ジェイラボワークショップ第48回『都市と資と利と』【情報科学部】[20230206-0219] #JLWS


筆者が属するコミュニティ上で2/6~2/19の2週間、ワークショップの発表を情報科学部として担当しました。この記事はそのまとめです。情報科学部部員があらかじめ「大都市はどうやってできるのか」を読み、要約とそれに関連する質問を投稿してジェイラボの皆さんに意見を募るという形で進行しました。


初日

けろたん

みなさんこんばんは。けろたんです。
今回の情報科学部のWSのテーマは、社会の情報化を検討するにあたって避けては通れない「都市」です。
題材として「大都市はどうやってできるのか」(山本和博) を使います。

(WSの進め方)
日程に沿って情報科学部部員が題材テキストの要約と内容に関する質問を投下します。参加者の皆さんに興味のある内容にコメントしていただき、フリーダムに議論していくスタイルになります。
日程は以下のとおりです。
2/6 WS開会宣言(担当者:けろたん)
2/7 都市ができるしくみについて (けろたん)
2/9 「多様性」と「輸送費用」について(chiffon_cake)
2/11 都市と経済成長について(Tsubo)
2/13 都市と少子化について(匿名希望)
2/15 都市とICTについて(ジパング)
2/17 都市の大きさについて(けろたん&ジパング)
2/19 締め(けろたん)
2週間よろしくどーぞ。
それでは、題材テキストに入る前に現時点での都市に対する興味を伺いたいと思います。

あなたの都市についての興味は以下のどれに最も近いですか?
:1: 都市を生み出し、維持、拡大させる経済的な要因に興味がある 3
@Hiroto, @chiffon cake, @匿名希望
:2: 都市と人々の暮らし(生活水準や子育て)との関係に興味がある 6
@Takuma Kogawa @あんまん,@Yujin, @蜆一朗, @チクシュルーブ隕石, @ていりふびに
:3: 都市と情報技術の関係に興味がある 4
@Hiroto, @Naokimen, @匿名希望, @ていりふびに
:4: 上記以外の都市の側面に興味がある 2
@コバ, @匿名希望
:5: 興味はない

けろたん
(おまけ)
WSに先立って5日ほど離島に滞在しました。親戚中の後期高齢者のみなさんまでスマホを使っていてびっくりしました。アプリのアップデートという概念がよくわからないらしく、アップデートの案内画面から先に進むのに料金がかかるのではないかと心配している方がいました。その方からは捕獲したイノシシの動画を見せていただきました。

コバ

都市という概念そのものを思考する機会が今まで無かったので、都市という概念そのものに興味があります。
そんな視点からもWSに参加させていただければと思います。よろしくお願い致します。

2日目

けろたん

本日は「なぜ都市ができるのか」と題された、テキスト1章の要約とそれに関する質問です。まず、本文の要約です。

1章なぜ都市ができるのか

自給自足の時代
狩猟採集による自給自足の時代は、確保できる食料が人口の上限を決めていました。これは食料確保の手段が狩猟採集から農耕になっても変わりません。農耕技術に革新が起こると、より多くの食料が収穫・貯蔵できるようになり、食料確保が不確実な狩猟採集時代に比べ人口規模が大きくなります

交易
馬や牛の家畜化、車輪の発明といった輸送手段に技術革新が起こると、人の移動コスト、物の運搬コストが低下するため、近隣の村落との交易を通して品物を得るのが容易になります。人口を支えるのに必要な品物の全部を一つの村落内でまかなう必要がなくなるため、それぞれの村が他の村に比べ生産力が高い品物に生産力を特化することで、村々を合算した品物の総生産量が増大します。特に人口増のボトルネックになっている品物の生産量が増えれば人口も増えます。「他の村に比べて生産力が高い品物」を決めるのが、比較優位と機会費用という考え方です。(輸送手段の発展と都市の人口の関係については2章担当のchiffon_cakeさんのターンで説明されます)

