雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【16】
単線の線路。
山と海の間を走る列車。
ゴトンゴトンとリズミカルに刻んでいく。
車窓から見える景色は、何十年も変わっていないのだろう。
途中に一箇所だけある駅は、無人駅になっていた。
何人かが降りていった。
列車は再び走り出す。
降りるのは、次の駅だった。
僕はボストンバッグを開けて、中を見た。
服と本が一冊、他は洗面道具など身の回りのものだけだった。
列車が徐々に速度を落としていった。
駅に近づいてきたのだろう。
車内にアナウンスが流れて、そろそろ停車