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急売れ本にいただいた、たくさんのご感想①出版業界編
5月20日に出した同人誌『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』おかげさまでたくさんの方にご購入いただき、読んでいただくことができました。ありがとうございます!
オンラインマーケットで「電子+紙」選んでいただいた方には誤字などを直した第二版が届きます。初めての同人誌にしてはなかなかの大増刷で、銀行で印刷費の振り込みをするときドキドキしてしまいました。
「技術書典」は6月4日で終了し、「電子+紙」では買えなくなってしまったのですが「電子版」は引き続きお買い求めいただけます。
またBOOTHでの販売を開始しました。こちらでは「電子+紙」と「ダウンロード(つまり電子)版」と両方をお買い求めいただけます。
※紙の本が買えるのは現在はBOOTHだけです。
kindleでも発売されました!Amazonで購入できます。
刊行と同時にたくさんのご感想をいただきました。ご感想のなかには新たな知見も含まれており、私一人で「いいね」と押してとっておくのにはもったいないものもありましたので、全部ではないのですがいくつかシェアしておこうと思います。
まずは出版業界の人たちの感想から。
文学賞にノミネートされたり受賞したりするのも「急売れ」現象
まずは『余命一年、男をかう』が第35回山本周五郎賞に、『あわのまにまに』が第36回山本周五郎賞にと、二度もノミネートされている吉川トリコさんから。『余命一年、男をかう』は第28回島清恋愛文学賞も受賞しています。
やばい、朱野さんの新刊、ぜんぶライン引きたい…「売れても楽にはなれません」「人は評価されると傷つく」「売れるのが怖くなってしまった」見出しの強さよ… https://t.co/0yFqr0rFmq
— 吉川トリコ (@bonbontrico) May 20, 2023
『戦場のコックたち』『ベルリンは晴れているか』『スタッフロール』で直木賞にノミネートされている深緑野分さんからもこんなご感想いただきました。
うわわわわわわ朱野さんの新刊すごい……これほんとね、急な「売れ」を食らった作家はマジでボロボロになるので本当にね、いろいろ考えてもらいたいなと思いますよ……
— 深緑野分 (@fukamidori6) May 21, 2023
というかこの「売れ」への備えを技術として書いて下さるのマジでありがたい。ほんと突然くるので「売れ」は。賞とかの注目も含む。そして忙殺される。一ヶ月に5個の〆切を抱えた時に私は壊れましたよ。
— 深緑野分 (@fukamidori6) May 21, 2023
大きな賞にノミネートされたり、受賞したりすると大きなプロモーション効果が生まれます。わたしも最近「芥川賞直木賞全部読む」とやってますが、読者としてもフェス感があって楽しいのですよね。ですが、ノミネートされた作家の背負うプレッシャーたるや、メディアミックス化とはまた違う重さがあるに違いありません。
私がぶっ壊れたのは2019年で、同居人氏やマネ業を請け負ってくれた友人に支えてもらってなんとかどうにか回復したけど3年かかった。いまもうっかり転ばないように調整したり仲介をお願いしたりしながらやってる。「注目されるのうらやましい」とかそういうレベルじゃないんだよな……
— 深緑野分 (@fukamidori6) May 21, 2023
ちょうどそんなとき、『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞したばかりの千早茜さんのエッセイが公開されました。直木賞は”「受賞直後の一週間の記憶が飛ぶ」とか「受賞すると必ず体を壊す」とか、まことしやかに恐怖の忙しさが語られてきた”と千早さんは書かれています。受賞後に自宅に届けられるお祝いの花の対応が大変だという話も書かれています。
そして、お祝いの花を受け取るが大変問題は昔から言われていたことみたいです。
中山可穂さんが山本周五郎賞を受賞した時の名エッセイ「花だけはくれるな」いまこそネットで広く公開されてほしい
— 吉川トリコ (@bonbontrico) May 22, 2023
中山可穂さんの「花だけはくれるな」は現在、電子書籍のエッセイ集で読むことができます。本当にすごい名文ですhttps://t.co/iNZUEqIwG9
— 秋永真琴 / Makoto AKINAGA (@makoto_akinaga) May 22, 2023