労働生産性
話は現代に変わります。物を消費する、物を生産する、ものを交換するといった経済活動においては、消費の主体である個人にとっても、生産の主体である企業にとっても、労働生産性が高まることは望ましいことです。 ここで労働生産性とは、「労働者一人あたりに与えられた時間あたりに作れる最大限の物の量」と定義します。労働生産性が高まれば企業の収入と労働者の賃金は増えます。労働者の賃金が増えると消費の元手が増えるので消費によって得られる満足が大きくなります。
4.分業による協業と規模の経済
労働者を工場にあつめて役割分担をさせると生産効率の上昇が期待できます。これを分業による協業といいます。また、生産量を増やせば増やすほど品物ひとつあたりにかかる生産費用が少なくなっていくことを規模の経済といいます。工場ひとつあたりの労働者をふやせば増やすほど生産力が上昇する場合、企業は工場周辺に人を集めるので企業城下町が出来ます。
5.地域特化の経済
鯖江のメガネ、シリコンバレーのソフトウェア産業、豊田の自動車業など、同じ産業が同じ地域に集積する現象が見られます。そのような地域では、それぞれの企業にとって、企業間競争が激しくなる以上のメリットが存在していると考えられます。同一産業に従事する人々の間で有益な情報が共有されれば労働者の労働生産性が上がるでしょうし、多くの労働者が集まることで労働生産性の高い人々の絶対数も増えるでしょう。そして、事業を行うのに必要な金融機関や法律事務所は一度場所が決まってしまえば他の場所に移動させるのが難しいものです。より小さな規模では、レストランや、アパレル、電化製品の小売でも、店舗が集積することによる消費者増の効果が十分大きければ、店舗間の競争も許容されるものになるでしょう。
6.都市化の経済
様々な種類の企業が同一の地域に集積し大都市を形成することで利益が生まれることを都市化の経済といいます。地域に様々な産業があるのは、銀行にとっては企業からの借金返済のリスクが減るため望ましいことです。一つの産業の景気に地域の景気が左右されないからです。労働者にとっても、異なる産業に属する他者との交流からあらたな知識を得たり、文化、芸術、教育へのアクセスが容易になるメリットがあります。大都市では大きな人口に支えられた税収によって、民間が生産しても利益にならない公共財を供給することが出来ます。

自給自足→村々、工場に人が集まる→同一産業が集まる→様々な産業が集まるという流れです。
以上の要約を踏まえて、次は本日のクエスチョンと部員コメントです。

「機会費用」という概念を
:1: 知っている。説明できる。 3
@Tsubo, @chiffon cake, @YY 12
:2: 知っている。ぼんやり説明できる。 1
@匿名希望
:3: 知っている。見聞きしたことはあるが説明できない。 1
@Hiroto
:4: 知らない。 7
@蜆一朗, @Takuma Kogawa, @チクシュルーブ隕石, @Yujin, 
@ていりふびに, @Naokimen, @あんまん


機会費用(選ばなかった選択がもたらす利益がどれぐらいあるか)を意識したことが 
(ある、に投票した方はよろしければエピソードを教えてください)
:1: ある 7
@Hiroto, @チクシュルーブ隕石, @chiffon cake, @蜆一朗, @匿名希望, @Tsubo, @あんまん
:2: あるけど具体的な内容は秘密♡
:3: ない 4
@ていりふびに, @Takuma Kogawa, @YY 12, @Yujin

けろたん

ある行為の効果を評価するときに、別の行為をしていたならば得られたであろう効果と比較して考慮することは忘れられがちです。室伏広治はオリンピックで金メダルを取りましたが、野球をやっていれば手に入れたかもしれない100億円と引き換えに得たものかもしれません。選ばなかったこと、起きなかったことの効果を正確に評価するのは難しいですが、だからこそ、機会費用を低く見積もりたがる人の心理を表現した「すっぱいぶどう」が訓話になるのかもしれません。

本日も引き続き、人の集まりが村から都市に発展していく過程、また機会費用という考え方についてのコメント・エピソードをお待ちしております!!
なお、明日夜はchiffon cakeさんによる都市形成と「多様性」・「輸送費用」の関係についての投稿があります。


