見出し画像

金属結合【改】

 金属中では、金属原子が規則正しく配列しています。これを金属結晶といいます。

 一般に、金属原子のイオン化エネルギーは小さいです。イオン化エネルギーが小さいということは、価電子が離れやすいことを意味します。その価電子は、特定の原子内にとどまらず、結晶内のすべての原子の間を動きまわります。

金属結合

 電子を失った金属原子は+の電荷をもつことになります。電子は - の電荷をもっていますから、この - と+で結びつく力があります。動きまわる価電子が結晶内のすべての原子に共有されるカタチ になります。価電子が自由に動いているように見えるため、自由電子といいます。そして、自由電子の共有による金属原子どうしの結合を金属結合といいます。

金属の性質

 金属は磨くと光ります。これは金属光沢とよばれる特有の光沢です。金属中の自由電子の作用で光が反射されるためです。また、金属は電気や熱をよく伝えます。これは、自由電子が結晶中を移動するためです。金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAlなどは特に電気伝導性がよく、銀が最大です。

 ところで、金属は高温になるほど電気伝導性が低くなります。これは、高温ほど金属原子が激しく振動して自由電子の移動を妨げるためです。

 イオン結晶では、外部から力が加わって結晶中のイオンの位置がずれると、同符号どうしで反発しあい、結晶は壊れやすくなりました。しかし、金属では、結晶内の原子が自由電子によってまわりの原子と結合しているカタチです。もし、外部から力が加わって原子の位置がずれても、 - の電荷である自由電子が原子どうしをつなぎ止める様子は変わりません。

金属の自由な変形

 そのため、金属の変形が起きるだけで壊れません。この、たたくとうすく広がる性質を展性引っ張ると長く伸びる性質を延性といいます。金、銀、銅などは特に展性や延性が大きく、金箔や銅線などがつくられています。

画像2

金属の融点

 一般に、典型元素の単体の融点は低く、遷移元素の単体の融点は高くなってます。
 水銀 Hg は、金属の単体で唯一、常温・常圧のもとで液体です。最も融点が高い金属の単体は原子番号74番のタングステンW(融点3410℃)です。電球のフィラメントなどに使われています。

 また、金属の原子半径と結合力、融点、硬さの関係は次のようになります。

まとめ

 価電子が自由に動いているように見えるため、自由電子といいます。そして、自由電子の共有による金属原子どうしの結合を金属結合といいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?