出産のお祝いも最近では受け取りが大変なものは避けて、Amazonギフト券など郵便受けにポストインできるものを送ったりしますよね。もし私が賞を受賞したときのお祝いもアマギフがいいな! 業界全体に還元できるという意味では図書カードもいいですね。(何様)
そして千早茜さんのエッセイを読んだ吉村萬壱さんの反応も興味深かったです。吉村さんは「ハリガネムシ」で第129回芥川賞を受賞されています。
直木賞って凄いんだな。私が芥川賞を貰った時は、東京から大阪の自宅に帰ってきた時、家の前にマスコミや近所の人が鈴なりになっているだろうと警戒していたのに猫一匹いなかった。新聞のエッセイの仕事は来たが別に忙殺されることもなく実に穏やかな日々で、話題性がないとはこういうことかと思うた。
— 吉村萬壱 (@yoshimuramanman) May 22, 2023
そして、吉川トリコさんとともに第36回山本周五郎賞にノミネートされた岩井圭也さんからも。
電子版を読みました。
— 岩井圭也 (@keiya_iwai) May 20, 2023
まさに「今」参考になる内容でした。正直に言うと、連続して文学賞の候補になったことでプレッシャーが増しつつあるのですが、これからもミッションに忠実に小説を書いていこうと思えました。 https://t.co/IiMVQRsjNi
ノーベル文学賞の発表があるたびに、「すわ受賞か」と騒がれる村上春樹も大変だろうなと思います。『村上春樹はノーベル賞をとれるのか?』っていう新書まで書かれてるし。村上春樹は「わりに迷惑です」と言ってるそうですが、そりゃそうです。
そして、『元彼の遺言状』『競争の番人』とデビューしてすぐに立て続けにドラマ化がされている新川帆立さんからもご感想いただきました。
電子版を拝読しました。ここ数年でいえば私ほど本書に共感できる作家もいないのでは?! 感想が一言では収まらないので、改めてどこかで書こうと思います。思い返せばデビュー以来、嵐のような日々の中でも、本当に多くの方々に助けてもらっています。悩める作家はこれを読め!な一冊です。 https://t.co/mLAZ2zspp3
— 新川帆立 (@hotate_shinkawa) May 20, 2023
いやー、私なんかよりもさらに大変ですよね。新川さん、なんとこのnoteを読んでくださっているそうで、恐縮です…。
幻冬舎で連載中のエッセイ『帆立の詫び状』でも、急売れ本をとり上げてくださいました。ありがとうございます! このエッセイ、「わかる!わかる!」の連続すぎるので別に感想noteを書きたいと思いました。
そして、『三千円の使いかた』『一橋桐子 (76) の犯罪日記』がドラマ化された原田ひ香さんから。
朱野帰子さんの『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』、電子版で夢中で読ませていただきました。いろいろ感想はあるのですが、何より有り難かったのは「ほっ」としたことです。
— 原田ひ香📚『まずはこれ食べて』双葉社文庫、4月12日発売 (@LunchSake) May 30, 2023
私なんかまだまだな立場ですが、それでも時々、変なことが起きるのは、私だけではなかった、と https://t.co/ERwVWLDpoY
そういえば昨年あたりに、子供たちの運動会に行ったら近所に住む人から「さいきん『三千円の使いかた』を読んでからというものの、原田さんの小説ばかり読んでます。知ってます? 原田ひ香さん」と問われて「面白いですよね!」と盛り上がりました。他の作家さんが売れてるなと思うことってこういうときなんですよね。
そして、経済史や商取引などを題材にして話題になったライトノベルシリーズ『狼と香辛料』の作者である支倉凍砂さんからはこんなご感想が。アニメ化ってわたしは未体験ですが、実写ドラマ化とは別の苦労がありそう。
売れないのは当然辛いが、売れても辛いという話。
— SpicyTails@ (@spicytails) May 29, 2023
自分も今振り返ると、アニメ化の時は明らかに頭の中で太陽が炸裂しておかしくなってたので、正気を保ちながら売れてる人を見ると聖人かなと思う。
朱野帰子 | 急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本 #技術書典 https://t.co/vf49wFh01b
本は売れてないけど依頼は多い!という種類の「売れ」がある
そして吉川トリコさんがこんな指摘をしてくださってました。
「売れ」にもいろんな種類があるけど、部数が少ないわりに依頼は増えてて部数が少ないからこそ断るわけにいかなくて忙しさに目が回りそうでストレス性のじんましんに苦しめられてる「売れ」の話する?お金ほしいよお!
