憲法というのは個人の尊厳、個人の人権を守るために存在する、その憲法が破壊されようとしている

憲法というのは何故存在するのか。
それは国家権力を制限して、一般市民を守るためである。

人類の歴史上、一般市民は国王や皇帝などの支配者によって蹂躙されてきた。
国王は市民に重税を課し、様々な権利を奪い、義務を負わせてきた。
この国王の権力を抑えるために憲法が作られた。
つまり、国王は法律によって国民に様々な権利を制限したり、義務を課したり、重税を課したりするわけだが、その法律に制限を加えたり、国王の行動を制限するのが憲法の役割になる。

そのため、憲法の一番の目的は「個人の尊厳」を実現することであり、「個人の人権」を守ることが一番の目的なのだ。

個人の尊厳とは、基本的人権ともいわれ、一人一人の個人の自由が尊重されるということだ。
具体的には、どのような思想を持つか、どのような信条を持つか、どのような言論活動や表現活動をするか、どのような仕事をするか、どこに住むか、どのような学問を学ぶか、などについて原則として誰かに強制されたり、禁止されることはないということだ。
原則としてとは、例えば、好きなように「誰かの物を盗む」とか、「誰かを殺す」と言った犯罪行為は許されないことを例外としている。
つまり、何でもかんでもが許されるわけではないが、誰かに迷惑をかけない限りにおいて、個人が望んだことは最大限に尊重されるということなのだ。

憲法はこの個人の尊厳を守るための最後の砦になっているのである。
憲法があるから絶対的に必ず守られているというのではないが、少なくとも、憲法に違反する行為は誰であっても許されないのだ。
この憲法のもっとも大切な精神は誰もが知っておかなければならない。

そして今、この憲法におけるもっとも重要な「個人の尊厳」を唄った日本国憲法97条の基本的人権の規定を削除しようとしているのが、現在の自民党の改正案であることを忘れてはならない。

現在、戦争の危機や感染病対策など、様々な理由を掲げた上で、「憲法を改正すべきだ」という話が出されている。
確かに現在の憲法には様々な欠陥があり、そもそも現行の憲法は日本人の手によって作られた憲法ではない。
戦後、アメリカのGHQによって押し付けられた憲法であることに間違いはない。
だからと言って、火事場泥棒のように、「戦争に備えよう!」とか、「来る感染病に備えよう!」などの言葉に踊らされて、この最も重要な基本的人権の規定である97条を削除することを許してはならない。

現行の自民党憲法改正案には緊急事態条項の新設も盛り込まれている危険性を下記の記事にて指摘させていただいたが、併せて97条の削除についても、絶対に許してはならないのである。
緊急事態条項とは何かについて深堀してみよう|KAZU@AQUOIBONISTE|note

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