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二重スリット実験でのボルンの確率規則

二重スリット実験でのスクリーン上の位置xの確率分布p(x) は、
全状態の密度行列をρとし、スリットをA,Bとすると、
ボルンの確率規則は、堀田量子p25式2.27:
p(x) = Tr[ ρ|x><x| ]
ですが、二重スリット実験でのp(x) は一見、これに従わない
ように見えます。というのは、
トレースをとると、|<x|ψ_A>|^2 + |<x|ψ_B>|^2 になるように
思えるからです。
仮にそうであるとすれば、Tr[ ρ|x><x| ]の中に
スリットAを通った位置の固有ベクトルを |x_A>、Bの方は |x_B>
とすると、射影演算子|x_A><x_A| と |x_B><x_B|だけでなく
|x_A><x_B| や |x_B><x_A|という干渉成分を取り出す射影操作
(密度行列ρの干渉項を対角項にする射影操作)
を加える必要があります。そうすれば、
ρ = |ψ><ψ| として
p(x) = Tr[ ρ(|x_A><x_A|+|x_B><x_B|+|x_A><x_B|+|x_B><x_A|)]
<x_A|ψ>や<x_B|ψ>は、スリットAやBを通った時の波動関数、
<ψ|x_A> や<ψ|x_B> は波動関数の複素共役なので、
波動関数で考えれば、<x_A|ψ>は、<x|ψ_A>と同じ意味ですから、
= Tr[ ψ_A(x)<ψ_A|x> + ψ_B(x)<ψ_B|x> + ψ_A(x)<ψ_B|x> + ψ_B(x)<ψ_A|x> ]
状態ベクトルに直すと、|x><x| は、括り出せて、
= Tr[ ( |ψ_A><ψ_A| + |ψ_B><ψ_B| + |ψ_A><ψ_B| + |ψ_B><ψ_A| )|x><x|  ]
これば、
p(x) = Tr[ (|ψ_A>+ |ψ_B>)(<ψ_A| + <ψ_B|) |x><x| ]
∴ ρ = ( |ψ_A>+ |ψ_B>)(<ψ_A| + <ψ_B| )
これが、二重スリット実験でのボルンの確率規則に従うρやp(x)です。
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