中国の不動産最大手企業の経営実態

中国の経済がとんでもないことになっており、その中でも不動産業界が大変なことになっていると、下記の記事にて解説した。

今回は、中国の不動産企業のNo.2の中国恒大集団の経営実態についての解説を通じて、中国不動産業界の実態について解説する。

中国恒大集団(China Evergrande Group)は香港上場(3333 HK)の中国の不動産企業だ。
中国恒大集団は数年前から様々な問題を起こしており、2021年9月時点で建設プロジェクトが未完成のまま止まったものが800件以上となり、多くのマンション購入者が抗議デモを起こしていた。
それらの抗議デモも、中国共産党の力でもって、警察権力による暴力により抑えられてきた。

その頃から既に中国恒大集団は負債が大きくなりすぎて、短期流動性が2兆円を超える赤字になっており、いつ倒産してもおかしくない状況が続いていた。
2020年には20HKD程度であった中国恒大集団の株価も2021年9月には2HKDという10分の1まで暴落した。

中国恒大集団は中国の不動産企業の中でも、全盛期にはNo.2であり、誰もが憧れる大企業であった。
中国の不動産が徐々に傾く中でも、大手の不動産企業が倒産したり、倒産危機になったりすることはなかった。
しかし、この中国恒大集団の経営破綻が現実化したときには中国国内の不動産市場の深刻さが本物となった。

中国恒大集団は不動産事業だけにとどまらず、金融商品を販売する子会社なども設立し、年率13%の配当を受け取ることのできるねずみ講的な商品まで販売してきた。
ねずみ講的な金融商品は販売が拡大しなければ、途端に支払いが滞る。
中国恒大集団は2016年頃より、従業員にノルマを課して、このねずみ講商品を販売し続けてきた。

このように中国恒大集団は幅広く手掛けた不動産開発プロジェクト、金融商品の販売などを行ってきたにもかかわらず、株主には毎年多額の配当金を支払ってきた。
そのような経営をしていれば、当然経営が破綻する。
不動産開発プロジェクトでもねずみ講を行い、金融商品の販売でもねずみ講を行い、株式配当もどんどん行ってきた。
このような経営を続けるには、これらすべての事業が拡大し続けなければ破綻する。

つまり、マンションはさらに売れなければならない。
昨年売れたよりも、今年はその倍は売れなければならず、来年はさらにその倍以上が売れなければならない。
金融商品も、昨年の運用残高よりも、今年はその倍の金額が流入しなければならず、来年にはさらにその倍の金額が流入しなければならない。

中国恒大集団は様々な形でお金を集めることをした。
社債を発行したり、転換社債を発行したり、株式先渡契約のような形で、実質的には将来の引渡約束をした借入のようなこともやってきた。

このような経営実態は正に、中国共産党による「絶対に倒産させないインチキなんちゃって資本主義」を装った共産主義経済だからこそ成り立つ。
中国恒大集団の経営実態は、典型的な中国企業の経営そのものである。

以下には、さらに込み入った内容を解説させていただくので、ご興味のある方は、是非ご購読いただければ幸いである。

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