— 吉川トリコ (@bonbontrico) May 21, 2023
これは私も経験あります。というか、急売れ現象がおさまった今まさにこの状態に戻りつつあります。ベストセラーを出しているわけではないけど仕事を大量にこなさないと生活できない。なかなか新商品開発に時間をかけられないし、どんどん疲弊していくスパイラルが今の作家業界にあるのです。
この問題に直面しているのが、出版不況以降にデビューした新人作家さんたちで……。
夢中で一気に読んでしまった……
— 佐原ひかり (@sahara_hikari) May 21, 2023
未売れ状態だけど、「自分が悪い」「期待に応えないと」で無茶なスケジュールこなして結果休むことになった身としては、胃と心臓のあぶら汗が止まらずそのまま目から流れ出てきちゃった https://t.co/sEpklvl2DD
「わたしは出版社の不良債権になっている新人作家なので、きっと3年ぐらいで消える。書けるうちに書き切らないと」「書かせてもらえるんだから頑張らないと」みたいな強迫観念があって、そこと元来の過剰適応が組み合わさった結果、太く短くなスケジュールが爆誕し自縄自縛自滅の介になったんだと思う
— 佐原ひかり (@sahara_hikari) May 21, 2023
でも休んで一歩引いたら、わたしたぶん3年では消えないし、「書かせてもらっている」ではなく「書いている」で、重きを置くべきなのは「読んでもらっている」だなと冷静に考えられるようになった。消えたら消えたで会社員だけやればいいわけで、そっちのほうが楽で快適なんだと気付けたのも大きかった
— 佐原ひかり (@sahara_hikari) May 21, 2023
朱野帰子さん初の技術書『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』を「電子+紙」で購入して電子版で一気読み。
— 真下みこと (@mikoto_mashita) May 21, 2023
「はやく売れなければ」みたいな強迫観念から解放されてとても冷静になれる、抗不安薬みたいな本でした。きっとこのさき何度も読み返すと思います。 https://t.co/C0G5lBTtXR
こちら誤解を招くツイートだった気がするのですが、売れたい気持ちはすごくあるし、早く売れないと出版社の方などお世話になってる方々に迷惑をかけてしまうし仕事もなくなってしまうことはもちろんわかっています。それは大前提で、その後のことを考えてなかったなとハッとさせられたという感じです。 https://t.co/e5uNTopzqF
— 真下みこと (@mikoto_mashita) May 22, 2023
「出版社の不良債権になってる」とか「早く売れないと迷惑をかけてしまう」とか思わなくていいんですよ……。出版バブルだったころは出す新刊すべて初版止まりで、それでも十年以上書かせてもらった作家もたくさんいました。今より初版部数も印税もずっと多かったおかげで長い売れない時代を経て、出版業界を支える大ベストセラーになった人もいます。新人でいきなり売れるのも大変ですし、売れない時代が長い(あるいは作家以外の職業をしていた期間が長い)作家の方が、売れた後の準備ができているいうか、いい感じに老獪になっていて、結果的に作家生命が長くなっているように私には思えます。
私もそうですが一度売れると既得権益のようなものができます。変な話、それほど面白い企画を出さなくても連載がとれてしまったりするし(もちろん通らない場合もありますが)、ドラマ化が再放送されれば新たな著作権料が入ります。エッセイなどの仕事もどしどしきます。新人時代はそういう売れている作家に食わしてもらっていいと思うんですよね。出版不況なのはこの業界に長くいる人たちにこそ責任があります。責任など感じなくていいし、上の世代よりも圧倒的に不利な状況で善戦している自分を褒めてあげてほしいです。
漫画家もイラストレーターさんも「売れ」がきたら同じことになる、らしい
漫画家さんからもたくさんご感想いただきました。「こんな漫画家さんに感想もらったのですが知ってますか?」と編集者に自慢したら「知ってるも何も私が激推ししている漫画家さんじゃないですか」と怒られたりもして、自分が漫画業界詳しくなさすぎることを実感したので、お一人一人を的確に紹介できる自信がなく、ツイートだけの紹介になってしまって恐縮です。
でも小説と漫画というジャンルを超えて読んでいただけてとてもとても嬉しい。
読み終わりました!マンガと小説でかなり違う部分はありつつも、大変勉強になりました。
— きづきあきら (@kidukira) May 21, 2023
「売れ」の後のバーンアウトは割と身の回りで散見されるので、おそろしいなと思いました… https://t.co/rDmrQ4fNqf
読了。
— 水谷アス◆漫画連載中/月・水・金 (@mizutanias) May 23, 2023
バズったりフォロワーさんが急増したときの似たような孤独感、そのとき全く関係ない分野の友人ほどありがたかった事を思い出した。あと、運動脳で紹介されてた村上春樹著作がここにも出てきて驚き。読む。