3日目

chiffon cake

3日目になりました。chiffon cake が担当いたします(一日早くなりました)。
なお、本文要約と質問は19:00予定です。
よろしくお願いします

2章 多様性と輸送費用の役割
冒頭
 大都市に住んでいると、多様な財の消費が可能となります。消費できる財の多様性により、一般に生活水準は確実に高くなるとされています。ここで、消費財には輸送費用がつきものだということに着目します。本章では、「多様性」と「輸送費用」に焦点を当て、大都市が形成されるメカニズムについて考えます。

1節
 第1章(けろたんさんのパート)で触れたように、人間や財が地域間を移動するのにかかる費用は、輸送技術の発達によって歴史的に下がってきました。 明治以降の日本では鉄道網の整備が輸送費用を大幅に下げ、1960年代以降には自動車の普及と高速道路網の整備が輸送費用を下げました。これらによって、人ロの地理的な分布が次節のように変化しました。

2節
 戦後すぐの日本では三大都市圏の人口規模の拡大が進みました。その一方、出生率は低下の一途を辿っていたので、三大都市圏の人口規模の増加は、農村部、及び地方からの人ロの流入によるものとなります。これらは地域間を財や人が移動する際の輸送費用の低下に結びつきます*1。つまり、輸送費用の低下とともに三大都市圏の人口増加、そして東京一極集中が進んだと考えることができます。この理由を具体的に解き明かすカギが「多様性」と、それと関連した輸送費用の低下の役割を理解することにあります。
*1: 題材として扱った本では、人口と輸送費用の相関について、統計データをエビデンスに説得力を与えていましたが、chiffon cakeがヘソ曲がりなことに根拠不十分と判断しましたので、3節以降の内容を理由づけとします。

3節
ここでいう多様性には三つの面があります。
・ 消費財の多様性 : 多いほど、人々の生活基準が上がります。
例: 繁華街にたくさん飲食店がある, 大型ショッピングモールがいくつもあるなど。
・中間投入財の多様性 : 多いほど、消費財を生産するコストが下がります。
例: ある商品に必要な部品や加工を外注する際、より安価で高品質な選択肢の可能性があります。
・スキルの多様性 : 多いほど、個人個人の賃金が上がります。
例: 分業による協業ーcf. (けろたんさんパート)1章4節ーで役割分担が細かくなり生産性があがります。

4, 5, 6節
輸送費用が低下すると、
・商品は消費者が集まる地域、つまり消費財の多様性が高い地域に流れます(消費財の集中)
・ある企業からみた、他の中間投入財である企業が多い地域に工場が立地されます(中間投入財の集中)
・労働者は賃金の期待値が高い地域に流れます(スキルの集中)
どれも人口の集中と連動する現象であり、都市はいずれの性質も満たします。したがって輸送費用の低下は都市への人口移動を引き起こします。
つまり、人々が都市の多様性に惹かれて大都市へと発展します。ただし、どこに都市が形成れるかが決定されるかについては、輸送費用が下がる以前までのわずかな多様性の差によって決まるため、なぜ東京・大阪・名古屋であるのかについては、歴史的な偶然としか言えないようです。

7節
そして今後も、2027年開通予定のリニアモーターカーなど、さらなる高速輸送技術の発達によって、東京一極集中は加速すると予想されます。

https://toyokeizai.net/articles/-/267877

「消費財の多様性」に惹かれるか?(良ければ理由や体験談も)
:1: 惹かれる 7
@匿名希望, @Tsubo, @Naokimen, @チクシュルーブ隕石, @あんまん, @けろたん, @コバ
:2: 惹かれない 5
@ていりふびに, @Yujin, @Takuma Kogawa, @蜆一朗, @Hiroto
通販サービスやテレワークといった概念は、本文と真逆の方向を示唆するように思えますが、
以下の選択肢から賛成する方を選んでください(できれば理由も述べてください)。
:1: 今後も大都市への人口集中は加速すると思う 8
@Tsubo, @Naokimen, @ていりふびに, @チクシュルーブ隕石, @コバ
@Yujin, @蜆一朗, @Takuma Kogawa
:2: むしろ人口集中は減速すると思う 2
@Hiroto, @けろたん

5日目

Tsubo

5日目は私が担当します.

