外国人関係の犯罪と捜査について知る

 行政書士として入管業務に携わる上で、避けては通れないのが、「虚偽申請」、「不法就労」、「偽装結婚」といった事案に遭遇するリスク。

 研修でも書籍でも会報でも、嫌というほど刑事事件となった事例、あるいは懲戒された話を聞きますが、ふと「リスキーな仕事をしているな・・・」と思うことは、申請取次をしている行政書士であれば誰しもあることでしょう。

 しかし、実際にどれほどの方がリスク管理や犯罪構成要件の分析をしているのか、なかなか話を聞く機会がない。我流で「うっかり」をしてしまうわけにもいかないわけです。

 そうなると、研修以外にも、法令の条文の読みこみや信頼のおける入管業務の実務書・学術書などで勉強するしかないわけですが、外国人の刑事事件を扱うような弁護士さんでなければ、ある意味「水面下」で起こっている刑事実務の出来事に対して実感がわかないものです。

 別に悪いことをしようと思っているわけでもないのに、事件に巻き込まれてしまうリスクに対し、どう我々行政書士は対処すべきか。

 その疑問に対して、実際の外国人関連の犯罪捜査でどのようなことが行われ、どのように判断されるのかを知ることが、ひとつの手がかりになるかもしれません。


外事犯罪捜査ハンドブック【第2版】(桒名仁 原著 立花書房)


 こちらの書籍では、犯罪や事例ごとに、どのような事実を捜査の端緒にし、どのように捜査が行われるのか、どのような証拠が収集されるのかなどが端的に紹介されています。


 行政書士として犯罪に巻き込まれないようにするために何が必要かを考えてみると、大きく分けて以下の5つがポイントになるように思います。

(※あくまでも、私の拙い行政書士としての知識・経験から帰納したものなので、鵜呑みにしないでください。)


①犯罪の構成要件を知る

②実際に逮捕・起訴・有罪とされたケースを知る

③自身のケースにあたるとき、違法性が疑われる点について検討し、対処し、その記録を残す

④違法の疑いを除去できない場合は依頼を断る

⑤いざというときに専門家(外国人案件に詳しい弁護士・行政書士)に相談できる態勢を築いておく


 上記の書籍では、①と②において有用だと思います。

 もっとも、入管法違反の犯罪は、入管法の行政処分と実体法的にも手続法的にも密接に関わることから、この本だけではなく、山脇康嗣弁護士の「【新版】詳説入管法の実務」(山脇康嗣・著 新日本法規)を熟読するのがマストでしょう。



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