SS小説『俯瞰』(2013年作)
ショートストーリー小説(2013年作)
『俯瞰』
僕は歩いていた。
どこに行こうだとか、何をしようだとか、そんなことは何も考えていなかった。ただずっと続く道を歩いていく。まるで歩くことそのものに意味を見いだそうとするかのように。ただ、ただ歩き続ける。
しばらく道を歩いていると大きな道路にぶつかった。車の交通量が多く、横断歩道もないので渡ることはできない。道路の向こう側には背の高い木々が並んでいて、その先を見渡すことができない。しかし木々の隙間からは奇妙に大きく盛り