創作のために私も最近朝走ってるのだが、やはり走るのは良いのだ!と改めて思ってる。 https://t.co/AIRPKpW4CF
しかし、この矢野さんの体験したことと比べれば物凄く小さな規模だけど、バズったときの取材依頼の雰囲気とか、その反応にメンタル振り回される感じとか、沢山の評価されることで相当心をやられたことを思い出す。
— 水谷アス◆漫画連載中/月・水・金 (@mizutanias) May 23, 2023
あれのもっととんでもないやつがメディアミックスなのか…と思ったら恐ろしくなる。
イラストレーターさんも売れたら大変!という知見もいただきました。
「急な売れ」のやつ 話は違うけどひとつのジャンルにいるのは1年間と決めていて万単位のヒョロワーを得るも本当に約1年で垢消しをしていた友人絵師を思い出す「数字が大きくなるほど人間だとは思われなくなるよ」って言ってた。安心してください彼女は商業で元気だし家には猫がいます
— 日々💎 (@hi_bibibi) May 23, 2023
「売れ」がきてなくても身につけなければいけない技術はある
売れている売れていないに関わらず、作家が身につけるべき技術はたくさんあるというご感想もいただきました。
「サラリーマン疲れたしおれも作家になろうかな」などと冗談で言われるたびに、作家にも社会人に必要なスキルがサラリーマン以上に必要で、作家として活躍している人はみな会社でもめっちゃ仕事できそうな人しかいないけどなと思っていたので、朱野さんが同じようなことを書いていてとてもすかっとした
— くどうれいん (@0inkud0) May 26, 2023
朱野帰子 | 急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本
— 秋永真琴 / Makoto AKINAGA (@makoto_akinaga) May 22, 2023
とてもよかったです……「売れ」は来てない作家ですけど、いま書きながら何を不安に思って悩んでいるのか、たくさん言語化してもらえた気がするhttps://t.co/DaGlGgJR1G
これ、小説家って……こんな風に仕事をしてるんだ!!!!! ということで一番学びを得た気がします 売れる準備万端です 元気です https://t.co/BNRpIv5yl1
— 斜線堂有紀 (@syasendou) May 22, 2023
『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』、面白かったし大変勉強になりました。売れてなくても、売れてても、売れた後も、作家・編集は読んでおいて損はないのでは
— 江藤俊司🕊es (@esfeb0203s) May 20, 2023
ありがとうございます、個人的に江藤俊司さんの『どうする家康』実況が大好きです…。これからも楽しみにしています。
表題通り、心構えはもちろん、著者である朱野先生の実体験をベースとしたきめ細やかな実践アドバイスが満載。むちゃくちゃ面白いです(とりあえず『広報会議』のバックナンバーを読みます) https://t.co/u0g9QnqAoL
— 江藤俊司🕊es (@esfeb0203s) May 20, 2023
『広報会議』読みます!というご感想はどちらかというと作家さんよりも出版社にお勤めの方からけっこういただきました。
フリーランスとしてサスティナブルにやっていくための技術がほしい
フリーランス全般に共通する話でもあるというご感想もいただきました。そうなんですよね。作家である前に私たちはフリーランス(個人事業主)で、小説を書く以外の技術もたくさん必要なんです。
朱野帰子先生が『わたし、定時で帰ります。』でガン売れした時の体験記同人誌、今年読んだ業界関係本(?)で断トツ一番面白くて、最近話した編集者さんにみんなおすすめしてます…!!!作家の労働環境の話でもあり、サステナブルな個人事業主環境の話でもある。https://t.co/M00MWkuUF0
— 三宅香帆『名場面でわかる 刺さる小説の技術』 (@m3_myk) May 27, 2023
三宅さんのnoteのマガジン「読書ゼミ|書評家の読書日記」でも急売れ本を取り上げてくださってました。編集者との関わり方について書かれていて「いやほんとそれよ…」と思いました。
同じマスコミでも出版とテレビ業界の感覚は全然違うので、どデカいメディアミックスの渦中に投げ込まれると、作家さんの負荷は本当に大きいだろうと思う。どういうことが起きるか?を知っておくだけでもよすがになるはずなので、本当に貴重なエッセイだと感じました。出版社の人間も必読かと
— ガーリエンヌ (@girliennes) May 25, 2023
意図しない形で注目されて仕事の形が予想と変わる、という状況、フリーランスの場合、「作品が売れる」こと以外でも起こるうることで、フリーランスゆえに「(同状況の人間が思い浮かばず)誰にも相談できない」状況に陥ることもあると思います。確かに本書はそういう時の「技術書」。
— 藤谷千明 (@fjtn_c) May 21, 2023
