ジョージ・オーウェル『1984』に触発されて『2025』を考えてみた

ジョージ・オーウェルの著書『1984』をご存じだろうか。
共産主義による監視社会をイギリス人のユーモアたっぷりに描かれた小説だ。
今回は、この『1984』をアレンジして、『2025』と題した小説を考えてみた。
読んで頂ければわかると思うが、これは今のマスク社会、ワクチン社会を念頭にしており、筆者の本心としては全ての状況やシナリオについて、全日本人から「このようなことにはならない」と否定してもらいたいというのが願いだ。
なお、筆者に書籍化を希望される出版社の方がございましたら、ご連絡いただければ幸いです(9割冗談)。

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時は2025年の日本。
2020年より世の中を震わせたコロナウイルスにより、その対策により、日本社会、日本経済は疲弊した。
人々は何よりもコロナウイルスが恐ろしく、コロナウイルスを撲滅するためであれば、いかなる強制も監視も喜んで受け入れるようになった。

そんな中、地球環境の破壊により、エネルギー不足、増え続ける二酸化炭素、不足する食料、あらゆる物不足による物価高に世界中が人類存続の危機に瀕していると日本人だけが感じていた(一部を除く)。

マスコミは連日、人口減少の必要性を訴えていた。

「そもそも、人口が増えすぎたから、環境が破壊されたのです」

「人口が増えすぎたから、エネルギーが不足しているのです」

「人口が減りさえすれば、二酸化炭素は削減されるのです」

「食料が足りないのは人口が増えすぎたからです。人口が減れば食料不足の問題は解決されます」

「物価高に悩むのは、人口が増えすぎたからであって、人口が減れば物価高に悩むことがなくなるのです」

日本社会では、人口削減問題が最も深刻な問題であると認識されるようになっていった(一部を除く)。

日本政府はエネルギー不足に対する抜本的な改革を打ち出せずにいた。
ありとあらゆるエネルギー供給源に対する供給増加は見送られ、原子力発電所は全て稼働停止したまま、太陽光発電は様々な不正取引が摘発されて開発が停止したままであった。
その他の発電手段についても、何もエネルギー対策は打ち出されなかった。

電力不足で冷房も暖房も使えず、夏には室内・屋外を問わず、熱中症で多くの人が亡くなった。

食糧不足に対して、米の生産量を増やすべきだとの声も上がったが、政府は過去に打ち出した「減反政策の正当性」を主張し、減反政策に対する方向転換はされなかった。
日本国内の食料自給率はますます下がり、世界的な食糧生産の低下により、食糧不足の問題はますます深刻となった。

そんな中、初の女性総理大臣が誕生した。
彼女はかつて、緑のタヌキと呼ばれたが、「3年で全てを忘れる」日本国民はかつて彼女が「緑のタヌキ」と呼ばれた事実をすっかり忘れていた。
初の女性総理は「緑の女神」と呼ばれるようになった。
一部の者が彼女を、「緑のタヌキ」と呼んだが、「不敬である!粛清すべきである!」との世論が高まり、厳罰化がさらに進んだ侮辱罪やヘイト禁止によって、緑のタヌキを批判する者は処刑されていった。

そんなある日、緑の女神は日本社会、ひいては、世界を救う政策として、斬新な政策を発表した。
それは、日本人の自主的人口削減策というものだ。
自主的な人口削減のお願いが政府から出されたのだ。
あくまでもお願いベースであるため、強制ではない。
当初、「お願いベースとはいえ、人口削減のために『死ね』というのは、いかがなものか」とテレビで発言する者がいたが、そのようなものはテレビ画面から姿を消していった。

緑の女神は日に日にテレビに出演し、全国民に対して映像で訴えた。

「今こそ、世界的な人口削減が必要なのです。
 日本人として、今こそ世界に貢献するときなのです」

日本国内では徹底的な情報統制がなされ、あたかも世界中でも人口削減がお願いされており、日本人にだけ言われていると気づく者はほとんどいなかった。

人々の間に次第に自ら進んで命を絶った方が良いのではないかと考える者が増えていった。
中には「一世帯当たり、2人は自主的に削減すべきだ」とか、「一世帯当たり、2人になるまで自主的に削減すべきだ」といったような、様々な意見が空気のように流れた。

自主的な人口削減に対する同調圧力が日本社会全体を覆った。
そして信じられない速さで日本人の人口削減が進んだ。
海外では日本社会の奇妙な行動が報道された。
「信じられません!日本では狂気の人口削減が自主的に進められ続けています!」
海外の報道を知る日本人も何人かはいたが、彼らはこぞって海外の報道を「陰謀論」扱いした。

こうして日本では驚くべきスピードで人口が10分の1以下となった。
人口削減が早急に達成されたとして、緑の女神の支持率は9割を超えた。
いつしか、「お願いベース」で命令することが全て受け入れられ、日本は実質的に緑の女神による独裁体制国家へと安定的な平和を得ることになった。
そして緑の女神はますますソーロスという名の男の恩恵を受けるようになった。

(完)

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