3章集積と経済成長
1.日本のGDPの移り変わり
日本のGDPは1990年ごろまで伸びていましたが,以降は一人当たりGDP,トータルのGDP共に横ばいです.GDPの成長は東京、大阪、名古屋の三大都市圏への人口,資本集中によるものなのですが,1990年以降はそれらの集中が起きているのは東京圏のみです.経済活動の集中と人口の集中という現象は各国で見られます.

2.経済成長のメカニズム
一人当たりGDPの成長は資本蓄積によって起きます.資本蓄積とは生産活動において手段として用いる機械の量が労働の量に対して増えることです.企業は株式発行などで原資を得て設備投資を行います.それらの資金の根本の原資は国民が銀行に預けた貯蓄です.
資本蓄積による成長には限界がありますが,その限界を超えれば成長の主要因が各企業の資本蓄積から技術の発展へと移行します.
政府による技術による成長のアシストとして,特許制度の整備があります. 他の成長要因に輸送コストの低下があります.輸送コストが低下すると比較優位のメカニズムで都市への集積が起こるからです.また,人的資本が都市に集積される場合,情報共有が行いやすく,また新しいアイデアなども発生しやすいため,技術の進歩と人的資本の蓄積も都市への集中を加速させます.

都市という人的・物的資本や経済活動が集中している場所に
居住しているメリットを考えたことはありますか?(具体例もあげていただければ幸いです)
:1: ある 4
@Hiroto, @あんまん, @ていりふびに, @コバ
:2: ない 5
@蜆一朗, @Takuma Kogawa, @チクシュルーブ隕石, @Naokimen, @Yujin
:3: 都市とは逆の性質を持つ場所である,田舎なら考えたことはある 2
@けろたん, @chiffon cake


7日目

匿名希望

みなさんこんにちは.
第4章を担当する,匿名です.これから数日間宜しくお願いします.
読み終えた後で,質問等あれば,遠慮なくご投稿下さい.
それではいきますね.
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テーマは,“少子化と都市について“,です.
皆さんは,発展途上国よりも,先進国の方が,少子化が進んでいるという話は,すでにどこかで聞いたことがあると思います.
これは国レベルの話ですね.
ですが,実は,国レベルから更に視点を落として,国の中の都市レベルを見てみても,実は,このような傾向があるんです.
そういったお話です.
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日本では,近い将来,地方都市が消失してしまうと,とある本で紹介されておりました.
それは,東京一極集中こそが原因であるとも,紹介されています.
確かに,東京一極集中によって,農村部や地方都市の人口が流出→減少する,という流れは,誰もが容易に想像できると思います.
しかし,少子化の言葉の定義はなんだったでしょうか?
そうですね,文字通り,子供の数が減ることです.
では,東京一極集中と少子化の間にはどのような関係があるのでしょうか?
みなさんここで一旦考えてみてください.
ポイント(ヒント)は,合計特殊出生率です.
合計特殊出生率が,人口の多い都道府県になるほど,低くなります.
つまり,東京一極集中のように人口の多い都道府県に人口が集中すると,少子化が進むことを意味しているのです.
では,そもそも,少子化の原因とは,一体なんなのでしょうか???
ここでは,このことについて,みなさんにも考えてもらいたいと思います.
子供を産み育てることは多くの親に大きな喜びをもたらしてくれます。しかし同時に、膨大な時間と莫大なお金がかかります。子供の数はこの喜びと、時間、費用とのバランスで決まってくるのです。
つまり,

**子供を持つ喜び**>子育てによる機会損失(収入,充足感,自由な時間)
→子供を産む
子供を持つ喜び<**子育てによる機会損失(収入,充足感,自由な時間)**
→子供を産む選択を避ける
(あるいは,蛇足だが,麻里子様みたいなことをする選択をとるのかもしれない)

