報われない

オペラ座の怪人のミュージカルを見た。このご時世で、期間限定でYoutubeにアップされたウェバー版だ。英語音声、英語字幕でほとんど分からなかったけれど、これほど多く見た、読んだ話はないからおおまかなストーリーはつかんでいる。

見るたびに、こちらの感じ方が変わる物語だ。以前は、"オペラ座の怪人は結局愛されたかったのだよなぁ"で終わっていた。


今日は。オペラ座の怪人は、私だと思った。愛を欲しているけれど、自分の醜い部分が邪魔をして、歪んで、気持ちが真っ直ぐ届かない。一瞬届いた、愛されたと思っても、結局本当には報われないのだとわかって、みずから自分の存在を消す。


オペラ座の怪人は、ちゃんと満たされたのだろうか。それともあれは諦めだったのか。または、その両方か。

でも、母親にも嫌われた醜い自分を最後にはクリスティーヌに受け入れられ、愛され、その瞬間は確かに満たされたと思う。その瞬間だけは。


怪人役の男性の顔がとても優しかった。表情でなく、顔が。本心を歌うとき、本心が引き出されたときに指が動くのが愛おしかった。そして、何より歌に全てがつまっていた。

どれだけ醜くても、歪んでいても、愛すべき理由があるのだと知った。オペラ座の怪人も、私自身も。

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