビーストマンは近づいてナンボなのであまり気にならないかもしれません。

ナールスカー・特務兵の『不屈の打撃』アクション:このアクションの射撃攻撃において自軍はオートピストルのみ選択できる。

2024Q1キルチームデータスレート

不屈の打撃でグレネードをブン投げる事態が多発したので、ナーフを行いました。くそっ、パンチするしかないな……

戦化粧(装備品):2EP

2024Q1キルチームデータスレート

凶悪装備、ついにナーフ!それでも5体には装備できるし、驚異度は変わりません。

デスネル・特務兵の『戦の鐘』アビリティ:そのデスネル・特務兵が熱狂トークンを有している場合は効果を発揮しない。

2024Q1キルチームデータスレート

まあ当然っちゃ当然な気もしますネ

ケイオスカルト

有翼(呪われし恩寵):第一項目を削除する。

2024Q1キルチームデータスレート

移動力に関する修正を無効化する能力を失いました。コレのせいで変異パターンが固定化されたまであるので、良い調整だと思います。

特務兵の編成:選択できるディヴォティ・特務兵が1体少なくなる。

2024Q1キルチームデータスレート

一般カルト構成員クビのお知らせ、この辺の調整は実際難しいので、また人事異動があるかもしれません。

2. ふわふわした総評

おおむね納得のいく調整だったと思います。特にワープコヴンへの大バフが今後の環境にどう影響するかが気になるところです。GWでもシーズン3からはKillteamは開発に関わるメンバーが増えたらしく、この調子でどんどん追加キルチームをリリースしてほしいものです。たのんだぜ。わしは次のKillteam会に備えます。またネ!

ほんやくに必要なあれこれの原資になります。よろしくネ