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金属のイオン化傾向

金属の単体が、水溶液中で電子を失って陽イオンになろうとする性質を 金属のイオン化傾向 といいます。イオン化傾向の大きい原子ほど、電子を失って陽イオンになりやすいです。つまり、陽イオンのなりやすさ を表しているといえます。

イオン化傾向は金属の種類によって異なります。イオン化エネルギーや生じたイオンの水溶液中での安定性など、様々な要因によって決まります。

硝酸銀 AgNO3 水溶液に銅 Cu を入れると、Cu が溶けだして銀 Ag が析出します。それぞれを半反応式で書くと次のようになります。

 Cu → Cu2+ + 2eー    ・・・(1)式

 2Ag+ + 2eー → 2Ag  ・・・(2)式

硝酸銀 AgNO3 は、水溶液でAg+ と NO3ー にわかれています。NO3ー は酸化還元反応に関わらないため、イオン反応式中には出てきません。(1)式と(2)式を合わせて、eー を消去すると、

 Cu + 2Ag+ → Cu2+ + 2Ag

銀イオンAg+ は銀になり、銅Cu は銅イオンになりました。したがって、銅は、水溶液中で銀より陽イオンになりやすく、イオン化傾向は Cu > Ag といえます。

この反応では、銀が析出しました。他にも、酢酸鉛(Ⅱ)(CH3COO)2Pb 水溶液に亜鉛Zn を入れると、Zn が溶けだして鉛 Pb が析出します。

これらは、金属の単体が析出するようすが、樹木の枝のように見えるので 金属樹 とよばれます。金属の種類によって、銀樹、鉛樹、銅樹、スズ樹などがあります。

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