このことをもとに,少子化の原因と言われているものをいくつか挙げていきますね.
夫婦が子供の数を決める要因
なんだと思いますか???
一旦考えてみて頂ければ幸いです.
簡単な思考実験を行って頂ければと思います.
子供を増やしたいと考える要因を挙げていただけますと幸いです.
1組の夫婦はどのように子供の数を決めているのでしょうか.
子供の数を増やしたいと思う要因はたくさんあると思います.
・子供の存在が喜びを与えてくれる!
・老後の面倒を見てもらいたい.
・そもそも子供が大好き!
などなど,様々な意見が出てくると思います.
日本のような先進国では,このような生暖かい意見が多数を占めると思いますが,
東南アジアやアフリカなどの発展途上国では,まだまだ,日々を生きることで精一杯な国もたくさんあるようです.そのような国々では,子供が即戦力として稼いでくれることを期待し,子供を増やしたいという結論に至ることもあるようです.
以上のような様々な要因を多く取り入れて考えていくと,パラメータたるものが溢れ,複雑化してしまうため,ここでは,単純に,子供の存在が喜びを与えてくれるからだ,要因はこの1つのみとして考えていきますね.せっかく意見頂戴したのに申し訳ないです.
もし,子育てに時間も費用も掛からない場合,
→夫婦は子供の数を∞にするでしょう.
ですが,現実には,子供の数を∞にしている夫婦など,見たことがありません.(少なくとも私は)
そうですね,それは,子育てには莫大な時間と費用が発生するからです.
費用が発生する,なるほど,それは分かったと.
けど,時間ならまだなんとかなるんじゃないの?
と思われた方もいるかもしれません.
とんでもない.
気をつけてください.時間はいつだって有料だということを.....
つまり,機会損失ということが問題になってくるのです.
だって,子供を育てる時間で,子供と過ごす時間よりも価値がある金額を貰えるとすれば,
子供との時間<お金
になり得ますよね.
そうなんです.このように価値を変換して天秤にかけるという思考を行うと,自ずと結論は出てくるのです.
ただ,子供の人数を決める際には,子供を持つことの喜びと,機会費用も含めた子育てにかかる費用を比較することになります.しかし,子供を持つことの喜びの大きさは,時代や国にあまり左右されることはないと考えることができそうです.ということは,時代や国によって子供の数が変化するのならば,他の要因が変化していると推定できます.じゃあ,他の要因とはなんなのか,それは「子育てにかかる金銭的な費用」、「子育ての機会費用」、「自分が持っている所得」の3つです.
・時代が進むにつれて,労働が肉体的なものから頭脳を用いるものになる→給与がよくなる,女性が進出しやすくなる.→子育てをすることでの機会損失が増える
・設備投資など,資本蓄積に失敗すると,経済成長が順調に進まない
このような流れも要因として考えられます.
また,男女それぞれ両方で,集積の経済が働き,大都市で働いた方が,高い賃金が得られる傾向にある.
→平均賃金の上昇は,所得の上昇+子育ての機会費用の上昇
→これだけでは男女の賃金水準の上昇が,こどもの数に影響は分からない.
男女の相対賃金が,どちらが子育てに時間を費やすかを決める.
とまとめることができるでしょう.
つまり,③の効果を①,②に合計に比べ,いかにして高くするかが重要なのかもしれない.(意見を聞いて議論してみるのも面白いのかもしれない)
機会費用が上がる→子供の人数を減らす
→同じ量だけ得るのと失うのとでは,失う方が,実際に失う量よりも多く感じる,という人間のバイアスによるものも含んでいるのかもしれない(ファスト&スロー)
また,大都市の方が,男女間の賃金格差が大きい(女性の賃金が男性に比べより低い)
→大都市の方が,頭脳を用いる業務が多いことから,意外な結果に思われるかもしれないが,男女間の大学進学率の差にヒントがある,と考えられます.
これは,大都市における,頭脳中心の業務は,専門知識の果たす役割が大きいため,と考えられますが,果たして本当に専門知識の果たす割合が大きいからなのでしょうか.というのも,世の中の大半は学士で社会を出るものの,大学で学んだ専門知識を生かすというよりかは,会社で示された業務をいう通りにこなすというものだというように見受けられるからです.
皆さんはどう思いますか?
以上が私からの発表です.
突っ込みどころは多々あるかと思います。
忌憚のないご意見をお待ちしております。