作家の働き方問題の提起として、読んだ。「作家」もまた労働市場の視点で見れば一人のフリーランスにすぎないわけで、その弱さを社会の側が認識しないといけない気がする。 https://t.co/ryecLD3XAb
— yuki ota (@lazy_planet) May 23, 2023
「売れ」がきてなくても書けなくなることは作家にはよくあること
書けなくなる(ライターズブロック)に着目したご感想もいただきました。プライベートでつらいことがあったときも書けなくなる症状は出るそうです。
ちな、ライターズブロックについては昔書いたこれを……やつらはいつでもやってくる!休め!
— 海猫沢めろん (@uminekozawa) May 22, 2023
Q.「本当に好きなこと」が何かわからなくなりました|海猫沢 めろん|monokaki―小説の書き方、小説のコツ/書きたい気持ちに火がつく。 @monokaki_jp #monokaki #エブリスタ https://t.co/PltzQtoBLM
朱野帰子さんの『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』(同人誌)読みました。私はどかんと売れるタイプではありませんが、メディアミックス関係などで共感できるところがいくつも。「小説家の休養」に関していうと、私の場合は妻が亡くなってから10カ月間書けなかったんですよね……。
— 麻見和史@〈警視庁文書捜査官〉シリーズ (@asamikazushi) May 21, 2023
そもそも書き手が病みやすいのって作業や作品に属人性が高すぎて、スキルセットやマインドセットが体系化されにくいところも多分に起因していると思う。技術向上のために無心で鍛錬したりすることも難しいし。なので、朱野さんがこの内容を技術書としてまとめられたことは、「売れ」未満の物書きにとっ…
— 紫原明子@新刊『大人だって、泣いたらいいよ』予約受付中 (@akitect) May 22, 2023
というか、"売れ"に関わらず、メンタル落ちた経験のある作家の方は、特に読んでみるといいかも
— 江藤俊司🕊es (@esfeb0203s) May 20, 2023
評価されると傷つくのはみんな同じ
「人は評価されると傷つく」という言葉に共感くださった作家さんも多かったです。
「売れ」とは喜ばしいことであるとされているが当の本人からするとめちゃくちゃストレスフルな生活になるんだな…
— 一秒 (@ichibyo3) May 22, 2023
あと「良い評価にしろ悪い評価にしろ、評価されること自体に人は傷つく」って一文が心に残った。「売れ」とはその評価数自体が桁違いに増えるためとにかく心が疲弊するんだな。
人は評価されると傷つく というの に頷いてる
— ワダシノブ「いいかげんなイタリア生活」発売中! (@shinoburun) May 20, 2023
人間としてではなく機能として評価されることを「疎外」という
売れた後に「期待に応じる機械」になってしまったというくだりには、逸木裕さんからこんなご指摘をいただきました。
朱野帰子さんの本をちょっと読んでみたのだが、売れるとこうなるのかとびっくりした。コンテンツ産業でクリエイターになること自体、人間ではなく「機能」として評価の場にさらされる構造的な問題があり、売れるとその傾向はさらに加速するのだなと感じた。https://t.co/D9B5Z2rKIt
— 逸木 裕 (@yu_itk) May 22, 2023
人間ではなく機能として評価されるのは大変しんどく、マルクスはこれを「疎外」と呼んで警告していた。作家にとって読者が救いなのは、機能としてではなく、人間として扱ってくれるからなんすよね……。
— 逸木 裕 (@yu_itk) May 22, 2023
「読者のことを思いだそう」というのは青木祐子さんからのアドバイスなのですが、読者は作家を人間として扱ってくれるからなんですね。
作家も、小説を書く機械としてではなく、人間として活動できるフィールドを持っていないとおかしくなってしまうなと改めて感じた。長く小説を書き続けるためにも。
— 逸木 裕 (@yu_itk) May 22, 2023
一本ドラマ化すると周囲からの期待も「次もドラマ化できる作品を…」となっていく。その期待に応えようとするとどんどん自分の心が追い詰められてく。「売れ」ると自分の作品に興味ない人も集まってきて消費されてる感が強くなっていくのかも。でも「売れ」とはそういうことなんだ。
— 一秒 (@ichibyo3) May 22, 2023
急な「売れ」は他者と協力しないと乗り越えらない
「はじめに」で対象読者の中に、作家をサポートする立場の人、を入れておいたのですが、まさにそういう立場の人に読んで欲しいという声も聞かれました。『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』や『バンギャルちゃんの老後 オタクのための(こわくない!)老後計画を考えてみた』が話題のライターで作家の藤谷千明さんがこんなブログを書いてくださいました。(少しだけ引用しますのでもっと読みたくなった方は記事を読んでみて!)
