仕事と労働の未来を考えるため、日本SF作家クラブに入会しました
思うところあって、日本SF作家クラブに入会しました。
えっ、朱野さんってSF作家ではないですよね? なぜ入会したの? その答えを下記の自己紹介に書いています。
誘ってくださったのは青木祐子さんです。「いやいや、SFと接点がありませんし」と答えたものの、青木さんに「私もSF作家じゃないけど、日本SF作家クラブで経理やってるから大丈夫!」と言われて、『これは経費で落ちません!』の著者を経理に登用するとは面白そうな組織だなと思ったのが入会のきっかけでした。
上の記事でも書いた通り、数年前に読んだ『ハロー・ワールド』に衝撃を受けたと言うのもあります。この作品のおかげで「SF作品って昔から、仕事や労働を緻密に描いてきたジャンルだよな」って思った私は、『ベストSF2021』に手を伸ばし、『それでもわたしは永遠に働きたい』(麦原遼)という短編に出会いました。
『ベストSF2021』の編者である大森望氏による『それでもわたしは永遠に働きたい』の紹介文を引いておきます。
昨今、働き方改革のおかげで労働時間が減り、ワーカホリックという言葉もあまり聞かなくなったが、本編が描く未来では、つらく苦しい労働にかわって、ジムで運動しているあいだ脳活動を提供するだけでいい”朗働”が普及している。だれもが自分の境遇に満足して楽しく働いているという意味では、オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』の未来に近い。しかし、この物語の主人公は、もっともっともっと働くことを求めつづけた結果、暴走し、思いがけないところまでたどりついてしまう。ワーカホリックの果てを描く、恐ろしくも可笑しい一編だ。
なんだか「SF」が私に近づいてきている。いや、私の方が知らず知らずのうちに「SF」を求めているのかもしれない。
現在よく聞かれるビジネストレンドワードが「VUCA」です。そろそろこの言葉のブームも終わると言われたりしますが、まあでも今の社会がVUCAであることは間違いない。
20世紀、私たちが小学生の頃には「21世紀はこうなる!」という未来予想がSF作品などを通してたくさん語られていました。腕につけた通信機に話しかけたり、テレビ電話で話したり、民間企業が宇宙にロケットを飛ばし、ロボットがお手伝いさんになり、子供たちは人工知能に世話されるなどなど。あのときのイメージとはやや違うものの、SF作品に描かれた未来をなんとなくめざして、私たちはここまできたはず。
じゃあ22世紀はどうなる? を模索するため、企業がSF作家に「未来を書くこと」を依頼するようにもなったとか。
小説の描く未来が、企業活動に影響を与えるなんて楽しい。ホットなビジネストレンドであるメタバースの語もSF作品からきています。
入会後は、仕事と労働にまつわるSFを勉強していきたいです。ビジネス界におけるSFプロトタイピング活用のベンチマークもしていきたい。諸先輩方、何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。