9日目

ジパング

第五章では情報通信技術の発達と都市の発展について考えて行きます。
担当のジパングです。よろしくお願いします。

1都市における知識やアイデアのやり取り
大都市の重要な機能の一つは人々が直接出会う機会を数多く設け、知識やアイデアの受け渡し
を容易にすることです。特にイノベーションのような知的な生産活動において重要になってくるものが、「暗黙知」「雑談」「ノイズ」「偶然の出会い」です。暗黙知とは、表情や仕草、雰囲気や言葉の調子など、同じ場所を共有していなければやり取りすることが難しい情報です。中島賢太郎氏によると、1985年から2005年にかけてICTの発展にも関わらず共同研究を行う発明者間の距離は近いことを示しています。古代ギリシャの時代から現在に至るまで、都市では人々が偶然出会い、顔を合わせて暗黙知を含めた知識やアイデアを交換し、新たなアイデアを生んで来たように都市で直接顔を合わせることが重要になってきます。

2本社機能を地方へ移すことにメリットはあるか
東京に本社、地方に支社を置く企業を想定したとき地方に指揮管理機能を置くか、東京から直接指揮管理をするか選ばなくてなりません。電話や電子メール、インターネットが発達する前では都市間の情報通信費用が高く、管理職を派遣するなど支社に指揮管理機能を持たせなければいけませんでした。電子メールやzoomなど情報通信が発達したことで情報通信費用が安くなれば東京で指揮管理を一元化できるようになります。このようなことからICTの発達による地域間の情報通信費用の低下は、東京の本社機能の拡大を進め、地方都市の支社の権限と規模を縮小し、地方から東京への人口の流入を後押ししている可能性が高いです。

3出会うことのなかった人々の新たな結びつき
ICTの発達により会議や講義のオンライン化、書類の電子化などによってこれまで職場や教室が担ってきた人々を一箇所に集め情報を交換するという機能は代替されるようになって来ました。同時にオンラインでの人々の交流が活発になることによって、これまで出会うことのなかった人達とのつながりが生まれ、新たなイノベーションを生み出すきっかけとなります。オンラインでの打ち合わせからオフラインでのやりとりに発展するなど、人々が直接顔を合わせる機会を増やしていると言えるかもしれません。

ICT技術の発展は本当に都市拡大の要因となったと思うか
:1: 関係あると思う 8
@Hiroto, @けろたん, @Naokimen, @チクシュルーブ隕石, @蜆一朗, @Yujin, @コバ, @シト
:2: 関係ないと思う

ジパング
昨日は本の要約の質問としてICTの発展と都市拡大について質問しました。今日は「暗黙知」や「雑談」など知的な生産活動において重要と言われているものを実感したことがあるかについて聞きたいと思います。身近な経験などがあれば気軽にコメントしてください。

知的な生産活動において「暗黙知」や「雑談」といったことから
新たなアイディアなどを生み出した経験はありますか?
:1: ある 9
@チクシュルーブ隕石, @Naokimen, @chiffon cake, @蜆一朗, 
@匿名希望, @Yujin, @Hiroto, @けろたん, @コバ
:2: ない


11日目

ジパング

第6章
この章では東京都市圏の人口が過大であるかについて考察していきます

1適正な人口水準
東京などの都市を想定したとき土地の価格はビジネスセンターがある中心ほど高くなり、そこから遠くの通勤費用が高い場所に向かって土地の価格は低くなって行きます。都市に人口が集まると集積の経済が働き、都市の生産性が向上し生活水準があがるなど様々なメリットがあります。集積の経済の恩恵と土地の価格の相関をグラフにしたときに2つが交わる点がその都市の適正人口水準になります。(ヘンリー・ジョージ定理)
これをもとにして東京都市圏の人口水準を考えたとき、一般に考えられているほど東京の人口規模は過大であるとは言えません。

