第10回 日銀の保有する債券

多額の評価損で一躍脚光を浴びる日銀の保有債券。前回に引き続きもう少し詳しく見てみましょうということで下の表にまとめてみました。因みにどの利回り水準で買ったのかは不明なので額面ベースです。なお、15年変国と物価連動債は抜いてます。

日銀保有利付国債(11月22日時点)

特徴としては残存3年以下で35%、5年以下となると全体の55%を占め、残存期間が非常に短く金利の変動リスクはそれほど高くはありません。従って、日銀が公表している平均簿価利回り=0.221%としても平均Durationは6年強となってます。仮に1.0%金利が上昇したら約34兆円も評価損が増えますが、これはイールドカーブがパラレルシフトする、つまり1年債も10年債も40年債も同じく1.0%金利上昇するということを前提としていますが(そんなコトはあり得ない)、中短期債中心のポートであれば金利上昇の影響はぐっと低くなります。

さて、日銀によれば3月末と9月末で債券時価および評価損は以下のようになっています。金利が上昇したことで約▲1%債券価格が下落し、評価損益が5.2兆円(+4.3兆円⇒▲0.9兆円)悪化したということです。

この半年間の金利の動きを見てみましょう。大きく超長期ゾーンの金利が上昇しています。逆に日銀がメインで保有する中短期ゾーンは微細な変化となっています。

因みに40年金利が0.61%も上昇すると時価は約▲20%下落します。株並みのボラティリティです。この半年間で評価損は約5.2兆円増えてますが、実は残高w/tが僅か2.5%しかない残存の長い25年超の債券でその約3割(▲1.7兆円)を占めます。

日銀がYCCと指値オペで10年以下の金利を抑えているため、保有残の83%を占める10年以下の債券の評価損は大きく増えてないと推測されます。しかし、指値オペの管轄外であり、買いオペ金額も少なく、かつ金利感応度の高い超長期債が評価損を膨らませた結果となっています。

なお、第8回でも言及していますが残存3年以下が35%もあり、これは4年前に買った5年債や5年前に買った7年債等が含まれますが、当時は大きなマイナス金利でしたので、これを償還時に再投資すれば現在の0.221%という簿価利回りは急速に改善すると思われます。

今回はここまで。

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