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— 藤谷千明 (@fjtn_c) May 22, 2023
【感想】『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』(朱野帰子さん・著)の感想 - fjtn_cの日記 https://t.co/xtL27whRE6
「あの人、ずっと頑張ってて結果が出てよかったな、でもなんか機嫌悪そう」というとき、「忙しい」以外の理由が想像できないけど、なんか心配だなという人とか。みんながみんなこの本と同じということはないと思うけれど、「売れ」が来て生まれる摩擦は、作家ではなくても、結構似ているのではないかと予想します。
記
拝読しています!(売れる気がある)
— 町田 粥【続編連載中◆吉祥寺少年歌劇】 (@machi_kayu) May 20, 2023
これはいつ売れるかわからない作家より常に売れっ子を抱える編集者も必読なのでは…!? https://t.co/GGZ30zsZ9P
作家は特殊で「なれるだけでありがたい」職業のため、誰にも相談できず孤独になることが多々あるから、淡々と具体的に働き方の話をしてくれる人がいるのは本当にありがたい 対象読者を書く本人だけでなく「それをサポートする人」としてくださっているのもうれしい、家族にも読んでもらおうと思う
— くどうれいん (@0inkud0) May 25, 2023
ちなみに私が「この本を読んで欲しい人」として最初に思い浮かんだのは、「作家の親」でした。
— 文月悠光|新詩集、重版出来! (@luna_yumi) May 21, 2023
出版やメディア関係者でない限り、親が作家の立場を理解するのってかなり難しいと思うんですよ。。
近い存在であるからこそ、知って欲しいですね。
本には書かなかったのですが、「売れ」がきている最中、「親戚からお褒めのお言葉をいただく」というイベントがしばしば発生するのも地味に大変でした。親戚だけでなく親戚の友人とか、どんどん範囲が広がっていくのもじわじわ大変。
相手は年長者だし、親の顔も立てないといけないしで、なぜか仕事よりも優先して対応してしなければならなかったりします。ペンネームで活動しているのに「身内が有名になった」という喜びから「私の身内です」とFacebookに書かれてしまったり、友達申請を送ってくる場合もあると思います。私の場合は、顔出ししているから仕方ないとは思いますが、顔出ししていない場合は「ビジネスとわりきってやっているのに身内にいいねされまくったら身バレしてしまうのではないか」と悩みますよね。家族関係が良くない作家さんの場合の精神的苦痛はさらに計り知れないと思います。
そういう問題の交通整理をしてくれる親族が一人いて、「今は忙しいみたいだから、私が代わりに伝えておくよ」を言ってくれたり、送られてきたお祝い品への返礼などをやってくれるとすごく助かるというのはあると思います。(昔なら作家の妻がその役を担っていたのでしょうけど)
友人からのお祝いメッセージは私は嬉しかったですが、自分のSNSで「友人の小説がドラマ化されることに!私まで嬉しい!」っていうふうに投稿してくれるのが一番助かるかもしれません。「いいね」を押すだけでありがとうを伝えられるし、余裕があるときにリプできるし。
あと個人的に思うことですが、「売れ」がおさまって、周りから人がザザーっと引いていくタイミングがいつもあるんですよ。心も体もボロボロで、「ああ消費されたんだな」と思ってるときに「本読みました」って熱い感想をくれた人のことは忘れられません。売れてるからではなく、その作家さんが好きだから一緒に仕事をしたい、と思っている編集者さんたちがいたらぜひそのタイミングを狙ってほしいです。
そして、作家にインタビューする側からのご意見もいただきました。タレントさんから作家まで幅広い職種の人たちにインタビューをされている小沢あやさんから。
朱野帰子さんの同人誌『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』、クリエイターに関わる仕事の人にすすめたい。
— 小沢あや ピース✌️ (@hibicoto) May 25, 2023
重版・ドラマ化を果たし、のしかかるプレッシャーや群がる人々……。インタビューの原稿チェックの負担についても書かれているので、ライターさんにも。…
