「十の輪をくぐる」辻堂 ゆめ・著

「2020年12月出版、『読みたい本』のリストにあったのだから、どこかで誰かの書評を読んだのだと思うのだけど、覚えていない。先入観なしで読みだし(え~大人の男が主人公~)と不思議に思いながら読み進める。基本的にアンテナに引っかかるワードの範疇に入ってないけどな~と思いながら。読後にはリストにあったことを納得。ADHDの資質(症状というのか)を持って生きてきた、しかもそれを本人は自覚していなくて、定年まじかになり「知る」ことから、今までの生きざまを少しずつ自己のなかで問答を繰り返す。年取って認知症になりつつある母,、万津子のこれまでを全く知ろうとしなかったこと、自分の幼い日のことを話さないこと、などなど。人間 完璧な人はいなくて、それぞれどこかになんらかの欠けた部分をもって存在するのだが、あからさまに目に見える欠けた部分には、なかなか上手く理解も解決のできないが、欠けた部分を補い生かすやり方はあるのだと示されている。簡単なことではないけれども。これほど多種多様になった21世紀に、自分で可能なかぎりで寛容になることが未来を生きやすくするのだと思う。自分の物差しで測っても、決めつけはしないこと。わかろうとすることをあきらめないこと。




















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