2東京一極集中と過疎化する地方
日本全体の人口減少と、地方から東京都市圏への移住が続いた結果、多くの地方が過疎化に悩 まされています。地方から東京への人口移動は強制されたものではなく、個々人の自由意思にもとづ く結果によって選択された行動です。これらの選択は多くの場合、個人に最良の結果をもたらします。個々の人々が全員、最良の結果をもたらす行動を選ぶことができたのならば、社会にとってもそれが最良の結果となるわけです。東京都市圏の人口が過大ではない場合には、地方から東京への人口移動によって、人口を受け入れた東京の先住民も、移動した人も生活水準が上がることになります。たとえ地方の人口が減り、過疎化が進んでいっても、そのような人口移動を止めることは全体の不利益になることが明白です。
東京への人口流入に対して政府が介入するには、東京の人口規模が過大であることを示す根拠が必要になります。

地方の過疎化が進んでも東京の人口規模が過大でなければ一極集中が進んでもいいと思うか
:1: 一極集中が進んでもいいと思う 1
@chiffon cake
:2: 一極集中が進むのはまずいと思う 8
@Naokimen, @匿名希望, @チクシュルーブ隕石, @Takuma Kogawa, 
@Hiroto, @けろたん, @蜆一郎, @コバ


匿名希望

短絡思考みたいな感じですみませんが、
リニアなどが開通すれば、地方都市自治体個々が、上手く自分たちの場所にしかいない優位性を確立できれば、相まって、1極集中は抑制できるのではないかと考えてはいます。

まとめ

けろたん

今回の情報科学部WSで部員からの投稿は先日のジパングさんをもって全て終わりです。
内容をざっと振り返ると、
けろたんが担当した1章では、人の集まりが村の単位から都市の単位に大きくなっていくプロセスを概観し、そのときに働く機会費用のメカニズムに関する経験について質問しました。
chiffon_cakeさんが担当した2章では、「多様性」が人々の消費の満足度を増やすだけでなく、企業の生産活動を効率化する役割をもつことと、はじめは小さかった地域間、都市間の多様性の違いが輸送費用の低下によって拡大していくことを説明し、多様性と都市への集中に関して質問しました。
Tsuboさんが担当した3章では、都市への集中が国家の成長の原動力となっていることを説明し、質問では都市で生活することの個人単位のメリットを伺いました。
匿名希望さんが担当した4章では、子育て、上京といったテーマを情緒的な感覚から切り離して議論を展開しました。
ジパングさんが担当した5章では、知識やアイデアのやり取りにおいては明文化されていない情報の交換が重要な役割を果たすことを説明し、その経験を問う質問をしました。さらに通信費用の低下が企業本社への指揮機能の集中をもたらすことを説明し、ICT技術が都市拡大の要因となるか否かも質問しました。
同じくジパングさんが担当した6章では、適切な人口水準を検討するのに、都市化のメリットである集積の経済の恩恵と、デメリットである土地価格の上昇を比較することを紹介しました。また、いまだ適切な東京都市圏の規模が確定していないため、人口移動の制限が全体の利益を阻害する可能性も述べ、東京一極集中に対する皆さんの賛否を伺いました。
以上をもって今回の情報科学部のWSの投稿は終わりです。
最後に、振り返りとして質問を3つ投下します。

WS期間を通して、みなさんの都市についての疑問や興味が
:1: 扱われていた。十分な答えがわかった
:2: 扱われていた。部分的な答えがわかった    1
@匿名希望
:3: 扱われていなかった。関係ありそうな話題はあった    5
@コバ,@蜆一朗,@Naokimen,@チクシュルーブ隕石,@Hiroto
:4: 扱われていなかった。全く違うことに疑問や興味があった
都市についての興味は
:1: 増した    5
@匿名希望,@コバ,@蜆一朗,@Naokimen,@チクシュルーブ隕石
:2: 変わらない    1
@Hiroto
:3: 減った
都市について考えるための概念や説明方法に
:1: 納得できた
:2: 部分的に納得できた    6
@匿名希望,@コバ,@蜆一朗,@Naokimen,@チクシュルーブ隕石,@Hiroto
:3: 納得できなかった
:4: その他