作家にとってインタビューしてもらって記事になるということはとても嬉しいことです。そしてインタビューして記事にするのはとても大変な作業です。互いにいい記事を作っていきたいですよね。
重版だけ定期的にするのがいちばんいい
地方在住だともみくちゃにされにくいというご意見もいただきました。近藤史恵さんから。たしかに東京に住んでいるとアクセスしやすすぎるというのはあるかもしれません。私も子育てが忙しかったころは編集者さんと気軽に飲みに行くことすら不可能だったし、会う相手を選ばざるを得なかったのでいたのですよね。業界と適度な距離を保つことも大事ですね。
小規模の売れみたいなのはあったのだが、地方在住だともみくちゃにされにくいメリットはあると思う………
— 近藤史恵 (@kondofumie) May 21, 2023
そこまで話題にはならず、知名度もそこそこだけど、重版だけは定期的にするのが、たぶんいちばんいい………
— 近藤史恵 (@kondofumie) May 21, 2023
それが理想ですよね…。
急な「売れ」は出版社で働く人にもある
作家を支える側である出版社の人たちからも「編集者にも売れで疲弊することがあるんだよ」とご感想をいただきました。売れた作家のケアをし続けてダウンしてしまう編集者さんもいるわけです。支える側の苦労ももっとオープンになってほしいなと思います。
出版営業のお仕事について発信してくれているれなさんからこんなお話も。広告宣伝を仕掛けて重版を作ってくれる出版営業の人たちは毎日のように「売れ」のプレッシャーの中にいるわけで…。
ベストセラーが出た時、作家さんに「何が」起きるのか?
— れな (@rena07110) May 30, 2023
営業の立場では中々知ることがないのでサポートできる事があるのか知りたくて『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』読了。
これは…仕事で数字に関わる人は必読よ…作家さんは勿論、急にバズった人や担当本が売れた人も読むべき… https://t.co/kBhLaTXSjw
もうね…作家さんではないけど「働き方」と「休み方」、「リスキング」と「ワーキングホリック時」、そして「売れるものがでた時の周りからの期待が何倍にもなる」ことの辛さが…めちゃくちゃ沁みました…ヒットが出ると、バズると、次にまた数字を出せるのか、見えない魔物が常に襲ってきていました…
— れな (@rena07110) May 30, 2023
一回数字が出ると、次はそれを越えなきゃならないってプレッシャーが常にあって、心のバランスは難しいな、と思います。
— れな (@rena07110) May 30, 2023
誰かに求められているわけではないけど、自分で変な危機感がね…生まれるあれはなんなんでしょうね…ひとりで仕事はできないから私が何をどうこうとかはないはずなんですが…
同人誌を書いている人にも急な「売れ」はある
同人誌を書かれている作家さんたちからも「心当たりがある」というご感想もいただきました。出版社という守ってくれる存在がいない分、同人作家さんの方がセルフマネジメント能力を求められるかもしれません。
『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』電子書籍で一気に読んでしまいました。同人でプチ売れしか経験していない自分にも心当たりが沢山ある内容で、読んでいて傷つきながら癒しを得るような感覚でした。素晴らしかったです、ありがとうございます。 https://t.co/sF0wKO8LN6
— カズマ|Kazuma Suzuki (@_kazuma0221) May 21, 2023
書いた技術記事や技術書が思いがけない形、思いがけないタイミングで注目を浴びて、心の準備をする間もなく膨大な「評価」に曝露されたことのある人にはこの本は効くと思う。https://t.co/aQZVhTvjMN
— mochiko (@mochikoAsTech) May 21, 2023
あと売れている同人作家さんに偉そうな態度を取る編集者がけっこういるという話もけっこう聞きました。「出版してやる」という態度で接し、出版に際しての条件を尋ねると激昂されることもあるとか。大手の看板が自分の実力と勘違いしている人はどの業界にもいるものですが、時代錯誤だからやめてほしい。
会社員でも同じことは起きる
個人的に意外で嬉しかったのはフリーランスではない、組織で働く人たちからのご感想でした。もともとは会社員の人たちが積み上げた労働のための知見に学んで書いた本なので、当然といえば当然なのですが。
