「台湾有事は日本の有事」の本当の意味

「台湾有事は日本の有事」と言われているのを良く聞く。
故安倍晋三元首相も生前、よく「台湾有事は日本の有事」と言っていた。
安倍晋三が意味した内容は「中国が台湾に軍事的侵攻をした場合、日本も戦争に巻き込まれ、日本も戦争状態、つまり、有事となる」という意味だろう。
だが、冷静に考えてみれば、日本は憲法9条があり、少なくとも日本の領土に攻め込まれた場合の防衛戦争しかできないはずだ。
とすれば、例え台湾が大好きだと言っても、台湾が軍事侵攻されたときに日本が一緒に戦争に参加することにはならないはずだ。
安倍晋三にとって実は台湾は特別だったのだが、日本にとって台湾は別に特別な国でもない。

「台湾有事」に関しては、この程度の当然に当たり前の意見さえ聞いたことがない。
それはまるでウクライナが世界中に「ロシアに攻められて大変だ!助けてください!」と世界中でプロモーションが行われ、連日ウクライナでの爆発があった映像を見て冷静さを失ったようにしか見えない。
2022年2月に始まったロシアとウクライナの紛争も別にその時に始まったわけではなく、もともと紛争の火種があったのである。
以前にも指摘した通り、現代における戦争は例外なく有事に至る構造があるため、ほとんど「その国家の公共事業」なのだ。
その国家の公共事業たる戦争がどういう構造によって台湾という地政学的な地域において起こりうるかについて説明する。

大手メディアはもちろん、リベラル派から保守派と呼ばれる言論人も含め、筆者が納得するのとは全く違う意見しか、台湾有事については語られていないため、今回は「台湾有事が現実化する場合はどういった構造によるものか」について詳細に説明したいと思うので、ご興味のある方は読み進めていただければと思う。

まず、何度も指摘してきたことだが、中国と台湾はとても仲が良い。
中国にとって台湾は経済においても軍事においてもとても重要なバックドアなのだ。
だが、2022年7月8日に安倍晋三が暗殺されたことによって状況が変わってきたのだ。

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