けろたん

2週間にわたって、WSにご参加いただきありがとうございました。

コバ

私は山本和博「大都市はどうやってできるのか」は未読ですが、要約の内容から察するに「都市の形成」という論点について狩猟・採集中心の生活から農耕・牧畜中心の生活へ変わること、つまり農業革命(この概念はユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」より引用)の地点から始めることでかなり広範な議論の可能性を受け入れながら議論を進めていく本なのかと思いきや、経済学という視点から分析するという切り口にしてしまったために、せっかくの入り口の広さを生かしきれていない本、という印象を受けました。
農業革命は狩猟・採集という非効率な生活様式を、定住ができて快適で生産効率の高い農耕・牧畜中心の生活に変えた良いことである、という認識を現代に生きる我々は広く共有しています。
その農耕・牧畜中心の生活様式の発展形である「都市」、この「都市」が孕んでいる問題は時代ごとに移り変わっていきます。各時代ごとのその問題に対する解決へのアプローチは様々でしたが、現代を生きる我々はその問題の解決に対するアプローチとして「狩猟・採集の生活に戻ろう」という方法は取りませんし、現在まで各国各地でこれだけ「都市」が成立、維持し続けている様子を見ると、やはり異国、昔の人々も「狩猟・採集の生活に戻ろう」とはならなかったようです。
歴史学は過去の都市の問題と現代の都市の問題を比較することを可能にしてくれます。
経済学は仮説という足場の上で理論的に都市の問題に関して語ろうとしてくれます。
そして科学を武器に、現代人はこれからもテクノロジーで都市の問題解決を図ろうとするでしょう。
しかし「都市」を語る際に狩猟・採集の時代くらいまでは思いを馳せる視野は持っておきたい、そしてそういった視野を共有できる空間(ジェイラボですね笑)は今日においては絶対に必要だと改めて感じました。
個別のクエスチョンへのアンサーではなく申し訳ないですが、情報科学部の皆さん、興味深い視点の提示、またWSの進行ありがとうございました。

けろたん

コメントありがとうございます!
あとがきによると、筆者はクルーグマンに影響を受けて経済学からキャリアをスタートさせ、現在は都市を研究するに至っているようです。
そのためか本書では「農業革命」の扱いは申し訳程度で、さらには経済学的な説明もレーベルの雰囲気にあわせてふわっと書かれています。

個人的には、現在の都市は第一次産業を内部に持たない点で、狩猟・採集から農耕・牧畜への変化と同じぐらいのジャンプによってできた空間だと考えています。農耕・牧畜では狩猟・採集ほどにではないにせよ「自然の理屈」に左右される要素が多分に残るからです。それが天気や動物を制御するという発想に繋がりますが、対象として意識しなければならないかぎり、自然は制御しきれなさを突きつけるものでありつづけます。一方、工場はあっても農場、漁場はない都市の場合は天災レベルの気象現象を除いて、人の生活を人間の理屈が支配しています。一生を都市の内部で過ごす人類にとっては、淘汰圧となる自然とはもはや人間の文化や技術そのもので、「自然」選択の結果として狩猟採集生活に戻れるほど現代の人類は頑強ではないのかもしれません。この点、「人と人は支え合って生きている」というのはおためごかしの道徳ではなく、人間はもはや社会を捨てて自然に戻ることができない地点まで動物的として退化しているという諦めでもあります。もっとも、社会が近代化する以前も貴族の生活は人間の理屈が濃い空間として存在していました。それは同時代の他の人間に「自然の理屈」の処理を外注することで達成されていたわけですが、その意味で都市に住む現代人は皆貴族といってもいいのかもしれません。
また、都市問題への解決として「農村社会」に戻ろうという意見が見られるのは面白い現象だと思います。(そして養老孟司はこの意見を肯定するものとして読まれている気もします。)人口が1/3になり、その8割が1次産業に従事し、田畑を耕すのが牛や馬といった時代に今から戻れるとは思いませんが、その時代を生きてきた世代が感じるリアリティを想像するに昔の人の強靭さに驚嘆するばかりです。


WS期間のやりとりのまとめは以上です。お読みいただきありがとうございました。




事後スレッド

以下は2週間のWS期間後に発生したやり取りのまとめです。(事後議論期間が終了する3/5に追記予定)

情報科学部部長のけろたんが、「ホモサピエンス全史」「ホモ・デウス」を読んでいないことに言及。



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