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自分へ

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できる限り、わたしが一瞬でもこころをゆるしたひとびとに、この手紙が読まれてほしい。わたしが何者であるか完全にわからなくなる前に、わたしの一瞬を委ねた他者がわたしが何者であったかを…
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2024年5月の記事一覧

5/26

家のドアが開かなかった。 鍵は持っていたけれど内側からロックがかかっていた。 ドアの前でしゃがみ込む。 携帯は早朝5時の終わりくらいだったかと思う。 今日は死ねる。 もう私には何も残されていないと何度も思った。 私は家の鍵と携帯をドアの前に落とした。 家族が眠っているドアの前で跪いた。 感謝だったのか謝罪だったのかわからなかった。 その足で河川敷へ向かった。 早朝はまだ人が少なかった。 誰も私のことを気にしないと思った。 川の音も犬を散歩している人の足音も聞こえなかった。 た

5/25

午前5時に目が覚めた。 隣に眠る妹の頬を片手で包んでみた。 妹がわたしの手に気づいて少しニヤついた。 今日は死ねると思った。 今日は大切な友人らに久しぶりに会う日で、 今夜は朝まで日本に会いにきてくれた友人とクラブで盛り上がる予定で、 今日は死ねると思った。 自信があった。 妹の唇が上がって私は幸せになって 死ねると思った。 7時間ぐっすり寝られて、 家族より早く5時に起きられて、 大切なひとびとに会える今日は 私に自信を与えてくれて 今日は死ねると思った。 朝起きて今日は