現在メンタルやられてお仕事休職中の私にも響きました。
— はねあけの (@haneakeno) May 23, 2023
「仕事で辛いことがあったときどう乗り越えていくか」という全労働者共通のテーマが書かれてます。 https://t.co/H9fwVMNaZl
オンラインで購入しました。とても興味深くて、ただの本好きの一般人ですが、なにか自分の仕事疲れのようなものに柔らかい光があたるような気分になれました。何かの折に思い出したくなる気がしました。書いて世に出してくれてありがとうございます!読むことができて良かったです。
— くろさわだいさく (@editdaisaku) May 23, 2023
作家デビューする予定も売れる予定もないけれど、読んだらとんでもなくタメになった。朱野帰子先生の「急な『売れ』に備える作家のためのサバイバル読本」は仕事の波に押しつぶされうるサラリーマンも読むべきだと思う。みんな健康第一。心を守りながら働こう
— 石川 仁美 (@hitton46) May 28, 2023
#技術書典 https://t.co/loYDQK22oH
業種を超えて健やかに働くための技術をシェアしていけるといいですよね。
そしてこんなご感想も。
朱野帰子さんの『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』、作家でもなければ売れてもいないけど、なんだか読んだ方が良さそうな気がして、早速読んでみました。
— Chie Fujimoto (@nemut) May 22, 2023
個人的に「寒くなると執筆スピードが落ちることがわかったので、窓を二重にするなど断熱性にも投資しました」がヒットでした。 https://t.co/zlotoyfHTl
そう、窓は大事ですよ(笑)
売れる前の作家のための技術がほしいという声も
これについてはすでに企画があるので(私が出すとは言ってない)お待ちいただければと思います。
新人賞を受賞したときのマニュアル、みたいな本があったら良かったなあ……と思います。今さらですが。
— 桜井美奈@新刊発売中 (@Sakurai_Mina316) May 22, 2023
地方にいて、出版関係に知り合いもいない状態でこの業界に飛び込むって、小動物がワニの池に放り込まれるみたいなもの!?
私の場合、小説講座なども受講していなかったですしね(何も知らない)。
この本を読んでもなお急に売れたい
わりと多かったご感想です(笑)
みんな売れてほしい。ただし健やかに。どっちも手に入れてウハウハになってほしいというのが私の願いです。
それにしても私もはやく「売れ」が来てほしい以外の感想がない(強欲)(そういう本じゃない)(てかこの本読んでその感想持つの間違ってる)、がんばりましょう🥹
— 三宅香帆『名場面でわかる 刺さる小説の技術』 (@m3_myk) May 27, 2023
まずは「急な売れ」を提供してくれるサービスが欲しい https://t.co/7esuAI4H6R
— ぶるすぴ生成AI (ver.5.12) (@e258z) May 22, 2023
『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』はジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「そして目覚めると、わたしはこの肌寒い丘にいた」に似た読後感があって、さんざん厳しい逸話を読んでも「とはいえ「急な売れ」が来ないかな」と思ってしまうのが断絶の深さを感じさせて趣き深いのでした
— Masayoshi Takahashi (@takahashim) June 5, 2023
なんか文学的に終わった……!
「面白そうな本だな」と思われた方がいらっしゃったら、「技術書典」か「BOOTH」にてお買い求めください…!
本が売れて原資ができたら次の本も出せるかも。
個人的に存じ上げている方のプロフィール紹介しかできなかったのが申し訳ないですし、全てのご感想を紹介できなかったのが残念ですが、どの感想もありがたく拝読しております。エゴサの鬼なので……。
また、このnoteに掲載されたツイートの方で「掲載しないでほしい」という方がいらっしゃいましたらリンクを貼るのをやめますので、お手数ですがおっしゃっていただけましたら幸いです。
以上、いろんな方からの知見をお受け取りいただけましたら幸いです。