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「夏の坂道」

通り雨に傘を開いた
昨日の夕暮れの赤が
まだこの胸をほのかに染めている

ピアノを弾くように
丁寧に確かめながら
命の音を鳴らしたい

夏の空が青い理由はない
けれど 雨上がりに向かって
ペダルを漕いでいる
気持ちは逸る 

汗ぬれで駆け上がる
坂道の頂上で 手を振る
あなたが夏の日射しのなかで
眩しく見えたから笑ったんだよと
伝えたくて。

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