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そこはちゃんとしようよ

※購入した商品そのものの批判は本意ではないため、詳細をぼかして書いています。ご了承ください。

フードロスの問題を、子供が学校で聞いてきた。

身近なところから対応しないとねと話していた矢先に、休耕地に生えて持て余していた農作物を加工食品にして販売するというプロジェクトが新聞で紹介されてるのを見た。

発起人はその地域出身で、一度は都会に出て就職したものの、帰省の際に荒れ果てた休耕地を見て何とかしなくてはと思ったそうだ。
いまは地元で、会社員時代の経験を活かして仲間とともに事業を興しているらしい。

それは私も子供も好きな食べもので、味つけには地元名産の果物を使っているという。
購入が地域や頑張っている人たちのためになるなら我々もうれしいねと、その商品を買ってみることにした。


販売サイトは検索したらすぐに見つかった。
サイトには、その地域は過疎化や高齢化が深刻で荒れた土地が広がっていること、同様の課題を抱える地域にノウハウを広めたいという思いなどが丁寧に説明されていた。
ふんふんとそれらを読み、さっそく注文する。

数日後に商品が届いた。

地元出身のイラストレーターがデザインしたというかわいらしいパッケージに入っており、商品開発の背景やレシピなどが書かれた冊子も同封されていた。

容器を開けると、果物の爽やかな香りがする。
さっそくお皿にとって一つ口にした。

うん、おいし…………

くないな????

せっかく地元名産の果物を使ってるのになんか裏目に出てないか?
普通の味付けでよかったんじゃないか?
廃棄していた素材を使っているとかは関係なく、単純に味付けや加工に改善の余地があるのではないか?
販売サイトにプロジェクトに関わる人が何人か出ていたけど、料理人は出てこなかったな、そういえば。

……そんなことが脳裏をグルグル回る味だった。
子供たちや夫はひと口食べたらもういらないようだ。うん、気持ちは分かる。


「おいしい」というのは、非常に個人的な感覚だ。

万人が「おいしい」と思うものなんて作れないし、商品開発にはコストなどさまざまな制約があるだろう。
とは言えもうちょっと何とかしてほしかったなあ、残念だなあと思ってしまった。
商品そのものの魅力こそ、プロジェクトが持続する大前提なのに、そこがなおざりにされている感じがする。
プロジェクトの趣旨とか地域貢献とか、そういうのが先走ってしまったのだろうか。
なかなか難しいものだ。

思えば自分の仕事でも、根幹となるものの質よりも、コンセプトや意義が先立ちそうになることがある。
全ては基本がしっかりしていなくては意味がない、そう実感したできごとだった。


目下の悩みは、商品は3箱入りを買ってしまったこと。
残りはたくさんある。どうするかなー……。


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